俳句添削道場(投句と批評)

イサクさんの添削最新の投稿順の1374ページ目

「夜間飛行やすやす越ゆる天の川」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 夜間飛行やすやす越ゆる天の川

おはようございます。

「や」の韻がありますし、この並びで「やすやす」という単語選びは悪くはないと思います。とはいえ「易々」「楽々」はどちらも作者の主観・感想のようですので濫用注意ですね。

気になるのは
◆先に出ていますが「夜」という意味の重複は気になります。
 先に出ている米米CLUBネタを使って
「浪漫飛行やすやす越ゆる天の川」
 これでも夜飛ぶ飛行機が天の川を越えていく映像になってしまいますよね。

(なおじい様は知っているはずですので敢えて書きますが)
別々の単語での意味の重複は、
わずか十七音の中に、意味の重なる単語で音数を消費するのがもったいない、というのがその1。その音数を詩に使った方がいい、というものですね。
その2。季語「天の川」を信じれば夜の風景です。「夜間」とわざわざ【説明】を入れてしまっているということになり、どうしても【説明感】【受け手を信頼していない感】【(この句の場合)季語を信頼していない感】が出てしまいます。

とはいえ我々などある程度以上の年代では
「単なる夜のフライト」ではなく【夜間飛行】という単語に特別な感情を持つのでしょう。それは理解できます。

◆時間の長さ、が気になります。これも「夜間飛行とはやすやすと天の川を越えるものだよ」という説明感が出てしまっている理由になっていると思います。中七の「やすやす(易々)」という説明は、やはり難しい単語ではあるでしょう。

・当機いまやすやす越える天の川
 (これはイマイチ)
・夜間飛行や易々越ゆる天の川
 (詠嘆で切りましたが、リズムも字面も悪いですね)

・当機パリ便いま天の川越えてゆく

点数: 1

「胸骨は鳥かごに似て銀河濃し」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 胸骨は鳥かごに似て銀河濃し

こちらでもこんばんは。
げば句ですねー。このクオリティで手元に残さないのかー

◆人間の身体の一部であり心臓(ハート)のある「胸」の強調
◆似ているものを似ていると言う当たり前感の回避
などなどあり、この句は「胸骨」が良いと思ってます。私は。

私の目線ではできている句なので改作にしかならないのですけど、「似て」「濃し」と季語の選択あたりは感性でさわれそう。ちゃあき様も同じ嗅覚かな?

わざと季語・季語位置を変えた句を置いておきます。
・星降るや胸骨は重き鳥籠

点数: 2

「夏台風寝巻きで抜き去る休暇かな」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 夏台風寝巻きで抜き去る休暇かな

こんばんは。はじめまして。イサクと申します。

初心者様とお見受けします。
細かいところは省きます。
(細かい点は他の方から出て来ると思いますが、ご希望なら再登場します)

◆『台風を休暇が抜き去る』休暇の方が早いということでしょうか?比喩が複雑すぎてわかりにくく思います。コメントにある「過ぎ去る」がよいのでは。

◆「(夏)台風」「寝巻」「抜き去る」「休暇」と、言いたいことが多すぎて、俳句の十七音に入りきらず、ごちゃごちゃしてしまいます。
 俳句は十七音しかないので、十七音で収まる程度の要素・情報に収めないと、良い俳句になりづらいです。
 整理するとして、この句の主役は「台風」か「休暇」かどちらでしょう?句とコメントからは「休暇が抜き去る」なので【休暇】だと思いますが・・・

◆八月下旬という今は、暦の上では秋です。「台風」も秋の季語です。
 かたや、夏は大雑把に5月初頭~8月初頭です。
 その上で、季語の選択を考えてみたいです。
「夏台風」というのは気象用語にはありそうですが、俳句ではあまり使いませんね。

コメントにある「儚い休暇」は面白い感情だと思います。俳句の場合、こういう素直な表現を使うことをお勧めします。
川柳っぽい「上手いこと言う」のを目指すのは、俳句ではあまりお勧めできません。

・寝巻のまま過ぎる儚き夏季休暇
  季語:夏季休暇(夏)

・寝巻のまま儚き休暇台風裡
  季語:台風裡(秋)

点数: 2

「母銀河どのひらがなを飾らふか」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 母銀河どのひらがなを飾らふか

こんばんは。はじめまして、でしょうか?

コメントより、句のお気持ちは受け取ります。
その上で、私のコメントは厳しく見えがちですがお許しください。

◆「母銀河」調べましたが、秋の夜空の季語の「銀河」(天の川)とは異なる意味のような・・この言葉で、映像をどう紡げばいいかわかりませんでした。
 「母」と説明したいから「母銀河」という単語を持って来たような安直さが見えるので、ここはしっかりと季語を用いた方がよいと思います。

◆「飾らふか」
 現代語の意志の助動詞「う」を使っていると思いますので、歴史的仮名遣いでも「う」です。
 「う」は未然形の「オ」音に接続するので、歴史的仮名遣いでも「飾ろうか」が正しいような気がします(遡れば「飾らうか」なのかもしれません)

仮名遣いを抜きにして、中七下五は魅力的な措辞だと思いました。
「母」という説明を入れるよりも、この措辞の詩を生かしたいと思います

・銀漢へどのひらがなをかざろうか

お母さまの説明は句を分けて・・ではダメでしょうか。

点数: 5

「天の川忘れんばうのわたしたち」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 天の川忘れんばうのわたしたち

こんにちは。

「う」のフォローありがとうございます!
「う」は「む」の音便化=口語で考えてしまっていましたが、古語ですでに使われていますね。なので歴史的仮名遣い「飾らう」が正しそう。ありがとうございます。

さて、御礼ついで(!?)にこの句のコメントです。

できている句だと思います。
自解を読んでしまうと「わたしたち」が気になり始めますが、句だけを読んだ場合には「わたしたち」が効いて、特定の誰かと自分、あるいは特定のコミュニティに参加している人間を想像させます。
私は
【老人ホームに入居している中で比較的しっかりしている方が、天の川を見上げながら自分たちのことを詠んだような句】
と鑑賞しました。決して「わたしたち」を卑下しているわけではなく、忘れっぽいからこそ嫌なことがあっても禍根を残さず新たな明日を迎えられる、という前向きな意識が季語「天の川」から想像されます。
直近のプレバト俳句「なぜぼくは食べられないの星祭」と同様の鑑賞が可能な秀句だと思います。

駄句メーカーである私は、こちらへこんな句を出してました
吾の凡句集め天の川へ流す/イサク(2021)
https://weblike-tennsaku.ssl-lolipop.jp/haiku/corrections/view/11950

点数: 2

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