ご返信、ありがとうございます。
文語における文法は特に難しいですよね(^_^;)
私は高校を卒業して今年で24年目となりますが、俳句
創作の上では今でも「古語辞典」が手放せません。
文法的な面で補足させてくださいね。
多少難しい言葉を使いますし、長文ですが何卒ご容赦ください。
まず、単語を大きく分けると自立語と付属語に分かれます。
自立語は、「その語だけで意味を持ち、文節を作る事ができる。一文節に必ず1つだけあり文節の頭に位置する単語」に属します。
具体的には名詞、代名詞(この2つをまとめて「体言」と言います。活用は無く、主語になれます)、副詞、連体詞、接続詞、感動詞(この4つに活用が無いのは体言と同じですが、主語になる事はできません)、動詞、形容詞、形容動詞(この3つをまとめて「用言」と言います。述語になれます。活用が存在します)です。
付属語は、「その語だけでは意味を持たず、文節を作る事ができない。一文節中の数は決まっておらず、殆どが自立語の後ろに付くが、付属語だけが連続するケースもある単語」に属します。
具体的には助動詞、助詞です。
助動詞は活用があり、助詞に活用はありません。
活用とは、「単語が文中での用い方によって形を変える事」です。
口語(現代語)の活用には未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形が存在します。
文語(古語)の活用には未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形が存在します。
文語における未然形とは、「まだ起こっていない事」を意味し、已然形は「既に起こった事柄に対して確定条件を表す事」を意味します。
風吹かば(意味:風が吹いたら)→未然形
風吹けば(意味:風が吹いたので)→已然形
動詞の活用の種類には四段活用、上二段活用、下二段活用、上一段活用(「着る」、「射る」、「見る」等少数)、下一段活用(「蹴る」のみ)、カ行変格活用(カ変。「来」、「出で来」のみ)、サ行変格活用(サ変。「す」、「おはす」+一部の複合動詞「心す」、「奏す」、「念ず」等のみ)、ナ行変格活用(ナ変。「往ぬ」、「死ぬ」のみ)、ラ行変格活用(ラ変。「あり」、「いまそがり」、「はべり」、「をり」のみ)があります。
(活用の詳細は割愛致します)
形容詞の活用には本活用と補助活用があり、本活用には命令形が存在せず、補助活用は終止形と已然形が存在しませんし、助動詞に接続します。
又、ク活用とシク活用の2タイプの形容詞が存在します。
(活用の詳細は割愛します)
形容動詞にはナリ活用とタリ活用の2タイプが存在します。
「名詞+なり」との見分け方は「いと」(意味:とても)を付けてみて、意味が通れば形容動詞、通らなければ名詞+助動詞「なり」です。
例)これは静かなり、これは水なり
これはいと静かなり→これはとても静かである→意味が通るので形容動詞
これはいと水なり→これはとても水である→意味が通らないので名詞+(断定の)助動詞「なり」
(活用の詳細は割愛します)
助動詞の活用は用言と同じタイプの他に不変化型、特殊型が存在します。
(詳細は割愛します)
ここまでで、既に難しいですよね(^_^;)
ですが、文語を使う上での前提の知識です。
これをご理解された上で、文語における「し」と見分け方について。
(「き」、「と」は明確ですが、「し」は複雑ですのでご紹介致します)
①過去を意味する助動詞「き」の連体形であるケース
過去の助動詞「き」の活用は「せ・○・き・し・しか・○」
(↑連用形と命令形が存在しません)
見分け方は、「し」の直前が用言の連用形、もしくは「し」の後が体言→過去の助動詞「き」の連体形「し」
但し、カ変動詞とサ変動詞には未然形に接続します。
具体的な例として「出で来し」、「おはせし」の形。
俳句の「し」で最も多用されるのが、このタイプの「し」です。
②強意の(副)助詞「し」であるケース
体言や助詞など様々なな語にくっ付くので接続から判断するのは難しいですが、一番簡単な見分け方として、「し」を抜いてみて意味が変化しなければ強意の助詞「し」と判断できます。
例)名にし負はばいざこと問はむ都鳥
意味:(都という)名前が相応しいとしたら、さあ問いかけよう都鳥よ
「し」を抜いても全体の意味は変わりません。俳句で使う事は殆ど無いかもしれません。
③サ変動詞の一部「し」
見分け方としては、「~する」と訳す事ができる場合はサ変動詞の連用形の「し」で、品詞分解して動詞として取るしか文が成立しない場合がこれに該当します。
俳句では殆ど見掛けないかもしれません。
例)人のもとにやらむとしける文あり
品詞分解:人 / の / もと / に / やら / む / と / し / ける / 文 / あり
意味:ある人のもとに送ろうとした手紙がある
④形容詞の一部
「高し」、「美し」等。これは俳句でもよく見掛けます。
普段使い慣れていない分文語は口語よりも断然難しいですが、使える様になりますと俳句や短歌においては表現の幅がグッと広がります。
以上、長文失礼致しました。御免下さい。