俳句添削道場(投句と批評)

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見得を切る回転寿司のトロつまみ

回答者 佐々木健一

添削した俳句: 回る寿司トロを摘まんで背伸びして

摘まんで背伸びして
のところがリフレインっぽい雰囲気はあるけれど、摘まんでいるのは背伸びしてますよ、と説明的だと思いました。
歌舞伎で大見得を切るというのを使って、背伸びしての気持ちを上五にしてみました。見得と見栄をかけている感じで。
回る寿司、よりも、回転寿司と言い切ったほうが、回る、つまむと動詞かふたつあるよりもすっきり整います。

どうでしょうか?

点数: 1

身に入むや中トロつまみ背伸びせん

回答者 ハオニー

添削した俳句: 回る寿司トロを摘まんで背伸びして

中トロ人気は強いものです
マグロは売れてもあまり利益にならないと調べたことがあります
赤字覚悟で仕入れるのは、「ない」と言えないネタだからでしょう

気になるところが1点
どれを季語として使っているのか、これがまず分かりません

寿司という季語を回転寿司と使っているため、季語ではないと私は考えます
鮪は冬の季語としてありましたが、トロだけでは季語としてどうかと思います
「中トロ」「ネギトロ」「トロサーモン」「ブリトロ」など、トロのつく寿司ネタはけっこうあります

「回る寿司」も「中トロ」も季語じゃなければ、とても楽です
回る寿司を外して、明確な季語を入れれば成立します

今回は秋の時候の季語「身に入む(みにしむ)」を試してみました
食後の寂しさが少し出たような感じがします

点数: 1

千年の風間をそびえ立つ木犀

回答者 ハオニー

添削した俳句: 木犀のそそり立ちたるこの世かな

金木犀と銀木犀は別物だそうですね
これは銀木犀のことを言っているのでしょう

下五よりも先に...
「そそり立つ」が気になります
この言葉には「ビンビン」といった意図にそぐわないニュアンスもあります
「そびえ立つ」の方がいいのでは?と思います

「この世かな」と詠嘆するとかっこよく見えますが、時間経過よりも「素晴らしきこの世界」という空間的な広がりが先に出てしまいます
季語「木犀」よりもそちらが目立つのは、何か違う気がします

手直しの句は、あえて字余りで「木犀」の存在感を出す方法をやってみました

点数: 1

東雲の窓よ椿の実は黒し

回答者 ハオニー

添削した俳句: 東天よ寒暁を知る椿の実

お初にお目にかかります、ハオニーです
椿の実の収穫はそろそろ終盤といったところでしょうか

「東天」→明け方の東の空
「寒暁」→冬の寒い明け方
と、明け方という時間情報が重複しています
季語「椿の実」で秋だとわかるので、季語としても時間情報としても、重複の原因は「寒暁」です

東天だと「明け方の東の空」が色彩よりもはっきりと打ち出されるため、色彩情報のある東雲(しののめ)の方がよさそうです
ちなみに、東雲(しののめ)だけでは季語として機能しません
初東雲となると新年の季語となります

窓の向こう側の日の出と椿の実を見ている、のが意図のようですから
「東雲の窓よ」と優しく詠嘆してみます

残りの音数で椿の実の成長する様子を描けば、季語を確実に主役にすることが出来ます

東雲の窓よ満ちゆく椿の実
東雲の窓よ椿の実は青し

点数: 1

友と見たあの日を去りし鰯雲

回答者 ハオニー

添削した俳句: 友だちと見上げた空は鰯雲

お初にお目にかかります、ハオニーです
鰯雲は

この句はまだ情報が盛り込めます
どんな友達か?鰯雲の状態はどんな感じだったのか?臨場感を空の描写で出せないか?
など、やれることがいろいろあります

やれるかやれないかは、削れる言葉があるかないかで分かります
友達と見上げた空は→友と見た
ここまで削れますから、いろいろやれます

7音分ぽっかり空いたため、「友と空を見上げたあの日すらも、鰯雲が連れ去っていくようだ」追憶と現実の光景を両立させてみます
友と見たあの日を去りし鰯雲

見たままを描くのは大事ですが、それだけでは皆さんに共感していただけません
読み手の五感や追憶などを刺激できる句が出来るよう、私はヒントを差し上げます

点数: 2

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