小説のタイトル・プロローグ改善相談所『ノベル道場』

柊木なおさんの返信一覧。最新の投稿順2ページ目

元記事:幻想砂漠(仮題)

創作相談掲示板のほうにも投稿させていただきました、仮想現実を舞台にした話です。

ストーリーを語らずに見せる、スピード感のある文体を模索しています。
描写の過不足や場面の組み立てなどについて、ご意見をいただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。

上記の返信(幻想砂漠(仮題)の返信)

スレ主 柊木なお : 0 投稿日時:

ストーリーのほうを先に進めなきゃと思いつつ、せっかく良いアドバイスをいただいたのに放置するのもあれなので。意識した点は以下のとおりです。
・音を含め、もう少しリアルな質感を出すように
・導入なので、キャラクターの性格と背景をもう少し明らかに
・主人公がいずれ赴くであろう場所のヤバさを強調して、今後のストーリーに期待感を持たせる
・ひとつひとつのやり取りやアクションが味気なかったので、ちょっと増量
個人的な好みで言えばもっと書き込んでもいいのですが、今回はさくさくシーンを進めて、とにかくストーリーを追ってもらいたいので、これぐらいが限度でしょうか。
特にシーンのテンポや長さが適切かどうか(好みにもよると思うので、主観的な感想でも構いません)、ご意見をいただけるとありがたいです。
もちろん他のアドバイスもお待ちしています。

