「満月や小さくなりし金華城」の批評
回答者 鈴蘭
添削した俳句: 満月や小さくなりし金華城
こんにちは、はい、ぜひ!
長くなりますが、実は今回、私の中で気にしていたのは「主役は誰」ということなんです。
満月や金華山城呑まんとす←月が主役。月が大きくて少し怖い。
満月に押さるる城や金華山←金華山が主役。月と城のあれやこれやを包括して揺るぎなくそびえていることよ。
満を持し名月迎ふ金華城←金華城が主役。名月にも負けない威厳があるぞ。
というわけで、「満月に呑まるる城や金華山」は「満月に押さるる城や金華山」と同じタイプになります。感動の焦点は切れ字のついた「城」。満月に丸呑みされていく城があり、それが建っている金華山よ!となります(なお、「満月に城押さるるや金華山」にすると、城が金華山の所有物みたいになるので、せっかくのお城がもったいないか…と思ってやめました)。
で、あえて「押さるる」にした理由ですが、「呑まるる」は若干言い過ぎになるかもというのがひとつ(実景を見ていないのでわかりません。実際すっぽり入っていたなら良いと思います)、それと「満月に呑まるる城」の時点で、呑まれゆく城に注目してしまい、満月の印象が薄くなりそうだったのがひとつ。城自体も、呑まれる=存在が消えてゆく以上、印象が心もとなくなってしまうと思いました。「押さるる城」も構造は同じですが、まだ満月を視界に収めたまま読んでもらえそうな気がしたのです(効果の程は果たして…)。しかもそのあと「金華山」が印象を攫っていってしまいますし。
そういう意味では、「満月やすっぽり入りし金華城」の方が、月も城もほどよく見えていて充実感はあると思いました。若干面白みが足りない気もしますが、逆に素朴に振って「満月や山城すっぽり円の中」的な方向性もあったかもしれません。
以上は私が現場を見ないで考えたことであり、最後は作者様がどこに感動したか次第になります。たとえば普段から金華城に愛着があり、それが月に呑まれてしまうよ、心細いよということであれば「満月に呑まるる城や金華山」も別の力を纏うと思います。その場合は「城よ」も有力かもしれません。
点数: 1
