「詩は星にかわりて喇叭水仙葬」の批評
回答者 みつかづ
添削した俳句: 詩は星にかわりて喇叭水仙葬
気まぐれ亭いるかさん、貴句、拝読いたしました。
結論から申しげますと、「詩で負けた訳ではない。立ち上がる景の差」。
先ず、にゃんさん作「喇叭水仙ひかりを採譜するように」の天選の句についての
私なりの鑑賞文です。
季語「喇叭水仙」。花被片の部分は大体が黄色か白色。
採譜は私めも成人する前後にしておりまして、
「聞いた音楽を楽譜に落とし込む事」を意味する名詞です。いわゆる耳コピ。
ラッパの類では楽器の色は、トランペット、コルネット、ユーフォニウムは銀、
トロンボーン、ホルン、チューバは金なんですよね、大体。
そして、光そのものは採譜できませんが、それらの金管楽器が鳴らした音の長さや
強弱は順に採譜可能で、それらを「ひかり」と形容した可能性があり、
喇叭水仙の開き方の見た目が、トランペットやトロンボーンのベルの部分
(=楽器の先端の開いて音が出る部分)を思わせるんですよね。音も想像させる。
採譜は手書きの場合は大体は鉛筆か黒ボールペンを使いますし、
パソコンソフトで採譜するにしても、音符って黒いんですよ。楽譜は白ですし。
3つ以上の色の対比と、音の有無の対比。
金管楽器の音色がブラスバンド、オーケストラ会場の照明の光のようとの
例えの包含。それが17音にパッキングされているという事になるんですよね。
つまり、「句面には一切書かれていないのに、矛盾無く景がここまで立ち上がる」。
それが前提で、改めて貴句を拝読いたしますと、句面では季語が喇叭水仙ですので、
花言葉の「尊敬」、「報われぬ恋」から「恋人との死別かな?」までは何とか
辿り着けますが、「星にかわりて」の措辞に手垢が付いてますし、
もし「物換星移」の意味(物事が変わり、時代が移り変わる事)だとしますと、
「葬とは故、安倍元総理大臣の葬儀の事?」と、読解の読みが
混乱しちゃんうんですよね。先程の花言葉の「尊敬」が来てしまいますので。
そして、「詩」も何の事なのかが分かりにくいですよね。
詩とは「自然や人事などから受ける感興・感動を、リズムを持つ言語形式で
表現したもの」を表す名詞ですので、「詩は星にかわりて」の措辞ですと、
「星の事を書こうとした作詞家が亡くなった春の事?」との読解も可能で、
作者コメントにお書きの「彼は死は詩となって星へと変わっていったのだ
そんな彼の好きだった喇叭水仙の花を別れ花として捧げよう
その花は天使の吹く喇叭であり彼が変わっていく星でもあるのだ」に、
「彼とは誰の事なの?」との謎が残ったまま読者側で
収束させるのが難しいんですよね。
作者コメント無しでも、「こういう収束ですよ。真実は作者の悲しみですよ」と
読者に分かる様な句面でないと、矛盾無く立ち上がる誤読の景の危険性が
消えないままなんですよね。
今回は添削案も作句案も私めからは提示いたしませんが、
天の句は「類想に見えて、実はそうなっていない」所まで行けるジャンプ力が
あります。そこからヒントが得られると私めは思います。
喇叭水仙から合奏などの金管楽器を思わせる事は誰でも考えますので、
類想を突き破るだけの独創性を加えるか、全く違う角度から攻めるか、ですよね。
以上でございます。お目通しいただき、感謝いたします。
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