 ひな型から余分を削ぎ落とした、整然としたオフィス。
 革張りの椅子に深く沈み込み、クラウはいかにもやる気のない様子で、手元の端末をいじっている。
 ふと誰かの視線を感じて、顔を上げる。
 入室を許可した覚えもなければ、見たこともない少女が目の前にいる。
「腕の良い運び屋を探してるんだけど」
 いかにも良いとこのお嬢様。〈レーヴ〉風の活発なパンツスタイル。
 にこりともせず、深々と青い瞳でクラウを見つめている。
 ちょっとしたホラーである。
 が、裏稼業はビビったら負けだ。
 人差し指でさりげなくデスクを二回叩く。こつ、こつ。 
 つとめて何事もなかったふうを装って、手元の作業に戻る。
「こっちが探してるのは依頼人だ。迷子じゃなくてな」
 スクリーンの起動音。
 再び顔を上げたクラウの目と鼻の先で、シティ・バンクの残高証明が展開されていく。
 わざわざ数えるのも億劫になりそうな、天文学的数字の羅列。
 名義人は、空欄。一般市民には縁のない、クラウからすれば見飽きた、大なり小なりの犯罪者御用達の裏口座。
 ため息をひとつ。端末をデスクの上に投げ出し、面倒くさそうに少女を見やる。
「で?」
 スクリーンが消える。
「セイクルスまで。期限は明後日の12時」
 大陸の向こう側にある、海を望む大都市だ。
「北ルートなら5日、南ルートなら一週間。うちより早いところを見つけたら逆に教えてくれ」
 少女は首を傾げる。
「なんでわざわざ遠回りするの?」
 クラウは小馬鹿にしたように笑う。
「なんで?」
 ぐるりと椅子を回して、背後にある大きな窓を振り返る。
 そこに広がるのは砂が渦巻くばかりの荒野。悪意ある怪物のように蠢く。すすり泣きにも似た風切り音が、ガラス越しにかすかに聞こえてくる。
「どうして未開発領域があんな異様な風景に設定されてるか、知ってるか? まともな感性のやつが、ちゃんと二の足を踏むようにさ。あんなとこに踏み込んだら、二度と帰ってこれるわけがない……ってな」
 少女はため息をつく。
「要するに、どういうこと?」
「〈レーヴ〉で未開発領域を横断しようなんてのは、白血球にアカウントをBANされたい自殺志願者か、不整合データに脳みそをぐちゃぐちゃにされたい変態だけだってことだ。……授業料はいらないぞ。ただの常識だからな」
 少女はちょっと考えて、うなずいた。
「あなたには無理ってことね。他をあたるわ」
 クラウの口元が引きつる。
 が、すぐに余裕ぶった大人の笑みを浮かべ、
「まあ待て。とりあえず、理由を話してみろよ。俺だって鬼じゃない、次第によっちゃ相談ぐらいは乗ってやる」
 少女がにやりとする。
「できないんでしょ? 悪いけど、私も暇じゃないの」
 ログアウト。
 少女の姿がかき消える。
 ほっぺたを引っ叩きたくなるような、生意気な笑みの余韻を残して。
 舌打ち。しばし中空を睨みつけ、
「エル」
 じわりと滲み出すように、一匹の黒猫がデスクの上に現れる。
 普通はもっと部屋の隅とかに隠れてるもんだろ、とクラウは呆れる。とはいえ、その大胆さに正当な実力の裏付けがあることは、相方としてもちろん知っている。
 黒猫は楽しげに尻尾をひと振り。若い女の声で言う。
「ずいぶん面白い子に絡まれたね。相手する気がないなら、最初から入れなきゃ良かったのに」
