ボクの転生物語の第3話 全4話で完結
ボクの転生物語の第3話
作者 白猫 得点 : 0 投稿日時:
ルミナスは一体なにをしでかしたんだ。
怨嗟の目を向ける妖精、涙を流し続ける魔法使い。片腕のエルフが怒りに満ちた目で、レイピアを天に突き上げた。
「彼女こそ、諸悪の根源。世界を滅亡に導く、負の女神に鉄槌を!」
人々の怒りを前に、僕は呆然と呟く。
「僕は、女神を称えなければならない…」
それは果たして正しいのだろうか、とふいに思う。そもそも僕が死んだのも、ルミナスが原因だ。その彼女を讃える意味はなんだろう。
「言うことを聞かなければ、僕は死んでしまう」
生き物が生にしがみつくのは、本来あるべき姿。僕は間違っていない。いない、が!
世界の滅亡。それは、僕の世界もだろうか?
「にいちゃんのバーカ」
今朝、喧嘩して別れた弟の顔を思い出す。口うるさい母、何も言わないが優しい父。
失えない…
小さな引っ掛かりは、次第に大きくなり、強く強く心に刻まれる。その瞬間、胸が熱く震え、 涙が零れた。
溢れんばかりの感情に目をつぶっていると、周囲の空気が動いた。
「お、おい、あれを見ろ」「まさか、そんな…」「間違いない。女神殺しの矛、だ」
不思議に思って見た手の中に、光の矛が一振り。
これがあれば、ルミナスを殺せる。
理由もなく悟った。しかし、それは同時に、ルミナスの庇護下にいる自分の死をも意味することであり。
「あーら、まさか、あんたが私を殺す存在だったとは」
笑いながら現れたのは、ルミナスその人だった。