「忘らるるいとまはなきや秋扇」の批評
回答者 北野きのこ
唯我独善さんこんばんは。
句の感想を述べさせていただきます。
よろしくお願いします。
また文法に関する話題にこの場をお借りする事をご容赦下さい。
私も決して文法に詳しい訳ではないので、間違いがあれば、皆さんご指摘下さい。
古語辞典で「忘る」を調べてみますと…
https://www.google.co.jp/amp/s/kobun.weblio.jp/content/amp/%25E5%25BF%2598%25E3%2582%258B
この項目には動詞が2種類記載されています。
四段活用と下二段活用の2種類があり、それぞれでニュアンスが異なるそうです。
四段活用だった場合には「つとめて忘れる」。
下二段活用だった場合には「自然に忘れる」。
さらに助動詞について調べてみますと…
http://www.hello-school.net/haroajapa009025.htm
今回の「忘らるる」は「忘ら(四段活用の未然形)+るる(助動詞[る]の連体形)」と考えられるかと思います。
「忘る」が下二段活用だった場合には、未然形の「忘れ」に助動詞「らる」の連体形が付いて…「忘れらるる」となるのだと思います。
「る」には受身、尊敬、自発、可能の用法がありますが…文脈以外でこれらを見分ける方法ってあるのでしたっけ?
私は文脈から可能の用法で捉えてみます。
以上から「忘らるる」=「つとめて忘れる事ができる」と訳してみます
先に投稿された句のコメントを拝見して「暑さがあまりに厳しく続くので、扇を使う事を忘れられる様な日が来ないままに暦は秋になった」という句意を唯我独善さんは込められたのかと考えました。
とすると「忘る」は下二段活用とした方が句意に沿うかと思います。
…思ったのですが、音数的に「忘れらるる」を上手く処理できませんでした。
閉づる間も無き侭に秋扇となる
動詞が変わり、破調になり、季語の読みも変わりましたので、もはや添削
とは言えないかもしれません…。
その他気になった点を…。
掲句の中七は形容詞の連体形「なき」に切れ字「や」が付く形になっています。
切れ字によって省略された「なき」の修飾語は何だったのか…ここは読者に委ねられる訳ですね。
何を補うかで読者によって読みに大きな違いが出ると思うのです。
もう一点。
秋扇は「秋になってもしばらく使用されている扇」の事ですから、この扇が夏に頻繁に使われていた事は自明です。
すると、「掲句上五中七が季語の説明になっているのではないか」という指摘も出て来る可能性はないでしょうか。
私は掲句を一読した際に「季語の説明に音数を割く訳はないから、上五中七は何か別の状況を詠んでいて、そこに秋扇という季語をぶつけているのではないか」と考えました。
唯我独善さんが先に投稿した句のコメントを拝見してこれが間違いだと気づきましたが、四段活用の「忘る」の意味も相まって、この様に読む(妄想する?)私の様な読者もいるという点をお伝えしたいと思いました。
以上、取り止めのない文章でごめんなさい!
失礼しました!
点数: 2
添削のお礼として、北野きのこさんの俳句の感想を書いてください >>
直しました。