「許可してない。勝手に入ってきた」
「あらら」
 エルはひょいとデスクから飛び降りる。
 足音もなく塵ひとつない床を行ったり来たりしながら、
「ごめんだけど、捕まえられなかった。というより……なんだろ、これ。ログ見るかぎりね、ダミーアカウントですらないみたい。でも、こんな完ぺきに痕跡を消すなんて、私でも……。あの子、ほんとに実在してるのかな?」
 クラウはデスク上にスクリーンを展開する。
 苛立たしげな音を立てて、めちゃくちゃなスピードでコンソールを叩く。
「馬鹿馬鹿しい。幽霊が〈レーヴ〉にアクセスできるかよ」
 入退室ログ。
 確かに、ゲストアカウントの記録はない。ざっと見たところ、不審な改ざんの痕跡もない。
 エルが肘掛けに飛び乗ってきて、一緒になってスクリーンを見つめる。
 手のほうは忙しなく動かし続けながら、
「そういやお前、やけに来るのに時間かかったな。かつあげでもしてたのか?」
 トラフィックの監視ツールに質問を送る。
 技術者資格を剥奪される前、まだ〈レーヴ〉の開発にいた頃に、白血球のソースコードをこっそりパクってきて流用したものだ。
「あたらないでよ。私はあなたの召使いじゃないし、追跡は専門外だし、頭を捻るのはそっちの仕事」
「さいですか」
 回答。少女が現れる前と後で、不自然な通信量の変化はない。
 クラウはぎしりと背もたれに寄りかかり、ため息をつく。
 なるほど、彼女は本当に幽霊なのかもしれない。
 ふと思いついて、自身の会話ログにコマンドを送ってみる。
 0と1に分解された少女とのやりとりが、スクリーン上で再現される。
 滝のように流れる文字を目で追う。
 それほど期待していたわけではない。
 が、その手がぴたりと止まった。
 スクロールを逆転。
 一時停止。
「……舐めくさってんな」
 どれどれ、とエルが覗き込む。
 まるっきり暗号めいた文字列の中に、それを見つける。
 素人はもちろん、一流のプロですら見落としそうなほど巧妙なやり方で仕込まれた、砂漠の街の展望台を指し示す座標。
「次の面接会場ってわけだ」
 エルはクラウを見上げる。目が笑っている。
「で、行くの? 行かないの?」
 クラウは物も言わず、座標をダウンロードし、スクリーンを消去する。
 目を閉じて、深々と息を吐く。
 ややあって、
「ちょっくらおめかしするか」
 そう言った。コンソールを押しのけて立ち上がり、そのまま出ていくのかと思いきや、窓のほうに歩み寄って、地平の彼方まで続く荒野を眺める。
 第二の現実を謳う、人々の夢と夢を繋いだ仮想空間〈レーヴ〉。
 クラウが自分好みに設計した、快適そのもののオフィスとは訳が違う。
 そう。
 窓の外に広がる砂が渦巻くばかりの荒野は、開発がクラッカー対策に放った白血球プログラムや、エラーまみれの悪夢の残滓がひしめく、前人未踏の未開発領域だ。
 エルは少し首を傾げ、
「あら意外。やっとお金の大切さがわかった?」
「お前と一緒にすんな」
 振り返る。
 憤懣やる方なしという表情には、どこか期待するような色も混ざっている。
「乗るかどうかは俺が決める。いくら積まれようが関係ない。が、それはそれとして……」
 再び荒野に視線を戻して、口の端を釣り上げる。
「クソガキにはお仕置きが必要だよな」
 ログアウト。

