俳句添削道場(投句と批評)

みつかづさんの添削最新の投稿順の111ページ目

「苔色のプール四角く冴え返る」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 苔色のプール四角く冴え返る

 
晩乃さん。こんばんは。貴句、拝読いたしました。
以下長文、ご承知おきください。

最初に、私めの希望を書かせていただきます。
「そろそろこの位の季重なり・季違いは問題無いと自信をお持ちいただきたい」。

何故なら、確かにプールは「晩夏・生活」の季語でございますし、青苔との
「仲夏・植物」の季語もございますが、貴句の文脈においてはどう見てもプールの
汚れの色の状態を表しているだけでございますので。
ご想像いただきとうございます。苔色に汚れたプールで人間が泳いでいる姿を。
苔が生えているプールで人間が泳いでいる姿を。その様な光景ございませんよね。

では、本題に参ります。私めは、以下の2点が気になりました。

①:「四角く」の措辞の機能過多、回収不全
「四角く」は客観写生としては成立しております。ですが同時に、
プール=人工物、四角=人工的・無機的・冷たいという意味作用を
強く持つ語でもございます。結果、
・苔色(有機・自然・汚れの濁り)
・四角(無機・人工・硬質)
・冴え返る(抽象的・季語)
上記が等価に並んでおり、序列が付いておりません。
つまり、具体(苔色・四角)→ 抽象(冴え返る)という「季語による収束」が
弱く感じられてしまうのではないかと、私めは考えました。

②:季語「冴え返る」が説明役に押し下げられている感触の残り
「冴え返る」は、
・戻った冷えの感覚
・視覚的な鋭さ
・空気の緊張感
上記を一気に回収する力を持つ時候の季語でございます。ですが今回の貴句は
「苔色」、「四角く」等の情報量の多い具体語が先行し過ぎており、
季語が「句全体を支配する」というよりも、「プールが四角く、苔色で、
だから寒そう」という因果説明の末尾に見えてしまう危険性が
あるのではないかと、私めには感じられました。

私めからの添削提案は、上記の2点の解決でございます。
具体的には「四角く」を削ぎ、作者コメントにお書きの
「ベランダから見える小学校の」を活かす案でございます。

A:小学のプール苔色冴え返る(気候が寒の戻りである場合)
B:小学のプール苔色春寒し (気候が寒いままである場合)

これなら、「小学校のプール」による情緒的な階層が付加され、
人や子供達の気配の欠如や不在、使用されない季節帯での汚れ、時間帯が
そのまま季語「冴え返る」、「春寒し」と直結いたします。結果、視覚、温度感、
心象の階層が季語の一語で束ねられ、
季語が句の主役として復権するのではないかと考えました。

次に、拙句「節分や鬼は吾にこそ御座しけれ」、
https://weblike-tennsaku.ssl-lolipop.jp/haiku/corrections/view/33393
「春寒や癒ゆる時のみあらまほし」にコメント、ありがとうございます。
https://weblike-tennsaku.ssl-lolipop.jp/haiku/corrections/view/33481

前者は「節分や鬼は吾がため御座しけり」だけでしたら、説明臭が強く残りますので
私めは「いいね」を押しません。他者様はそれしか書いておりませんでしたので、
「いいね」を押しませんでした。
決して好き嫌いで押すか押さないかを選んでいる訳ではございません。

ですが、「節分や人がため鬼御座しけり」。
以下の理由で位相が上がりましたので、私めは「いいね」押させていただきました。
・主語「吾」→「人」への抽象化
・「鬼=私個人の物語」から「鬼=人間存在一般への作用」に拡張
これにより
・説明臭が消えている
・倫理的反転は寓意(ぐうい)として成立させているまま
・鬼が「役割を帯びた存在」になる

これは、私めの句の核を捉え切った構造理解と判断いたしました。
まさに「添削」ですよね。

後者について、これはもう、ぐうの音も出ません。
ご指摘の通り、心情が前景化し過ぎておりました。
また、古語の知識も豊富でいらっしゃるか、もしくはちゃんと
お調べのうえでコメントをお書きでいらっしゃると感服いたしました。

