俳句添削道場(投句と批評)

ヨミビトシラズさんの添削最新の投稿順の14ページ目

「句を詠んで苦しみ抜いて小槌振る」の批評

回答者 ヨミビトシラズ

添削した俳句: 句を詠んで苦しみ抜いて小槌振る

私は歳時記に明るくないので、「小槌振る」が季語かどうかの話はしない事にします。
仮に季語であったとして……問題は、「小槌振る」に込められた意味(≒書き手の思い)。

「小槌振る=願いが(簡単に)叶う/願いが叶うかもしれない/何とか願いが叶って欲しい」から

他力本願
叶わぬ時の神頼み
溺れる者は藁をも掴む
人事を尽くして天命を待つ

等のキーワードが出てきます。
で……どれを読むかによって、句の方向性が全然違ってきてしまうので、もう少しヒントが欲しいところ。例えば、

句を詠んで何とはなしに小槌振る
句を詠んでただひたすらに小槌振る
句を読んでただ一度だけ小槌振る
句を読んでふらふらのまま小槌振る

「小槌振る」の様子を書くだけでも、色々とバリエーションが出てきます。もっとも、このままではどうしたって説明っぽいけど……

句を詠みて壁切るやうに小槌振る

自らの迷いを断つように、小槌を振る。
こんな感じにすれば、迫力も出るけど……ルパンの石川五ェ門じゃあるまいし、大袈裟かもね(-_-;)

とにかく、色々と試してみると良いですよ。

点数: 1

「立ち漕ぎのスーツ淑気をひるがへす」の批評

回答者 ヨミビトシラズ

添削した俳句: 立ち漕ぎのスーツ淑気をひるがへす

立ち漕ぎ(自転車による全力疾走)をすると、スーツの裾がひらひら舞い、翻る。その様子は、まるで淑気を翻しているかのようだ……と、第一感では読みました。

それを受け、軽微な悩みどころが4つ。

【1.下五の語尾の問題】

立ち漕ぎのスーツ淑気をひるがへす(原句)
立ち漕ぎのスーツ淑気をひるがへし

景の動き(自転車による全力疾走+スーツの裾が舞う様子)を重視するなら「ひるがへし」として、最後を切らずに終えるのも手かも。逆に「ひるがへす」と言い切れば「淑気をひるがへす」という行為その物に重心がいく(=「「淑気をひるがへす」という事象を発見した」というようなニュアンス)。
どちらが良いかは、書き手の選択によります。

【2.中七の措辞の問題】

立ち漕ぎのスーツ淑気をひるがへす(原句)
立ち漕ぎのスーツの淑気○○○○○

「スーツ=淑気」の扱いで良いならこの形も手だが、「スーツ≠淑気」を明確にしたい場合は使えない。

【3.急所を「(淑気を)ひるがへす」にするか「淑気」にするかの問題】

「スーツが翻る」と「淑気を翻す」が連携しているのは句を見れば何となく分かる(読みが間違っていたらごめんなさい(>_<))ので、「ひるがへす」よりも「淑気」の方を急所に据えた方がインパクトが出るかも。

立ち漕ぎのスーツの抱く淑気かな
立ち漕ぎのスーツの○○○淑気かな

ただし、この場合は音数の調整のため「ひるがへす」を消す必要がある。「ひるがへす」は書き手の工夫だと思われるので、消すのは非常に躊躇われる。また、散文の語順にかなり近いため、かえって味が出ないかもしれない。

これとは別に、

立ち漕ぎのスーツひるがへす淑気(破調:八八編成)

として、「立ち漕ぎのスーツひるがへす」「ひるがへす淑気」のコンバインド俳句にする方法もある。ただし、この場合は調子の関係上「淑気」がちょっと浮く。また、先程と同様「スーツ≠淑気」を明確にしたい場合、これは使えない。

……一周回って、やはり急所は「(淑気を)ひるがへす」の方が良いような気がしてきました(^_^;)

【4.「淑気をひるがへす」という語そのものの問題】

「翻す」は、「さっと裏返しにする/からだを踊らせる/態度などを急に変える/風になびかせる・ひらめかす」の意味らしい。
私は、第一感では「さっと裏返しにする」の意味で読んだが、淑気そのものに裏表など無い(と思われる)ので、ちょっとした違和感があった。しかし、単に「風に(風のように)なびかせる・ひらめかす」と読めば問題はない。セーフと見るべきであろうか。

こうして見ると……第一感ではちょっと不安定な句のように思えたが、意外にも修正できる余地は少ない。隙がなく、措辞も優れている非常に優秀な句と言えると思います。
……個人的な検証の実験台に使ってしまったようで、申し訳ありません(>_<)

それにしても……「立ち漕ぎでスーツが翻る」から「淑気を翻す」……よく思い付いたものです。何か、物理の「作用反作用の法則」っぽい趣があるような(^_^;)

点数: 2

「初雪で幼子の声響く朝」の批評

回答者 ヨミビトシラズ

添削した俳句: 初雪で幼子の声響く朝

語の選択・配置等に問題はなく、ズブの初心者にありがちな「何を書いているのか読み手に全く伝わらない(or伝わるのに時間が掛かる)俳句」ではありません。季語などの要件も満たしており、ある程度基本的な事は心得ているものと思われます。

今回は、「説明っぽさの回避」と「助詞「で」の危険性」のお話をしたいと思います。
助詞の「で」のお話に関しては慈雨さんの説明とかなり被りますが、ここではさらに一般的なお話を。

俳句は、「句景(句に書かれた景色)を通じて句意(書き手の意図)を伝える」という性質の文学です。もっと踏み込んで言えば、「書き手が考えている事を、句景を通じて読み手に考えさせる」文学なのです。