スレッド: 幻想砂漠(仮題)

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元記事:幻想砂漠(仮題)の返信の返信

 設定などが程よく読み込める、いいプロローグになって居ると思います。
 ……と言っても、ここまで俺の意見しか書き込まれていないので他の人の意見も欲しい所ですが。

 個人的に難を挙げるなら、『動きに音が無いな』というのと、『韻を踏んでるわけでもないのに同じ音が連続する部分があるな』っていう二点。

 前者はそのまんまですが。このプロローグ、セリフ以外に『音』の描写が無いんですよ。猫のアバターを使っているクラウの動きでも良いし、アリスの衣装がひらめいたり、衣擦れを起こしてもいい。或いはクラウがキーボードを叩く音、それから《レーヴ》そのもののSEとか。
 なんでもいいんですが、『音が無い』という事に妙な無機物感を感じました。

 後者については、複数個所有るので自分で探してほしいんですが。『一般市民からすれば縁のない、クラウからすれば見飽きた』のように、意味が通じるんだけど音感的に少し面白くないというか……。
『一般人からすれば縁のない、しかしクラウには見飽きた』
『一般人には縁遠い、クラウからすれば見飽きた』
 でも良いんですが、複数の事を並列で書くときに主語を変えただけで『似た形』になっている文章がチョイチョイ見受けられます。
 感覚的な物で説明が難しいんですが、ちょっとテンポが悪いように感じました。

 以上二点。参考になれば幸いです。

上記の返信(幻想砂漠(仮題)の返信の返信の返信)

スレ主 柊木なお : 0 投稿日時:

大野様

ありがとうございます。
いや、めちゃくちゃ参考になります。

自分が読者ならこれぐらいかなーという情報量にしてみましたが、大野様は(もちろん私も)既に設定を知っているので何とも言えないですね……。当然好みによるのでしょうが、もう少し親切でも良いのかもしれません。説明抜きの造語も適当に入れましたが、SFファンゆえに自分の許容範囲がズレているのは自覚があるので、今回はあまり冒険するのはやめようかなと思います。

言われてみると、音に限らず質感がほぼないんですね。「リアルな」仮想世界という設定であるにも関わらず。
無機質感を出すために特定の場面で狙ってやるならともかく、確かに不自然な感じがします。
非常に良い視点をいただきました。ありがとうございます。

音の連続は奇妙な癖ですね。他にも自覚してるだけでもたくさんありますが。
手癖で書くとそうなるので、今回はちょっと意識してみます。

で、そもそもシーン自体が淡白でクソつまんないですね……。
文体にこだわる前に、まずは読めるストーリーにしようと思います。

お付き合いいただき感謝します。
ぜひ、引き続きご指導いただければ幸いです。

スレッド: 幻想砂漠(仮題)

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元記事:幻想砂漠(仮題)

創作相談掲示板のほうにも投稿させていただきました、仮想現実を舞台にした話です。

ストーリーを語らずに見せる、スピード感のある文体を模索しています。
描写の過不足や場面の組み立てなどについて、ご意見をいただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。

上記の返信(幻想砂漠(仮題)の返信)

スレ主 柊木なお : 0 投稿日時:

 せっかくなので、先に頂いたご指摘を踏まえつつ、もう少し小説っぽく書いたものを。
 相変わらず勢い任せの文体ですが、いったん脚本風に起こしたことで、うっとうしさが多少は軽減された……ような気がします。気のせいかもしれません。

