なるほど。ではこんな感じでしょうか?
ぱちりぱちりと、燃えている。
丘の上、眼前で街が燃えている。否、街とも呼べぬ陳腐で、乱雑な集合住宅のようなものだが、それでも少年にとっては街だった。
腐って、汚く、賤いやしくて——全てが最悪な場所だったが、それでもたったひとつ、人の生きるという心だけは正しくて、輝かしいものだった。
だから、そう。
この結末を知っていながら、己のために見過ごした自分のような存在には、この上なく相応しい光景だろう。
「これで君は、死んだ存在だ。いや、正しくは死んでいるとされている、と言ったところかな?」
少年の後ろに控える、影法師のような男がそう宣う。
「……」
何も言わない。少年は何も言わず、ただひたすらに街を見る。
それは、燃える全てを己の瞳に収めようとするかのように。燃える街の全ての罪が、自分のものであるかのように。
「君は覇道を選んだ。この街の人間は、君という龍の苗床となったのだよ」
「……」
「——見たまえよ。人々は逃げ、彷徨い、迷い燃え落ち飢え狂う。まさに地獄だ。そしてこれが君という龍の、最初の餌となり得るものだ」
少年はそれを聞きつつも、手を伸ばす。眼前の街に。決して届かぬと知りながら、ひとつの覚悟を決めるため。
口を開いた。
「わかっている。わかってるさ。僕が生き残るために必要なことだった。後悔はしない」
「ふむ。で、あるならばどうするかね? この街の命を背負い、覇道を歩み潰えるか? それとも覇道に怖気づき、どこぞの農村で一生を終えるか?」
心にも思っていないだろう。誰が聞いてもそう思うような、ただの事実確認のような言葉。少年にとってもそれはわかっている。
わかっているからこそ、少年は振り返り、影法師を見た。
「どれでもないさ。第三の選択だ、魔術師」
少年は拳を握り締める。
「|俺(、)は——」
ただ、三人称と神視点が読んでもよくわからないんですよね。とりあえず登場人物が知らない情報を出すのはやめる、とかそういうのはわかったんですけれども。
物語中では燕順などにスポットを当てたいと思います。こんな感じでよろしいでしょうか?
うむむむむ……これでも、遅いかなという気がしています。
だって、もう既に形と合っている状態でしょ?
戦記物って、軍師との出会いが一番の盛り上がりどころ、だと思っているので、その「いちばんいいシーンを過去のものにしてしまっていいのか」と思えるんですよ。
ちなみに「ノルマルク戦記」では、やはり仮面を着けさせられ塔に幽閉されていた少年時代の主人公の脱出シーンから描かれ、その後逃亡先でヒロインと会い、数年間一気に時間軸を飛ばして叛乱の一念発起したところも時間軸通りに描かれています。
この話はちゃんとした軍師がおらず、ヒロインとの出会いがその代わりのような感じだったのですが、普通になるべく時間軸通りでお願いしたいです。そこは技巧的に凝るところじゃないので。
小説
は映像媒体と違い、話し相手がいなくて会話シーンにならなくても、映像的に派手でなくても印象的なシーンというのは存在します。主人公の心情に大きな動きがあれば、それを描写すれば充分なんです。だからベタですが、復讐を誓った、ということがわかりやすく表現されているシーンのほうがいいと思いますよ。このシーンは、映像的に派手な割に主人公の心の動きにあまり変化が見られないかも……?という気がしています。
あと、視点については、概念的には把握していらっしゃるようなので大丈夫だと思います。文章もけっこう視点人物の心情に深めに切り込むタイプとお見受けしますので、「なるべく主人公固定で」という気持ちがあれば、それで十分だと思います。ただ、戦記物は時には敵サイドを描写したい、という状況も出てくるかもしれないので、そういう場合には頑固に主人公視点にこだわり過ぎなくてもいいですよ、という感じです。
あ、でも、古典とかを参考にするのはほどほどに。古い物語ほど神視点だったりしますので。