俳句添削道場(投句と批評)

北野きのこさんの添削得点の高い順の5ページ目

「遠山に重なる低き朧月」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 遠山に重なる低き朧月

ベンさんこんにちは。
句の感想を述べさせて頂きます。
よろしくお願いします。

一読して気になったのは「遠山に重なる月」と言えば月が空の低い位置にある事は読者に既に伝わっていそうだという点です。
わたしは「低き」は省略できると考えます。

もっと踏み込めば「遠山へ朧月」「遠山より朧月」「遠山と朧月」などとすれば遠山と朧月が重なっている光景であると示せる気がします。
「遠山へ月光が注いでいる」というような誤読を呼びそうでもありますが…

言葉を省いて生じた音数で「今年最後の朧月を惜しむ気持ち」を盛り込めないか考えてみます。

遠山へ今年最後の朧月

ストレートですが説明臭いです。

同じ山と月が重なっている瞬間でも、月が姿を現わす瞬間(月の出)なのか、もうすぐ見えなくなる瞬間(月の入り)なのかで印象が変わると思います。

「季節は春の終わり。月が山の向こうに去ってしまう瞬間です」
と描写する事で「春の月は見納めかも」というニュアンスを匂わせる事が出来ないでしょうか。

もっとストレートに季語を「惜春」にしてしまう手も考えました。
しかし「惜春の月」としてしまうと「月が季節を惜しんでいる」という擬人化に見えてしまいます。
季節を惜しんでいるのは月を眺めている人物ですよね。

惜春や遠き山へと沈む月

これだと春の季語「惜春」と秋の季語「月」が独立して読み込まれていて季節感が乱れます。

「惜春」作戦は諦めて…
色々悩んだ挙句こんな所に落ち着けてみました。

遠山へ晩春の月沈み行く

うまく要約できず、だらだらと長文になってしまい申し訳ありません。
以上、失礼しました!

点数: 2

「常に獣を飲まんとして待つ泉」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 常に獣を飲まんとして待つ泉

東次郎さんこんにちは。
お世話になっております。
句の感想を述べさせて頂きます。

この句の逆転の発想の豊かさについて、皆さんがおっしゃっている意見に私も同意します。
奇抜ではありますが、同時に読み手の共感を呼ぶ発想ですね。

チープな印象や既視感を喚起しがちな擬人化。
特に季語に対して用いるのはリスキーだと思うのですが、私はこの句の擬人化は成功していると感じました。
擬人化される事で、泉の光景に付与された不気味さや緊張感が作者の狙い通りに機能していると思うからです。

ひょっとすると私の好みの領域の議論になるのかもしれませんが…。

擬人化によって醸し出された緊張感を強調するのであれば、時間の幅を感じさせる「常に」は推敲できるのではないでしょうか。
「まさに今目の前で何かが起ころうとしている…!」の方が迫力が増すと思います。

また掲句は季語以外は不吉な予感として作者の脳裏に浮かんだ映像(=獣が飲まれる)で構成されています。
作者の目の前にある実景をもう少し足した方が、そこから想起される予感に読者が共感しやすいと思います。
時間情報、明暗、温感、冷感…などいかがでしょう。

「飲む」について、私は「呑む」の方が雰囲気に合うと思います。
どちらも漢字の用法として間違ってはいない様ですが、ゴボゴボと丸のみにされる雰囲気は後者の方が強いのではないかと。
https://chigai-allguide.com/%E9%A3%B2%E3%82%80%E3%81%A8%E5%91%91%E3%82%80/

今宵こそ獣呑まんと待つ泉
風ぬるし獣呑まんと夜の泉

やってから言うのも何ですが、作為的な情報が多いとチープさが増す…かも?
以上長々と失礼しました!