添削案①:春寒の明けずは癒ゆる時もがな
・心情語を削ぐ
・代わりに「時間(明けず)」を添える
・願望は状況の持続として表現

添削案②:憂き身だに癒えよ春寒尽きずんば
・「憂き身」=主体をぼかした抽象化
・条件構文で切実さを内包
・心情を文法構造に委譲

①と②のどちらも以下を壊しておりません。
・核(癒えを待つ)
・季語(春寒)
・心身の停滞感
上記の添削には私め、痺れました。理由の説明もお書きでおいででしたので。
・原句の主題を理解している
・それを否定せず
・しかし「俳句としての過剰」を正確に見抜き
・最小限の操作で位相を上げている

「構造を読み解いて動かせるが、決して改作にはしない」。拙いどころか、
「これこそが添削」ですよね。他者の句を素材として構造的に扱える段階でしょう。

人様の句を触るなら、他者様もこの様になさっていただきたいですかね。
元句の核を壊すと、作者に寄り添わない自己満足にしかならないのですから。

以上でございます。お目通しいただき、感謝いたします。
 

点数: 1

「寒雀戯れし虚ろなぬいぐるみ」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 寒雀戯れし虚ろなぬいぐるみ

 
こんばんは。貴句、拝読いたしました。

貴句の問題点は誤読の余地多を孕む多義性ではなく、
像の主従関係が句中で確定していない点に在る様に私めは思います。

「寒雀戯れし」と「虚ろなぬいぐるみ」が同一平面上に並置され、どちらが
観察主体でどちらが被観察物なのかが構造的に決まりません。
そのため、読みの揺れが語順や助動詞の工夫ではなく、
句全体の構造未確定として立ち上がっております。

また、「虚ろな」は心理的評価語であり、視覚像を補強する情報を持たないため、
季語「寒雀」の運動性や具体性を受け止め切れておりません。

結果として、季語「寒雀」が景を動かす句の主役にならず、
説明的な修飾語に押し戻されている印象でございます。

読みの確実性を高めるのであれば、抽象語による固定ではなく、
寒雀側を数・動作・位置関係などで具体化し、主季語として像を主導させる方が、
構造的には自然だと私めは考えます。

辛口で申し訳ございませんが、読者をどこまで信じるかという問題以前に、
像の主導権をどこに置くのかを句自身が決め切れていない様に私めには思われます。
季語「寒雀」よりもぬいぐるみの方に感動がおありなら、時候の季語を使う手も
あるでしょうし、句の字面においても作者コメントを読んでなお、
作者の感動の核が本当に寒雀にあったのか、一読者として
どうしても疑いが拭い切れない印象でございます。

以上でございます。お目通しいただき感謝いたします。

点数: 0

「常盤木の古葉ひとひら風に乗り」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 常盤木の古葉ひとひら風に乗り

 
閑歩さん。初めまして、おはようございます。
まず、45年間の長い期間のお勤め。お疲れ様でございます。

さて、貴句拝読いたしました。

作者コメントの情報量が多過ぎて全ては入りませんが、本来なら封書や手紙で
挨拶文を書くところを俳句にするのですから、詩情は通常より下げても、
感情語が入っても然程問題にはならないでしょう。
句会に出す訳ではなく、元が挨拶文ですので。

作者コメントの、「お世話になった会社の末永い発展と若い世代の活躍を祈る」は
入りそうでございます。また、極僅かなら「自身は第二の人生に元気に
飛び立っていきたいとの思い」は、間投助詞「よ」によるダブル含意
(呼び掛けと独白)でギリギリ入るかもしれません。

常磐木は1年中緑色の葉を茂らせますよね。その事からご存知でしょうけども、
「生命力や長寿の象徴として、永久不変の繁栄を意味する縁起の良い言葉」としての
意味、使用法がございます。