 最低限の調度しかない、整然としたオフィス。
 革張りの椅子に深く沈み込み、クラウはいかにもやる気のない様子で、手元の端末をいじっている。
 ふと誰かの視線を感じて、顔を上げる。
 入室を許可した覚えもなければ、見たこともない少女が目の前にいる。
「腕の良い運び屋を探してるんだけど」
 いかにも良いとこのお嬢様。〈レーヴ〉風の活発なパンツスタイル。
 にこりともせず、深々と青い瞳でクラウを見つめている。
 ちょっとしたホラーである。
 が、裏稼業はビビったら負けだ。
 人差し指でさりげなくデスクを二回叩いて、相方を呼び出す。
 つとめて何事もなかったふうを装って、手元の作業に戻る。
「こっちが探してるのは依頼人だ。迷子じゃなくてな」
 スクリーンの起動音。
 再び顔を上げたクラウの目と鼻の先で、シティ・バンクの残高証明が展開される。
 わざわざ数えるのも億劫になりそうな、天文学的数字の羅列。
 名義人は、空欄。一般市民からすれば縁のない、クラウからすれば見飽きた、大なり小なりの犯罪者御用達の裏口座。
 ため息をひとつ。端末をデスクに投げ出し、面倒くさそうに少女を見やる。
「で?」
 スクリーンが消える。
「セイクルスまで。期限は明後日の12時」
 大陸の向こう側にある、海を望む大都市だ。
 鼻で笑ってやった。
 椅子を回して、背後にある大きな窓を振り返る。
 そこには砂が渦巻くばかりの荒野が広がっている。
「知らないみたいだから、教えてやる。〈レーヴ〉で未開拓領域を横切ろうとするのはな、白血球にアカウントをBANされたい自殺志願者だけだ。……ああ、別に授業料はいらない。ただの常識だからな」
 少女はうなずく。
「あなたには無理ってことね。ありがとう。他をあたるわ」
 クラウの口元が引きつる。
 が、すぐに余裕ぶった大人の笑みを浮かべ、
「もうひとつだけ教えてやるよ。俺たちみたいな小悪党を相手にする時は、言葉に気をつけたほうがいい」
 少女はクソ生意気な子供の笑みで返した。
「そっちもね」
 ログアウト。
 少女の姿がかき消える。
 クラウは少女のいた空間を憎々しげに眺めながら、
「エル」
 応えるように、一匹の黒猫がデスクの上に現れる。
 楽しげに尻尾をひと振り。若い女の声で言う。
「ずいぶん面白い子に絡まれたね。相手する気がないなら、最初から入れなきゃ良かったのに」
「許可してない。勝手に入ってきた」
「あらら」
 エルはデスクから飛び降りる。
 塵ひとつない床を行ったり来たりしながら、
「ごめんだけど、捕まえられなかった。というより……なんだろ、これ。ログ見るかぎりね、ダミーアカウントですらないみたい。でも、こんな完ぺきに痕跡を消すなんて、私でも……。あの子、ほんとに実在してるのかな?」
 舌打ち。デスク上にスクリーンを展開し、めちゃくちゃなスピードでコンソールを叩きながら、
「馬鹿馬鹿しい。脳みそのない幽霊が〈レーヴ〉にアクセスできるかよ」
 先程の少女とのやり取りを、0と1に分解して再現する。
 滝のように流れる文字を目で追う。
 エルが肘掛けに飛び乗り、一緒になってスクリーンを見つめた。
 やがて、クラウの手がぴたりと止まる。
 忌々しげに、
「そんなこったろうと思った」
 どれどれ、とエルが覗き込む。
 まるっきり暗号めいた文字列の中に、それを見つける。
 素人はもちろん、一流のプロですら見落としそうなほど巧妙なやり方で仕込まれた、砂漠の街の展望台を指し示す座標。
「次の面接会場ってわけだ」
 エルはクラウを見上げる。目が笑っている。
「で、行くの? 行かないの?」
 クラウは物も言わず、座標をダウンロードし、スクリーンを消去する。
 目を閉じて、深々と息を吐く。
 ややあって、
「ちょっくらおめかししないとな」
 そう言った。コンソールを押しのけて立ち上がり、そのまま出ていくのかと思いきや、窓のほうに歩み寄って、地平の彼方まで続く荒野を眺める。
 第二の現実を謳う、人々の夢と夢を繋いだ仮想空間〈レーヴ〉。
 クラウが自分好みに設計した、快適そのもののオフィスとは訳が違う。
 そう。
 窓の外に広がる砂が渦巻くばかりの荒野は、開発がクラッカー対策に放った白血球プログラムや、エラーまみれの悪夢の残滓がひしめく、前人未踏の未開拓領域だ。
 エルは少し首を傾げ、
「あら意外。やっとお金の大切さがわかった?」
「お前と一緒にすんな」
 振り返る。
 憤懣やる方なしという表情には、ほんのひと欠片だけ、どこか期待するような色が混ざっている。
「取引に乗るかどうかは俺が決める。いくら積まれようが関係ない。が、それはそれとして……」
 再び荒野に視線を戻して、口の端を釣り上げる。
「クソガキにはお仕置きが必要だよな?」
 ログアウト。