この性質ゆえに、俳句は過度な説明を嫌います。「説明っぽさ」の原因となるのは、主に以下の5つ。

1.不必要な言葉を使う
説明っぽくなる上に音数の無駄遣いになります。書かなくても良い単語は極力省きましょう。

2.用言(動詞・形容詞・形容動詞)を多用する
用言は、究極的には「名詞の状態を説明する単語」です。故に、入れれば入れる程説明っぽくなります。

3.特定の助詞を使う
2と同じ原理で、説明っぽくなります。詳しくは後述。

4.副詞を使う
いくつかの副詞は、うかつに使うと書き手の感情(≒句意)が漏れ出てしまいます。日常会話では何気なく使ってしまう事の多い品詞ですが、俳句では要注意。

5.主観(≒書き手の感想=句意)を直に書く
句意を直に書いてしまうと、読み手は句意を読む楽しみがなくなります。「書き手がこう思った・判断した」と分かるような描写は、どうしても必要な場合以外は書かないで下さい。
例えば、「幼子の高い声が響く」は客観(=単なる事実)ですが、「幼子の喜んだ声が響く」は主観(=「喜んでいる」と書き手が判断している)です。

で、今回説明するのは3に関係する話で、「助詞「で」の危険性」をお話しします。

https://japanese-language-education.com/dekaku/

「で」の使用法は【場所】【手段】【起因・根拠】【主体】【限界】【領域】【目的】【様態】の8つ。しかし、これらは全部「説明」です。
俳句では、「で」は別の助詞(主に「の」や「や」)で代用したり、あるいは語順を変更したりすれば回避できる事が多いです。

今回の句も、

初雪で幼子の声響く朝(原句)
初雪や幼子の声響く朝

「初雪で」の「で」は【起因・根拠】ですが、「や」で切って並べておくだけで意味は十分伝わります。これだけで、ほぼこの句は完成と言って良いです。

もう一つ言えば、「幼子の声→響く」はほぼ当然なので、

初雪や幼子の声跳ねる朝

くらいの冒険は、大丈夫だと思います。

以上、非常に説明っぽい説明で申し訳ありません(^o^;)
でも、初心者としてはかなり良い線の句だと思いますよ(^_^)b

点数: 0

「あご髭のなびく銅像北吹けり」の批評

回答者 ヨミビトシラズ

添削した俳句: あご髭のなびく銅像北吹けり

「銅像のあご髭は風が吹いたからといって靡くものではない(銅製だから当たり前だが(^_^;))が、北風を前に、銅像のあご髭が立派に靡いているように見える」という句。
着眼点はものすごく良いと思いますが……「真理(=「銅像の髭」の本質)」を考えると、ここは「逆のアプローチ」をしてみた方が良いかもしれません。

先程も言ったように、銅像のあご髭は銅製です。故に、風に靡いているように見える髭であっても、実際は風があろうが無かろうが、いつも靡いている物です。
故に……「立派に靡いている銅像の髭」に合わせるのは、「北風」よりもむしろ「無風」の方が印象深くなるのではないでしょうか。

初凪や銅像の髭なびきたる
初凪を銅像の髭なびきけり

また、もう一つのアプローチとして、「北風」を活かすなら「銅像」をオチに持ってくる方法があります。

北風やあご髭靡く記念像
北風やあご髭靡くクラーク像

「北風+あご髭が靡く→普通(=人間)だったら当然じゃん」と思わせておいて、最後にどんでん返しをする方法です。これでも、インパクトは十分。

もちろん、「初凪」の方でも面白いですよ。

初凪やあご髭靡く記念像
初凪やあご髭靡くクラーク像

初凪の場合は、「初凪+あご髭が靡く→どうなってんの?」と思わせておいて、最後に「銅像」。
ただし、「銅像」をオチに持ってくる場合、「初凪」の方はどちらかと言うと「諧謔」の方に比重を多く置いており、全体の景や展開が「つまらない」と思われるとインパクトが落ちる。「オチが予測されやすい・景そのものは単純である」と思った場合は、「情感」に比重を置いていて穏やかな展開である「北風」の方を選んだ方が良いかも。

点数: 0

「きのふ見し青より蒼き初御空」の批評

回答者 ヨミビトシラズ

添削した俳句: きのふ見し青より蒼き初御空

「きのふ見し」が宙ぶらりんで、ちょっと危険。

私の第一感の読みは、

きのふ見し「青より蒼き初御空」(※1)

で、「昨日、青よりもさらに蒼い初御空を見た」という句景。「どうしてわざわざ「昨日見た」などという事を言うんだろう……過去の景になればそれだけ季語の鮮度は衰えるし、この要素は入れた所でほとんど何の意味も無いぞ?」と思ってもう一度読むと、

「きのふ見し青」より蒼き初御空(※2)

とも読める。これなら、句景は「初御空の前日(大晦日)に見た空の青よりも、初御空の空はさらに蒼かった」となる。恐らく、本来の句意はこちらの方であろう。

(※1)の句意の場合は、「昨日見た」を撤去して

○○○○○青より蒼き初御空

とし、「今この景を見た」とする方が自然。上五には色々と入れられるので、後はそちらにお任せします(^_^;)

問題は(※2)の句意の方。この場合、誤読を避けるにはいくつかの方法があって……

きのふ見し青よりも蒼初御空

中七下五で切れを入れるのも一つの方法だが、一番確実なのは「昨日」と「青」を助詞で直結させる方法。

きのふの青より深き蒼初御空
去年(こぞ)の青より深き蒼初御空

ちょっと苦しいけど、これなら誤読なしで一気に読み下せます。それでも、句跨がりによる窮屈な感じと、説明っぽさからは逃れられない……どうしよ(*_*)

点数: 1

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