点数: 2

「彷徨える鳥の住処は川の中」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 彷徨える鳥の住処は川の中

ままごとさん初めまして。
句の感想を述べさせていただきます。
よろしくお願いします。

一読した所では、ままごとさんが句で描こうとされた情景がうまく思い描けませんでした。
「川の中に住処がある鳥ってどんな鳥なのかな?」
「それで、その鳥はどうして彷徨っているのかな?」
という感じでした。

大雨に関するコメントを読んで
「河川の増水で鳥の住処の木が水没してしまい、鳥が彷徨っている」
という内容かなと想像しました。
間違っていたらごめんなさい。

やはり掲句の内容では「いつも通り川辺に行ってみたら、普段から水中に住んでいる鳥が彷徨っていた」と多くの人が読んでしまうと思います。
(多分そんな鳥は実在しないと思うのですが)

腹胃壮さんの「季語を詠み込む事」「五感に訴える事」というアドバイスに私も賛同します。
季語が入るだけで状況がグッと伝わるはずですし、
感覚(暑い?暗い?水音?…)が伝われば、きっと水害に直面している作者の不安感も伝えられるはずです。

点数: 2

「忘らるるいとまはなきや秋扇」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 忘らるるいとまはなきや秋扇

唯我独善さんこんばんは。
句の感想を述べさせていただきます。
よろしくお願いします。
また文法に関する話題にこの場をお借りする事をご容赦下さい。
私も決して文法に詳しい訳ではないので、間違いがあれば、皆さんご指摘下さい。

古語辞典で「忘る」を調べてみますと…
https://www.google.co.jp/amp/s/kobun.weblio.jp/content/amp/%25E5%25BF%2598%25E3%2582%258B

この項目には動詞が2種類記載されています。
四段活用と下二段活用の2種類があり、それぞれでニュアンスが異なるそうです。
四段活用だった場合には「つとめて忘れる」。
下二段活用だった場合には「自然に忘れる」。

さらに助動詞について調べてみますと…
http://www.hello-school.net/haroajapa009025.htm

今回の「忘らるる」は「忘ら(四段活用の未然形)+るる(助動詞[る]の連体形)」と考えられるかと思います。

「忘る」が下二段活用だった場合には、未然形の「忘れ」に助動詞「らる」の連体形が付いて…「忘れらるる」となるのだと思います。

「る」には受身、尊敬、自発、可能の用法がありますが…文脈以外でこれらを見分ける方法ってあるのでしたっけ?
私は文脈から可能の用法で捉えてみます。

以上から「忘らるる」=「つとめて忘れる事ができる」と訳してみます

先に投稿された句のコメントを拝見して「暑さがあまりに厳しく続くので、扇を使う事を忘れられる様な日が来ないままに暦は秋になった」という句意を唯我独善さんは込められたのかと考えました。

とすると「忘る」は下二段活用とした方が句意に沿うかと思います。
…思ったのですが、音数的に「忘れらるる」を上手く処理できませんでした。

閉づる間も無き侭に秋扇となる

動詞が変わり、破調になり、季語の読みも変わりましたので、もはや添削とは言えないかもしれません…。

その他気になった点を…。
掲句の中七は形容詞の連体形「なき」に切れ字「や」が付く形になっています。
切れ字によって省略された「なき」の修飾語は何だったのか…ここは読者に委ねられる訳ですね。
何を補うかで読者によって読みに大きな違いが出ると思うのです。

もう一点。
秋扇は「秋になってもしばらく使用されている扇」の事ですから、この扇が夏に頻繁に使われていた事は自明です。
すると、「掲句上五中七が季語の説明になっているのではないか」という指摘も出て来る可能性はないでしょうか。

私は掲句を一読した際に「季語の説明に音数を割く訳はないから、上五中七は何か別の状況を詠んでいて、そこに秋扇という季語をぶつけているのではないか」と考えました。

唯我独善さんが先に投稿した句のコメントを拝見してこれが間違いだと気づきましたが、四段活用の「忘る」の意味も相まって、この様に読む(妄想する?)私の様な読者もいるという点をお伝えしたいと思いました。

以上、取り止めのない文章でごめんなさい!
失礼しました!

点数: 2

「盆休集まってする違うこと」の批評

回答者 北野きのこ

添削した俳句: 盆休集まってする違うこと

塩豆さんこんばんは。
お久しぶりです。
先ほどNHKの「575でカガク!」で塩豆さんの俳号を拝見しました。
東大の先生を唸らせるには至らなかったかもですが…(笑)
それでも夏井いつきさんのお眼鏡に適ったのはさすがですね!

さらに…俳句生活の地選、あれは塩豆さんだったのですね!
夏井先生にコメントを貰うのを私も目標にしていたりするので、ちょっと悔しくもありつつ(笑)
塩豆さん勢いに乗っていますね!

私もますます頑張ろうという気持ちにさせていただきました。
おめでとうございます!
(掲句とは関係のない書き込み失礼しました

点数: 2

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