俳句添削道場(投句と批評)

北野きのこさんの添削得点の高い順の3ページ目

「秋近し上川盆地の朝ぼらけ」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 秋近し上川盆地の朝ぼらけ

腹胃壮さんこんにちは。
ご無沙汰しております。

初めてお目にかかる皆さん、どうぞよろしくお願いします。

皆さんのご指摘、ご添削それぞれに深く頷いております。
掲句を一読して、上川地方の豊かな農地の光景が私の脳内には鮮明に再生されました。
私は北海道在住で上川地方にもこれまで色々な形で訪れています。
夜通しの長距離移動をして、明け方に上川辺りで美しい田畑を眺めた大昔の思い出が蘇りました。

ただ、映像が具体性を持つか否かはやはり固有名詞への親しみの度合いに大きく左右されてしまうと思います。
もしも東北の米所を詠んだ句であれば、私にはそれほど大きな共感やリアリティを得られなかったはずです。

そう言った意味でもより広い層に映像を届ける工夫は求められるのでしょう。
またそうする事が、固有名詞への関わりが比較的深い読者の心をより強く打つ句を目指す事にもなるのではないでしょうか。

「米」「田」「農夫」「トラクター」など具体的な映像化に寄与するワードを盛り込もうと試みましたが、音数調整が中々難しいですね。
私も「北海道の上川」である事は明示したい気がするので、なおさら困難です。
固有名詞の代替案として「宗谷本線」「道央道(道央自動車道)」なども考えてみましたが、ここまで来るとクイズの域に達してしまいそう(笑)

以上を踏まえてハオニーさんの「品種名」という発想には大変驚きました。
舞台が北海道である事を押さえつつ、五感にリアルに訴える内容だと思います。

私からは感想しか申し上げられず、恐縮です。
今後も勉強させていただきます。

点数: 3

「ボンネット知らずと猫の昼寝かな」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: ボンネット知らずと猫の昼寝かな

徹之さん初めまして。
よろしくお願いします。

昼寝が夏の季語なので夏の日中の猫を想像きました。
ジリジリと熱せられたボンネットの上では何とも寝苦しそうな気が…

「車の価値も知らずに、のうのうと猫が寝ている」という状況から季語を選び直してみました。

かぬまっこさんがご指摘の通り、車の上にいるのが猫である事が示されていれば、猫が「車の価値など知らずに」いる事は明白だと思います。
「猫にとっては車の価値なんてどうでも良いんだなぁ」という思いを強調するのであれば、
車の価値あるいは猫の様子を記述するのはどうでしょうか?

軽トラの荷台で子猫が寝ているのか、
フェラーリの屋根をボス猫が占拠しているのか、
レトロカーの上に老猫が丸まっているのか、
色々な世界が描ける気がします!

高級車屋根に子猫のひなたぼこ
フェラーリに野良猫三匹ひなたぼこ

「車」とあれば「屋根」とさらに場所を絞る必要は無い気もするのですが…

真冬の寒冷地では停車直後のエンジンルームに暖を求めて野良猫が入り込んだりします。
発車直後にボンネットから猫の悲鳴が聞こえた…というごくごく個人的トラウマから「屋根」と明示したかった次第です(笑)

点数: 2

「涙拭き梅薫り立つ道進む」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 涙拭き梅薫り立つ道進む

小泉美香さん初めまして。
入学試験を終えられたとの事、大変お疲れ様でした。
句の感想を述べさせていただきます。
よろしくお願いします。

合格を知らせる表現として「桜咲く」がありますが、詠み手が一番に待ち望んでいた花は残念ながら咲かなかった、という点がこの句のミソかなぁと感じました。

合格通知は来るには来たが「桜」とは異なる報せだった。
でも「梅の薫る道」を進んで行きます、という決意。

詠み手の悔しさとそれに負けない決心を「梅」という季語の凛とした美しさが受け止めていますね。
この句では季語を用いて心理的な情景を表現する事に成功しているので、「涙拭き」という人物の気持ちを表す記述は省けるかなと私は思います。

読み手に対して涙を流す様な状況を明示するのか、漠然と「悲しい状況があったのかな?」と想像させるのか、どちらの作戦もありだと思います。
私は前者に挑戦してみました。

サクラチル我進む梅薫る道
サクラチル梅薫る道我の道

カナ表記にして「サクラは季語じゃないよー」とアピールしてみましたが、それでも桜と梅という大スターの共演なので、我ながらヒヤヒヤしてもいます(笑)
いかがでしょう?

新生活が実り多いものでありますよう、お祈り申し上げます。

点数: 2

「細雪や礫に変はる妻を抱き」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 細雪や礫に変はる妻を抱き

腹胃壮さんこんにちは。
猫の恋の句にコメントをありがとうございました。
お褒めの言葉を頂き、嬉しい気持ちでいっぱいです。
実際の所、あの句は偶然の産物が沢山入り込んでできあがった物なので、自分の意識の下で効果的な作句ができる様、今後も頑張りたいと思います。

さて、句の感想を述べさせて頂きます。
恥ずかしながら時実新子さんも橋本多佳子さんも存じ上げなかった私なりの感想ですが…

コメント欄に挙げられていた句を拝見する限りでも、情熱的な恋愛を経験し、俳句や川柳を残した方なのだと言う事は理解できました。
他所の男性と情念を交わす妻を見る夫の心情を読んだ句なのだと思います。

掲句の字面だけから、その事を理解するのは私には難しかったです。
「礫に変わる」が体を強張らせた状態の喩えとの事でしたが、この用法は一般的なのでしょうか。(私の不勉強でしたら申し訳ありません)
「礫(=小石)に変わる」と提示されたら、「この妻は亡くなったのかな」と読み取る人の方が多い気がします。

直後に「抱き」があるので、本当に手元に礫がある訳ではない
(抱ける様な大きさの石を礫とは呼びませんよね)
→何かの喩えなのかな…と考えてヒントを探す
→「細雪」…ひょっとして雪礫の事…?

という位の所で私の読解は座礁してしまいました。

解説を伺えば、
「心ここにあらず、けれど強い情念を宿した状態」
の比喩として工夫されたのかなと思うのですが、素人の私には正直難解でした。

個人的には雪の景色を下五に配置した方が余韻が生まれるかと思います。
抱く妻の凝りし心細雪
見つめれど抱けども融けず細雪

点数: 2

「初蝶の貪る空や地鎮祭」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 初蝶の貪る空や地鎮祭

酔いどれ防人さんこんにちは。
いつも私の句へコメントを頂きありがとうございます。

それぞれの単語がそれぞれの効果を存分に発揮していると感じました。

「初蝶」で新たな季節を迎えた喜びや高揚感、おめでたさが見えます。
「地鎮祭」で作者の状況や心情が見えてきます。

この気持ちが「貪る」でさらに強調されますね。
一瞬「他の晴れ晴れとした要素の中にマイナス要素を含む動詞を配するのはどうなのかな?」とも思ったのですが、作者の状況を考えればなるほどと思わされます。
動詞に託す事で感情がこんなにリアルになるのですねぇ…!

蝶の様子から空へ光景を広げてからの切れ字でカットが切り変わり、地鎮祭へ続く展開も鮮やかだと思います。
読み終えて、春の空の下で地鎮祭を迎えた人物の心情がしっかり余韻として残りました。

どこか添削してやる、と意地悪な気持ちで見ても切り崩せませんでした(笑)
とても素敵な句ですね。

点数: 2

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