スレッド: 幻想砂漠(仮題)

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元記事:幻想砂漠(仮題)の返信

 読みました。
 スピード感はあると思うんですが、読者にとって初見の単語は流石に解説が居るかも。レーヴがVRMMOであること、セイクルスが場所の名前であること、未開発大陸とは何か、あたり。
 あと、『白血球』という言葉が一般的過ぎるので、せめて当て字で『白血球(監視プログラム)』って書くとかした方が良いかな。

 後半のクラウとエルの会話のシーン、『一つの台詞+一つのモーション』って言うのがずっと交互に入る構造になっていて、ちょっと短調すぎます。
 もう少しメリハリがあった方が良いかも。まあ、俺も上手く出来ないけど。 

 ちょっと思い付きで、『俺だったらこうする』版を作ってみました。参考までに。

ピクセルで構成された荒野を、データの風が吹き抜けていく。
《大陸》と呼ばれる広大なマップの端のまた端、何にもないような荒野にポツンと経つ小さな事務所の扉が今、開かれた。
「腕の良い運び屋を探してるんだけど」
入ってくるなり、少女はそう言った。
ステータスバーに表示されているのは『アリス』という名前のみ。ガキらしい口調に反して情報管理はしっかりしてやがるな。内心で考えつつ、クラウは皮肉で返す。。
「こっちが探してるのは依頼人だ。迷子じゃなくてな」
スクリーンの起動音。
クラウが顔を上げると、少女は無言のまま、目の前にバンクコイン(ゲーム内通貨)の残高証明を展開してみせる。
「おいおい、何の冗談ですかっての。それともアレ? どこぞの石油王が変声機(ボイチェン)まで使って美少女ロールプレイですか?」
嫌味を言いつつ、眺めていた端末をデスクに投げ出す。面倒そうながらも、真っ直ぐに少女を見つめる。
「で?」
クラウの態度が気に食わないのか、アリスはスクリーンを消して、端的な言葉だけで目的を述べる。
「セイクルスまで。期限は明後日の12時」
クラウは鼻で笑った。ここからセイクルスまでの距離もそうだが、問題はその時間設定だ。確実に大陸を横断するハメになる。海路ならまだしも、横断はヤバイ。
「知らないみたいだから教えてやる。〈レーヴ〉で未開発大陸を横切ろうとするのはな、監視プログラム(ハッケッキュー)に不正アカウント扱いでBANされたい自殺志願者と犯罪者(レッド)ユーザーに有り金スラれたいマゾヒストだけだ。……ああ、別に授業料はいらないぞ。ただの常識だからな」
「つまり、あなたには無理ってことね。ありがとう。他を当たるわ」
馬鹿にしたような言い様には、馬鹿にしたような返しが戻って来る。クラウの口元が引きつった。
だが、こっちは大人だ。すぐ余裕を取り戻してニッコリと笑みを浮かべる。
「もうひとつ教えてやるよ。俺たちみたいな小悪党を相手にする時は、言葉に気をつけたほうがいい」
「お互いにね」
向こうもまた嫌味に笑顔で返し、ログアウト。
少女の姿が現実空間へとかき消えると同時、クラウは小さく呟いた。
「エル」
「随分面白い目に遭ったみたいね」
入れ替わりにログインしたのか、それともステルス迷彩でも羽織っていたのか。若い女の声と共に一匹の黒猫がデスクの上に現れる。
「相手する気がないなら、最初から入れなきゃ良かったのに」
「許可してない。勝手に入ってきた」
「あらら」
そう言いながら、エルはデスクから飛び降りる。
塵ひとつない床を行ったり来たりしながら、
「いまログ見たけど、ダミーアカウントですらないみたいね。この短時間で痕跡を完ぺきに消すなんて、そんなことできるのかな? もしかすると……最初から実在してなかったりして」
「はぐらかすなよ。どうせ答えぐらい知ってるんだろう?」
「いえいえ、そうでもないわよ。私は消すのが専門だもの。直感的に見える事ならともかく、テクノロジーはそっちの専門。でしょ?」
返事はせず、クラウはデスクにスクリーンを展開する。
タタタタタタタン。めちゃくちゃなスピードでコンソールを叩いた。
「馬鹿馬鹿しい。脳みそのない幽霊が〈レーヴ〉にアクセスできるかよ」
滝のように流れる文字を目で追う。
少女との先程のやり取りが、0と1に分解されて再現された。
「ほーら。見えて来たぞ……」
エルが肘掛けに飛び乗ってきて、一緒になってスクリーンを見つめた。
やがて、ぴたりと手を止める。
タン!
「チッ。どーせ、そんなこったろうと思ってた」
どれどれ、という感じでエルが覗き込む。
素人はもちろん、一流のプロですら見落としそうなほど巧妙なやり方で、オフィスとはまったく別の座標が仕込まれていた。たかだか数十文字の、会話の中に。
「ここが次の面接会場ってわけだ」
「……で、行くの? 行かないの?」
クラウは座標をダウンロードし、スクリーンを消去する。
「分かってて言ってるだろ?」
「ええ、まあ。キーボードを叩く指が楽しそうだったもの。でも意外ね。こういうの普段なら嫌がるじゃない?」
「……おう、ちょっと思う所あってな」
エルは首をかしげ、ネコらしく後ろ足で首元を掻いた。
「あら意外。やっとお金の大切さがわかった?」
「お前と一緒にすんなよ」
そう言って、乱暴にコンソールを押しのけて立ち上がる。
窓の外に広がる荒野を一瞥する。
エルのほうに向き直り、余裕ぶった笑みを浮かべて言う。
「俺はな、ああいうクソガキが大嫌いなんだ」
ログアウト。

上記の返信(幻想砂漠(仮題)の返信の返信)

スレ主 柊木なお : 0 投稿日時:

大野知人様

ありがとうございます。
とりあえず最低限の描写、キャラクターの行動と台詞以外をすべて排除してみました。冷静になって読み返してみると、小説というか中途半端な脚本ですね。
いっそ脚本形式で最後まで書き切って、そこから小説の形に翻訳するというのも、二度手間ではありますが、私にとっては良い練習になりそうです。

設定の解説について、了解しました。初見だとミステリアスを通り越して???な会話になってそうですね。
後半のテンポというのでしょうか。難しいです。ここまで徹底的に文体を見直す機会もなかったので、これを機に勉強します。

膨らませ方も参考になりました。ありがとうございます。自分が書いたシーンを他の人の文体で読むのってちょっと楽しいですね。確かに知っているはずなのにまるで見覚えがない、久しぶりの親戚に会うような感覚です。

ありがとうございました。
それでは。

スレッド: 幻想砂漠(仮題)

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元記事:境界の護り人 

幻想的な雰囲気が出ているか、判定どうかよろしくお願いします。

上記の回答(境界の護り人 の返信)

投稿者 冬空星屑 : 1 投稿日時:

