すでに最強のヒキニート~ヒキニートは死んでも治りません!~
スレ主 冬空星屑 投稿日時:
〈大神〉に召喚された六人の人間。
それぞれに〈大神〉の加護ととても強い技能(ユニークスキルのような物)が与えられる。
さらに、戦闘力に直接関わらない、異世界での富や地位、名誉などの願いを二つまで叶えてもらえる。
行うのはサバイバル・ゲーム。
互いに互いを殺しあい、最後に残った最強の人間を神にするゲーム。
〈大神〉は言った。「さあ、生き残るための最善を尽くせ!」
主人公を除く五人の人間たちは自分の技能を確認したあと、それぞれの願いを二つ叶えてもらい、次々と異世界へ転移して行った。
最後に残った主人公の願いは、
『とっても強い王様の子どもに生まれ変わって』『自宅警備に徹したい』です。
主人公は『星王竜(とっても強い地竜の女王様)の息子(竜の卵)に転生』したが、何故かさらに転移してダンジョンにたどり着き、『自宅警備(ダンジョン防衛)をする』ことになる。
数多のダンジョンへの侵入者。
家に引きこもってグータラしたい主人公。
竜としての規格外の能力で、ダンジョンをガッチガチに固めて、引きこもり。
お昼寝して過ごす。
十数年後、稀にみる凶悪ダンジョンとして認知され始める。
その後、凶悪ダンジョンを倒すために『剣王』がやって来たり、『勇者』がやって来たり。
逆に、「仲間にならんか?」と魔王が勧誘に来たり!?
主人公は、やってくるのが、自分を殺しに来るゲーム参加者かもしれないので、片っ端から撃退していく!
「まだ永眠はしたくない!!」
プロローグは、主人公が転生した時の状況をある人に説明している時の様子。
プロローグ
序章 大いなる神の遊戯
ああ……。あれは確か。俺が前世で、家に引きこもっていた時だ。
突然、天井から光の柱がゆっくりと降りてきた。
何だろうな、と考えていたら、俺は天に召された。
うん? 死んだのかって?
ちょっと違うな。
正確には、〈神界〉に召喚されたと言うべきか?
まあ、〈大神〉に喚び出されたんだ。強制的にな。
俺が周りを見渡すと、左右には人間が五人。そして、それぞれの正面に得体の知れない何かが居た。
後で教わったんだが、それが〈大神〉だった。
〈大神〉には第一位から第六位までの位階がある。その|神位階《しんいかい》って言うのは、戦闘力で決まるらしい。
で、〈大神〉の一柱が言ったんだ。
ここに喚んだ六人には才能がある。
私たち、六柱の〈大神〉がそれぞれ目の前にいる人間に〈恩寵〉と特別な〈技能〉をやろう。
それを使ってゲームをして貰う。
ルールは簡単。
最後まで生き残っていた一人が勝者。
六人の中で最も強いやつを神にしてやる。
何か質問はあるか?
ってな。
いや〈大神〉ってのは凄いな。
意味不明なその状況を、完璧に理解させられた。
は? とか思うこともできなかった。
これはサバイバル・ゲーム。
生き残ったやつが神になるゲーム。
そして自分たちは|駒《・》。
これは、〈大神〉たちが、自分の駒同士を戦わせて遊ぶっていう、神の遊戯。
逆らうことは不可能だ。
そんな状況下で質問を飛ばすやつがいた。
右端から二番目のやつだ。
何か報酬は無いのですか?
だってさ。
俺は思った。
神にしてやるって言ってたじゃん。ってな。
〈大神〉もそう返した。
だが、右端から二番目のやつは続けた。
それは優勝賞品ですよね? 僕は参加賞が欲しいのです。それも今すぐに。
〈大神〉は少しだけ悩む素振りを見せると、こう返した。
戦闘力が変化しない範囲でならどんな願いでも一つだけ叶えよう。何を望む?
巨万の富? 一国の支配? 不老長寿にすることもできる。さあ何を望む?
俺は必死に考えようとした。どうやったら永眠することなく、家でグータラと過ごせるかと。
それはもう必死に考え始めた。
で、考え始めたところで、もう一人が質問ではなく、苦情を飛ばした。
一つじゃたりん!
と。
俺はバカかと思ったな。
仮にも相手は〈大神〉。神だ。
まあ、神である証拠は無いが、少なくとも俺はそう理解させられた。だから神だと信じていた。まあ、今でも信じているが。
俺は思った。敬語も使えないほどバカなのかと。
そいつ――一番右端のやつは周りを気にせずそのまま続けた。
俺たちを勝手に呼びつけた対価も付けろ!
偉そうなやつだなぁ、と思った。
デカイ声で、威圧的に言うんだもん。
俺は怖くて震えたね。
ガクブルだった。絶対にあいつには関わりたくないね。
まあ、それは置いておいて。
寛大な〈大神〉は怒ることもなく、二つまで願い事を叶えてくれるって言うんだ。
いやぁ。太っ腹だね。
ついつい祈りを捧げちゃったよ。
確か、龍神教だっけ? どこで入信できる?
え? 神像の前で祈るだけ?
じゃあ今度立派な像を作ってみるか。
まあ、そんな感じで、生きるか死ぬかのサバイバル・ゲームが始まったわけだ。
右端のやつはその後もずっと質問攻めにしてたし、ときたま左右のやつらも質問してたけどな。
時間かかるなぁって思ってたら〈大神〉が、
この空間は時が流れないから、いつゲームの舞台に行っても良いし、いつまでも質問してて良い。
って言ったんだ。
それを聞いたら、右端のやつの質問する速度が緩やかになった。
けど、ずっと質問してた。
先に舞台に行っても意味ないし、俺はとりあえず横になって寝た。
だって眠かったんだもん。
仕方ないね。
召喚されたの深夜零時だもん。
高校生は寝る時間ですよ。
それでどうしたのって?
いや、ずっと寝てたけど?
ああ、起きた後?
ぐっすり寝て俺が起きたら、他の人間は誰も居なかったね。
で、俺もせっかくだから質問してみたんだ。
ゲームの舞台ってどんなところって。
そしたら、剣術と魔法が発達した魔物が蔓延る異世界だって言うじゃん?
その後に、他の五人はどうなったのかって聞いたら。
すでにその世界に転移済み。後はあなただけですよって言われた。
その後に〈大神〉は改めて問うた。
「どんな願いでも、戦闘力が変化しない範囲でなら二つ叶えます。さあ何を望みますか?
というかさっさと願い事を言って下さい!
いつになってもゲームが始まりません!!」
その時、俺はビビっちまって、すぐに思いついた願いを言ったんだよ。
「どんな願いでも二つか。
えっと……。じゃあ俺。
『とっても強い王様の子どもに生まれ変わって』『自宅警備に徹したい』です」
そして俺は六人の中で唯一、転生をしたんだ。
世界屈指の強さを誇る、地竜の王族。
星王竜の息子に。
まあ、卵から産まれる前に迷宮に召喚されたから、両親の顔なんて知らないけどな?