私めからの添削提案は、「作者コメントに句の字面を寄せる」ものでございます。
季語は「常盤木の若葉」(初夏・植物)でございます。
口語句を文語句にして、句跨りでの添削で申し訳ございません。

・常盤木の若葉よ貴社にあらまほし

上五の「常盤木の若葉」は季語であると同時に、若い世代の暗示でございまして、
「あらほほし」の主体にもなり得ます。
下五の「あらまほし」はラ変動詞「あり」の未然形「あら」
+希望の助動詞「まほし」の終止形でございます。

「あらまほし」の効果は以下でございます。
・季語とも相まって会社の発展や若手活躍への願望、希求
・価値判断を含む祈り
・未確定の未来への託し

「よ」+「まほし」は感情を露骨にせず、しかし確実に滲ませる効果でございます。
去る者が、「こうなった」と断言するより、「こうあってほしい」と託す。
これは上下関係・立場感覚として健全ではないか、との判断でございます。

今回は読み手が退職なさる会社関係者で、句会評価は関係ございませんから、
情緒の抑制より「誠意の可視化」を優先しても、問題は無い訳でございます。

以上でございます。お目通しいただき、感謝いたします。
 

点数: 1

「背表紙の嫉妬手に取る春遅し」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 背表紙の嫉妬手に取る春遅し

 
春の風花さん、こんばんは。貴句、拝読いたしました。

サイトの仕様上「」が使えない。もどかしいですよね。
ですが、季語「春遅し」による「暦の上では春なのに、寒くて春の実感は無いわね。
暖かい場所で本でも読もうかしら」との作者心情が伝わって参りましたし、
その実感こそが「嫉妬」という題名の本に目を留まらせた1つの
要因であるのではないか、とも解釈できる句の構造になっておりますよね。
季語「春遅し」の心象と本の題名「嫉妬」が共鳴関係の構造でございまして、
心理的前提条件の共有が成立しております。お上手だなと私めは感服いたしました。
感情の向きを「マイナス」で統一なさっておられるのは、流石は春の風花さん。

元句には大した問題点は無いと私めは構造分析いたしました。
強いて挙げるならば、「取る」は終止形と連体形が同形の動詞。
貴句の文脈では終止形で切れていると解釈するのが妥当ではございますが、
連体形で季語に係っているとの解釈も文法上は可能でして、
そう読まれてしまいますと句としましては損してしまう点でございます。

私めからの添削提案は、「」が使えないサイトの仕様上の問題点を乗り越えながら、
季語の前で切れている事を明確にするものでございます。

・嫉妬なる本手に取りき春遅し

上記は、元句には無かった直接過去の助動詞「き」の終止形を入れた事で、
元句の大意を変える事無く以下の効果を持たせました。

① :「嫉妬」が本の題名である事の明確化
元句の語順では名詞「嫉妬」が感情なのか、題名なのか、
一瞬だけ多義でございました。
それを所在の助動詞「なり」で本の題名であると明示する事で、
「題名としてそこ(本棚)に在る」が先に立ち上がり、
心象は1テンポ遅れでの立ち上がりになる事も明確になります。

② :動詞「取る」の係りの曖昧さを完全解消
構造的に、動詞が季語に係り様が無くなりました。添削案では助動詞ですが。
そして、「『嫉妬』という題名の本を手に取った」と過去形にする事で
焦点が行為 → 行為を引き起こした心的状態へと移動し、季語「春遅し」の
現在進行形(=現在も続いている感覚)と相まって、行為の原因であり、
余韻として残る様に心理的地層として据え直された事になります。
結果、より季語が背景化、深化されたものとして機能するのではないかと
私めは考えた次第でございます。

推敲や添削の際には「作者コメントを一次資料にして句の核は触らず残す」事が
肝要で、「読解の雑音になる部分だけ添えたり削いだりすれば良い」という事で
ございます。変える必要が無い部分は触らず変えない、と。