 冬空星屑です。
 プロット相談では、ありがとうございました。
 幻想的なファンタジーって素敵ですよね。
 次はコメントです。

 最初の体言止めは良いと思いました。
 光の届かない深海で、青く輝く巻き貝。

 その後の少年を心情を映すような海の様子。

 良いとは思いましたが、少し物足りない気もします。
 このタイトルを見て、最初に浮かんだのが『精霊の守り人』。そのまま、私が好きな『獣の奏者』が浮かびました。
 とても幻想的な作品なのですが、そこに習って、例えば、匂いを描写するとか。どうでしょうか?
 主観ですが、幻想的な作品は、くどくない程度に長い文章に浸りたいです。

スレッド: 境界の護り人 

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元記事:藍馬夕彦の魔境探検

はじめまして。ロムorzというペンネームで創作活動をしている者です。
この度は初めてWEB小説に連載を投稿したものの、
自分で読んでいて文章が下手に感じてなりません。
修正するために何度か意見を募ったものの、なかなか進まずにいます。
皆様のお時間がありましたら、どうかお力を貸してください。

・字数は10000字ほどになります
・「読み仮名」は省略しています
・地の文は「三人称」を選びました
・「客観」と「主観」が混ぜこぜになってしまっています
・「視点の変更」が多くなってしまっています
・「テンポ」のメリハリが悪く読後の余韻が欠けてしまっています

上記の回答(藍馬夕彦の魔境探検の返信)

投稿者 解像度 : 0 投稿日時:

読みました。

このプロローグは、主人公の藍間が突如現れた謎の存在・クロと出会い、彼から渡された本を通じて如月という人物を探し始めるという展開が描かれています。プロローグの最後には、藍間が決意を新たにして物語を進めることを示唆する場面もあります。

文章の文体は比較的簡潔で読みやすく、登場人物の感情描写なども丁寧に描かれているため、読者は物語に入り込みやすいと思われます。また、謎の存在・クロや本の正体など、謎が多く残されているため、次の展開が気になり読者を引き込む効果があります。

ただし、プロローグの中で登場する化け物の挿絵や奇妙な図形、外国語の文章などは、読者にとって理解しにくい部分かもしれません。また、登場人物の名前や状況の説明が少なく、読者が混乱する可能性がある点も指摘できます。

総じて、プロローグは物語の始まりを十分に引き立てる内容となっていますが、説明不足や理解しにくい要素があるため、改善の余地もあります。

小説投稿先URL(別タブが開きます)
https://kakuyomu.jp/works/16817330651114306198

スレッド: 藍馬夕彦の魔境探検

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元記事:帝国の守護者

 第二次世界大戦の終結から約100年が経過。超科学大国である東亜帝国は、東アジアに存在する先進国。

 幼少の頃から、児童自立支援施設で育った雄一は、孤独を胸に抱える遺伝子生物学者。

 偶然にも失踪した父親と同じ道を志し、研究に励む彼の前に現れたのは、政府の役人を名乗る背広の男。

 雄一は、男から持ちかけられたある依頼を承諾し、『アスカ』と名乗る護衛を紹介される。だが、彼女は護衛なのに、見た目がただの女の子。

 そして、突如姿を現わす『帝国の守護者』を名乗る、人造の超能力者たち。彼らは、人の形をした兵器として、戦場で敵を撃ち倒し、自身も戦場で命を散らすことを求められた存在。

 彼らは知らない、人の優しさも恋も。

 雄一はアスカと出会い、様々な災難に巻き込まれていく。二人は葛藤や衝突を繰り返しながらも、やがて立ちはだかる巨大な陰謀を前に、出会った仲間とともに『護るため』の戦いを決意するのだった。

 決して交わることのなかった運命の二人。

 これは、そんな二人が出会ってから10日間の軌跡。

不安しかないです笑笑

自分が読むとき、自分語りだけの作品は読まない傾向があったので、自分が読みたい作品の傾向をそのまま、プロローグに投影した感じです!

