暖房は置かず独居の猩々木
回答者 南風の記憶
添削した俳句: ポインセチアここは暖房無き独居
秋沙美 洋様、お世話になります。
御句の「暖房」について、私は”削る必要なし”と考えます。
確かに「暖房」は季語ですが、御句の光景に暖房は存在しないので、季語としての力は弱くなります。「暖房なき」を削ると、句の意味がまったく変わってしまうので、この言葉は残すべきです。
季重なりというのは、いわば”一つの物語の中に主役が二人以上いる”状態です。ですから、季語の強弱が付けられれば(どっちの季語が主役かはっきりしていれば)、季重なりは成立します。
御句の場合、明らかに主役はポインセチアだと分かりますから、季重なり自体が問題だとは言えないと私は思います。
むしろ問題は「無き」でしょうか。「無き」だと説明になってしまうので、描写の言葉になるようにもう一工夫が必要でしょうか。「無き」ではなく、動詞に変えて、詠み手の”意思”が感じられるようにすれば、より想像の膨らむ句になるはずです。
例1)暖房は買わず独居の猩々木(しょうじょうぼく)
例2)暖房は買えず独居の猩々木
例3)暖房は置かず独居の猩々木
例4)暖房は置けず独居の猩々木
例5)暖房が壊れ独居の猩々木
※猩々木:ポインセチアの別名
このように色々なパターンが考えられます。「独居」と「ポインセチア」の取り合わせは面白いので、推敲次第では良句に仕上げられそうです。
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