元記事:The Last Nightの批評
はじめまして神井様
『The Last Night』を拝読いたしました。
投稿してもブクマが入らないとのことです。
投稿サイトにいる大多数の読者はどんな人たちか、ちゃんと想像しないといけないですよね。そこには中学生の女子もいますし、高校生もいるでしょう。もちろん大人もいます。そして、大多数の読者が楽しんで読んでいる小説とはどのようなものかを考える必要があります。
思春期の女子が読むようなものは、甘くスイートで、少しせつなさがあったり、想いを告げられないもどかしさや、キュンキュンするような純粋さを感じる恋愛かもしれません。大人の女性であれば、婚約破棄や浮気されたけど王子様的な新しい男性が現れる話などでしょうか。オフィス・ラブや危険な恋愛なんかもあると思います。私自身は男性で年齢もだいぶ上なので詳しくはわかりませんが、大多数の読者はスマホで手軽に読める、ゲーム代わりの感覚で読んでいると思われます。
そういった作品と、神井様が書かれているものを比べてみてください。ムーンライトノベルズのほうも見てきましたが、小説的には少数派です。この点を、おそらくは低く見積もっているのではないでしょうか。ご本人は理解しているつもりでも、その理解が弱いと感じます。
ほとんどの小説には、注意書きなんて必要としない場合が多いです。読者側も、「注意書きなんて読まなくてもいいだろう」という感覚で読んでいます。前書きにどれだけ注意書きを入れようと、読者は大多数派なのです。
「こういう小説を書くな」ということではありません。ただ、マイナリティ側にいるという自覚が欠けているように思います。少数派であるなら大多数派を知り、理解する必要があると思います。どんな読者がいるのか、読者から自分はどう見られているのか、です。
だから一度、書店に足を運んで恋愛小説のコーナーを見てきたほうがいいと思います。何冊か買って読んでみてください。そういった人気作を書けということではなく、読者を知ってほしいということです。
では、神井様のような小説が需要がないのかと言えば、そんなことはないと思います。ただし、ネットでは厳しいかもしれません。たとえば、公募で受賞できるレベルの作品でも、驚くほどPVが伸びないことがあります。書籍向きの小説はネットでは読まれにくいことも多いです。
勝負の場を公募に移すのも一つの方法かもしれません。今はまだ、少し甘さが残る状態で書かれているように思います。借りてきた設定ばかりで書いている印象もありますので、独自の世界を構築して公募に挑戦してみてはどうでしょうか。より厳しいところに身を置くことも考えてみてください。必ず応募先は見つかると思います。長く創作を続けてきて評価の場に立たないのは、ある種の逃避かもしれません。そろそろ、ぬるま湯から出てみるのも良いのではないでしょうか。結論としては、ネットには需要のある小説を置き、裏では公募に挑戦するのが最適解かもしれません。
あと気になったのは、文章はしっかりしているのですが、小説としての技術が足りていないように思われる点です。たとえば、登場人物の性格設定と恋愛感情の描写です。サマンサは気丈で芯の強そうな性格です。死にたいと思う女の子とは思えず、ストーリーと噛み合っていない印象でした。
恋愛感情の描写については、互いに愛し合っているという実感が伝わらないまま、物語が進んでいるように感じました。これは、気持ちの変化を伴うシーンが描かれていないためだと思われます。小説では、登場人物と一緒に「共体験」させることで読者に感情移入を促します。ただ「好き」と書くだけでは伝わりませんし、心情を描写で表現してもそれは情報として伝えているだけとなります。読者が登場人物と共に体験できなければ、描写は単なる説明にとどまってしまいます。
このままの路線でいくにしても、読んだ人に文句を言わせないくらいの筆力は必要かもしれません。あれこれ言われないだけの実力を身につけてほしいと思います。
いずれにせよ、投稿サイトにはスマホを片手に、思春期の女子がゲーム感覚で読めるお気楽な物語を楽しみに訪れているということ、そしてそういった読者が非常に多いのだということは忘れてはならない点です。
また、作者というものは視野が狭まり、独りよがりになってしまうことがあります。他人からすれば明白な違和感にも気がつけなくなります。たとえば、本作のように英語タイトルにしたり、注意書きを大量に入れたりすることは一般的ではありません。大多数の読者からみたらどう見えるのかということを意識してみてください。
最後に改善点を列挙します。
・タイトルは日本語が望ましい。
・注意書きは書かない。(なくても大丈夫なように書く)
・英文・仏文は挿入せず、日本語だけで伝える工夫をする。
・心の声としてのカッコ()の多用は避ける。
・視点は長いスパンで統一し、不要な視点は入れない。
・わかりやすいログラインを意識する。
・物語全体の構造を整理する。
私は「英語禁止」「人気ジャンルに挑戦」の縛りでトレーニングしたほうが良いと思います。読者側からどう見えているのかは常に気にしてみてください。
以上です。
参考になる部分だけを受け取っていただけたら幸いです。
頑張ってください。応援しております。
上記の回答(The Last Nightの批評の返信)
スレ主 神井 : 0 投稿日時:
高瀬さま
このたびは『The Last Night』に丁寧なご批評をいただき、誠にありがとうございました。
お読みいただいたうえで、サマンサの気丈で芯のある性格が伝わったこと、とても嬉しく思います。まず、それだけで作者としては救われる思いです。彼女を「陰鬱すぎる」「ひたすら卑屈なだけ」と受け取られたことも少なくなかったので、今回のご指摘は励みになりました。
また、英語タイトルの印象についてもご指摘ありがとうございました。確かに英語のタイトルが敬遠されるのは理解できます。読者にとってタイトルの第一印象は大きな要素ですので、邦題の検討も含めて改めて見直したいと思います。
いただいた批評から、投稿サイトでの読者層や読み方の傾向を改めて実感することができました。PV数やブクマ数と作品内容の深度・誠実さが必ずしも比例しないことについても、これまでの経験から私自身感じていた部分でもあり、冷静に受け止めるべき点だと再認識しました。このThe Last Nightよりも明らかに出来が悪い、もはや出来が悪い通り越して最悪と思えるような作品でもブクマ数が40以上獲得できたことも過去にありましたので…。それでも私の中でその作品への評価は変わらないのですが…。
まだ筆力は道半ばではありますが、自分の描きたい主題と丁寧に向き合いながら、読みやすさや伝え方も意識して、今後さらにブラッシュアップを重ねていきたいと思います。
貴重なご助言をありがとうございました。
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