「お疲れと並んで座る秋の風」の批評
回答者 イサク
添削した俳句: お疲れと並んで座る秋の風
おはようございます。
上から目線で申し訳ないですが
とつぜん「俳句らしく」なりました(かなり褒めています)
◆これまでと違って、映像と風景と音がしっかりと想像できる句です。
これまでの句は遠回しに言い過ぎて伝わらない部分が多く、「すすすすす」の句も独創的ですが何を想像するか自由過ぎて、風景を受け取るのが難しかったのです。
この句は
・「お疲れ」という誰かの声
・「お疲れ」「並んで座る」ということで、一人が座っているところにもう一人が近寄ってきて横に座るという具体的な映像。
正面に座ったわけでも、離れて座ったわけでもない、ということが理解できます。
・「秋の風」から、屋外の風景。ベンチや、気軽に座れる植え込みなどを想像しました。
暑苦しくも寒くもなく、少なくとも雨は降っていません。
・あとは受け取り手の経験で、
二人は友達か?先輩と後輩か?上司と部下か?男性と女性か?
場所は公園か?都会のビルの間のちょっとしたスペースか?ドラマに出て来るような海の見える場所か?
などの想像が膨らみます。
◆季語「秋の風」
今回の「秋の風」これは肌に風を感じますし、屋外のどこかであることがわかりますし、季語以外の部分との相性もよく、組み合わさって受け取った者の頭の中に風景を感じさせる季語を使えたと思います。
たとえば以前の句の「秋の夜」。この季語は夜であることを説明しますが、季語自体に具体的な場所や風景がないので、季語以外の部分で風景を補った方がよいのですが、上手くかみ合っていませんでした。
また「夏のこと」の句も、「夏」の想像範囲が広すぎて、「五月頃の初夏の風景」「じめっとした梅雨の風景」「本格的な夏休み頃の風景」などいろいろ想像できすぎて、季語以外の部分がそれを補えてませんでした。
この句の「秋の風」は、よかったと思います。
五七五と季語ひとつ、の次の基本「意味が伝わること」はこの句なら楽々クリアします。
その次の段階「風景が想像できる」「説明臭くない」など他にもいろいろありますが、これも達成できていると思います。この調子ですね。
さんざん上から目線ですみません。長くなるのでこのあたりで。
点数: 1