The Last Nightの批評
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投稿者 若宮 澪 投稿日時: : 1
こんにちは〜若宮澪と申します、私にとっては凄い性に合う話でつい一気読みしてしまいました……。なので客観的な批評というよりは主観的な感想に近しいものになってしまっていますが、ご了承ください。
先に投稿者様の質問に、私なりに思った回答をば。
>なぜブクマがゼロなのか?
これについては先述のヘキサ様の意見に賛成します。
まず前提として、現時点での「小説家になろう」というサイトは読者層の偏りが激しい、言い換えれば「求めているものを提供しさえすれば下手な料理でも食べてくれる料理店」みたいな状態にあります。逆に言えば、求められていないものを出したところで、それが如何に美味しかったとしても物好きしか食さない。ちょうど、ファストフード店の中で三つ星レストランのフランス料理のフルコースを出すようなものです。中には近くにおいしい料理店がなくて仕方なくファストフード店に来ている客(=「素人の尖った小説」を読みたい層)やあるいは物好きな客(=小説をスコップしまくる層)もいるでしょうが、ほとんどはファストフードが食べたいから来ている客でしょう? そんなところでフランス料理のフルコースを提供したところで、まあほとんどは食わず嫌いするわけで。
それでも地道にフランス料理のフルコースを提供し続ければ人気も出るかもしれません。でも投稿者様は既に提供するのをやめてしまっている(小説の完結処理)わけですから、「地道に積み重ねて」ブクマを獲得するのも難しい。結果として、読者からはまず「良かった」と思われる以前に「そもそも見られることがない」状態になるわけです。
……ここまで長々と書いてきましたけれど、こういった話については「なろう攻略法」みたいなサイトでよく乗っかっています。要は上手い/面白い物語=売れる物語ではないっていう話ですから、ブクマが入らない=描画が悪いと考えなくても良いかと思います。売れたくて書いた、というのならばまた別ではあると思いますが、そうでないのならばそこまで気に病む必要はないかと。
>気になった点など
あくまでも「私はこの物語が好きな方」という前提込みで。
・"()"の用法
ネルの(" ")の直後に別のキャラの心情描写の()がある、という箇所があり一瞬戸惑いました。あまり"()"を連続させるのはよろしくはないかなと。細かいというか重箱の隅を突っつくような形になってすみません……。
・不必要に思える視点
ネル側の視点が時間軸的に結構飛びまくる上にネルとサマンサ以外の視点(シンシア、サマンサの母と父、完全三人称)がかなり混交されているため、所々「んん?」ってなるところがあったり。特にサマンサの母がネルと対決する終盤の下りは、どちらかといえばネル視点で書いたほうがより「ネルとサマンサの物語」として引き締まるような印象を受けました。下手にネルとサマンサ以外の視点を足してるせいで、やや良さが削がれている感じがします。
・ネルの英語の訳出
これについては完全に私の趣味ですが、もっとネルの皮肉を慇懃無礼な日本語にしてほしい、んでサマンサとの丁寧で親密な日本語と区別してほしい。だんだんと丁寧だった日本語が砕けていくのもよし。微妙な口調の違いとか話し方のトーンの違いもそこで出るので。今でも結構差はありますけど、もーっと慇懃無礼な感じがいいなあ……っていう一読者の思い。
ただ、ここまでの指摘はあくまでも「物語としての良さ」について私なりに思ったことです。ブクマや評価を得るためのものではないので悪しからず。
長所。良かった点
ここからはただの主観的感想ダダ漏れのやつです。
>主人公の日系人設定
私はアリというか寧ろ好意的、純粋に設定として良いと思いました。いきなり日本人の蔑称を出すのはどうかとか、あるいはそこまでして感情移入したいのかとか色々あるかもですが、読んでるときは別に気にならなかったです。主人公が精神的に終わっていくのも良し、私は好き。あと、別に日系人差別についてどうこうなどと主張する文面でもないのが一番好印象。下手にそういう話を混ぜられると嫌なので、前面化しない程度に織り交ぜているのが良かったです。ちょっとLGBTの話が前に出てるのはうーん、と思ったりもしましたが。これについては出さずに、普通にネルとサマンサのあいだの関係として書けばよかったと思わなくもない。ネルにとってのトラウマでありサマンサの個人的問題として扱ったほうがもっと逼塞して、なおかつ二人の物語としてきれいに収まる印象。
>ネルの設定
前にも書いてますが、ネルの貴族時代は好き。もう少しじっくり書き込んでも良し。社会問題とか取り払ったうえでの「ネルの過去のトラウマ」であり、なおかつサマンサが「それでもネルを愛せるのか」って問われる形は最高と感じました、寧ろもっとやってほしい。血を吸われて弱っていく中でじーっくり悩んで、心ぐちゃぐちゃにしてほしい。ただ一人の少女としてネルという個性を愛せるのかっていう問い。あーでも、どちらかといえばサマンサは自身の精神的ストレスにも悩んでほしいから、結局全部ごちゃ混ぜで悩むのが良き。ここまでのネルとの交流もあって愛したくて、でも自分の拒否感も何処かにあって、さらに精神ストレスも積み重なって、とどめに血を吸われて貧血で〜みたいな。ただ今の時点でもなんとなくそういうのを察せるところが強かったので、今のままでも良きかな。
>サマンサの陰鬱描写
好き、ただただ好き。サマンサが卑屈だとか色々あるかもしれないけれど、でも等身大の少女として悩んでて好き。うだうだ悩む、死にたい気持ちを抱えている、他責する、どうしようもない、辛い、誰か助けて、でも怖い。こんな感じのキャラが私自身大好きなので、褒める他なし。
>ネルとシンシアの関係
ネルとサマンサの関係よりも描写は少ないけれど、この二人の関係性も好き。やはり死にたい少女×生きたい吸血鬼(でもどこか死にたいと感じている)の掛け合わせは至高。ネルが逃げ出したのも良し。そしてサマンサとの関係の中でシンシアのことを強く、強く思い出すのもまた良し。好き。
>ラストシーン
最後の最後に、ネルにとっては「敵」なはずの教会の中で二人が死ぬのが好き。そんな空間の中でサマンサが「異郷」でしか無かった日本のさくらを想うのがこれ以上無く美しく感じた。桜の木の下ってこんな感じなんだろうなあ。わざわざ他の移民系ではなくて日系人の視点にしたのも、この最後の「異郷だけれども心から手放せなかったどうしようもない故郷=日本を思う心」を破滅の美として描きたかったからなのかな……と思ったりいたしました、違ったらごめんなさい。
>全体として
吸血鬼×少女のカップリングがそもそも好きなうえに吸血鬼側がトラウマ持ちで人間時代に散々抑圧されてきていたっていう設定込みで大好きな物語でした、読ませていただきありがとうございます! 最後の最後に二人が死ぬのも良し、最高。私にとってはこれ以上ない純愛でありました。
ここまで長々と書いてしまいましたが、私からは以上です。長文失礼しました、創作活動頑張ってください!
良かった要素
ストーリー 文章
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