以上でございます。お目通しいただき、感謝いたします。
 

点数: 1

「春の野や草が揺れれば草香り」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 春の野や草が揺れれば草香り

 
気まぐれ亭いるかさん、こんばんは。お礼が遅くなり大変失礼いたしました。
拙句「刺されつるインパチ外の降る雪よ」にコメント、ありがとうございます。
https://weblike-tennsaku.ssl-lolipop.jp/haiku/corrections/view/33373

「外の」は掛け調(手牌の外、窓の外)のつもりだったのですが、
頂きました「白牌を振りインパチよ降る雪よ」とストレートにやる方が
良かったですね。置かれた単語が捨石効果になるかどうかはかなり微妙ですし、
技術的に難しいですので。

さて、貴句、拝読いたしました。

俳句生活~よ句もわる句も~』は難しいですよね。
私めは兼題によってはパスいたしますので、昨年中頃から参加で3回目の挑戦中。
まだ佳作1回しか取れておりません。(俳号は伏せさせていただきます)

貴句につきましては、私めは晩乃さんのご意見に同意いたします。
ワザと因果律になさるなら、季語以外の部分に帰結させたいですかね。
ところが、「春の野」が時候の季語ではないので、直後で切っても難しいですね。
「草の香」も初秋の季語ですし。

私めなら、季違いはワザと避けないかもしれません。どのみち夏井先生には
刺さらない前提(=夏井先生の選句基準(=一句で世界を跳躍させるものをお選びに
なる傾向が感じられる)から外れ、元句はそれと感動の方向性が異なる為)で、
以下、提案でございます。

A:春の野や草の香りは草の揺れ(読後に「なるほど」と思わせる知的余韻)
B:春の野や草の香りと草の揺れ(意味はより開放的。感覚寄り・余白多め)

A、B共に、競馬で言えば「逃げ」ですかね。
名詞と助詞だけにして、因果律でありながら判断文的な構造で説明臭を少し
消した感じでしょうか。Aはやや理論寄り。
添削として安全なのは「と」
・作者の思考に踏み込むのは「は」
という僅かな性格の差でございます。

「当たり前が当たり前にある幸せ」との作者コメントを
言葉で説明せずに体感として再現させる因果律で、
「役割を動詞に任せず助詞に任せての静的表現」の方法でございます。

繰り返しますが、どれだけ元句を添削(改作しない)しようとも、夏井先生には
刺さらない前提で。季重なり・季違いとは違う理由、即ち以下でございます。
・平明
・当たり前
・驚きより肯定
句の核が上記3点揃っており、跳躍とは方向性が違う為。

勝負句としてよりも、この様なサイト向け、句会向けの句なのかもしれませんね。

以上でございます。お目通しいただき、感謝いたします。
 

点数: 1

みつかづさんの俳句添削依頼

最新の投稿順に並んでいます。回答が付いた投稿が先頭に移動します。

春雨や買い物袋に春雨

回答数 : 1

投稿日時:

ゆとり有る理路整然の新社員

回答数 : 4

投稿日時:

春の夜や寝る姪の鼻蹴つる稚児

回答数 : 9

投稿日時:

手慣らせるキュアリリアンのうかれ猫

回答数 : 11

投稿日時:

報道声変へつ三月十一日

回答数 : 4

投稿日時:

みつかづさんの添削依頼2ページ以降を見る

その他の添削依頼

野遊びや竈の煙日の暮れて

作者名 水谷 回答数 : 6

投稿日時:

脳天を焦がす暑さや高気圧

作者名 さつき 回答数 : 4

投稿日時:

向日葵や戦死の父の二倍生く

作者名 中村あつこ 回答数 : 7

投稿日時:

添削依頼をする!

「私はロボットではありません」にチェックを入れてください。

▼添削依頼された俳句の検索

▼添削と批評(返信)の検索

ページの先頭へ

俳句添削道場の使い方。お問い合わせ

関連コンテンツ