タイトルは非なろうですが、ターゲットが非なろう系ではないのであえてです……。ただ、陳腐なタイトルはやはり受け入れてもらいにくいと思ったので、『某皇国』を真似て、興味を引いてもらえるようにしてあります。

上記の回答(帝国の守護者の返信)

投稿者 相田ラク : 1 投稿日時:

はじめまして、相田ラクと申します。
作品を拝読致しまして、その素晴らしい出来栄えに感銘を受けました。特に、登場人物が実在する血の通った人間のように生き生きと活躍する存在感がたまりません。この小説には、量と質を兼ね備えた十分なプロットが用意されているに違いない。そう確信できる仕上がりでした。

ところで、この作品は電撃大賞のような非なろう系の新人賞を想定していますか?
個人的には現タイトルから内容まで、完全に非なろう系のラノベという印象でした。ですが「ターゲットが非なろう系ではない」とのことですので、僭越ながら2つのタイトル案を用意させて頂きました。ラノベ用と、なろう小説用です。

【ラノベ用】
私が提案するラノベ用タイトル案は

「猛る蒼炎、禍つ鉄の奔流〜究極科学の帝国守護者〜」

です。本編は全体を通してバトル描写が非常に多く、そのバトル特化の突き抜けた雰囲気を表現しました。

本タイトル案で最大のポイントとなる点は最初の二文字「猛る」です。あまりラノベでは使われない傾向の単語ですね。これは、他のラノベとは一線を画するバトル描写が存在することを表しています。
記号テンプレに収まらない登場人物たちの熱い魂、息つく暇もなく展開される数々のバトル。作品の特定の部分ではなく、作品全体の雰囲気を形容するために「猛る」「鉄」「奔流」といった単語を採用しました。

また、先程言ったことと矛盾している気もしますが、このタイトル案は最後の戦いで登場する強敵・ヤマタノオロチとの戦いをイメージして作りました。
伝承によると、ヤマタノオロチは氾濫した川や洪水の化身とされています。「禍つ」を現代語訳すると「災いの」となり、本文中の内容と照らし合わせると「災いのロボット・ヤマタノオロチ」みたいなニュアンスになります。
伏線とまでは行きませんが、タイトルで既にラストバトルが表現されていたと知れば、読者の方々は思わずニヤリとしてしまうかもしれません。タイトルの後半部がヤマタノオロチなら、前半部は主人公です。蒼炎という単語でそれを表しています。

サブタイトルは当たり障りのない安牌な感じに仕立てました。メインタイトルが独特でラノベにしては変則的だからです。
自分で付けといて言うのも何ですが、メインタイトルがあまり内容の説明になってない点が問題です。そこで、サブタイトルは内容の説明にしました。雰囲気でバトル物であることも伝わると思います。

【なろう用】
お次に、ネット小説・なろう小説としてのタイトル案です。

「孤児院育ちが世界最強〜美少女もいることだし、俺は現実世界でチート無双することにします〜」

かなり話の内容と乖離していますが、そもそも話の内容がなろう的ではないので致し方ない部分があります。
なろう小説のタイトルで最も重要なのは「私は読者様の承認欲求を満たす存在です」とアピールすることです。

本タイトル案は、なろう読者の自尊心を傷つけないように直接的な表現を避けつつ、隙あらば宣伝効果を狙うスタンスです。
恵まれない環境の人間が主人公であることを自然な流れで述べつつ、美少女が当たり前のように存在することも示唆。最大のセールスポイントは、現実世界でチートな活躍ができるという点です。

【おわりに】
私は、新人賞には新人賞向け、なろうにはなろう向けのラノベがあり、少なくとも現在の時点では両者は同化していないと考えております。
私がピロシ様の作品は非なろう系だと感じた理由は、敵に「非日常感がある点」と「悪役に悪のカリスマ感がある点」です。

なろう系には、緩やかにその世界の日常へと溶け込むような雰囲気があります。それが魔法バトル有りのファンタジー作品だったとしても、どこか湯船にドップリ浸かったような感覚になります。一方、ピロシ様の作品はその世界における非日常の出来事を描いています。
また、なろう系の悪役にジョジョのDIO様やドラクエのゾーマ様みたいな格好良さは不要どころかマイナスポイントです。なろう系を目指すなら、もっと小物感・クソ野郎感を丸出しにする必要があります。

最後に、素晴らしい文章力と小説執筆のノウハウを感じましたと改めて申し上げます。今後のご活躍を期待しております。

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スレッド: 帝国の守護者

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