「しんしんと君に会いたし風邪の夜」の批評
回答者 腹井壮
添削した俳句: しんしんと君に会いたし風邪の夜
ハオニーさん、こんばんわ。
いつも御意見・添削を頂き有り難うございます。
君という言葉を出された以上これはもう恋の句であると解釈するのがお約束なのでそこから逸脱はしていないと思います。また、俳句に限らず映画やドラマのストーリーでも風邪をひいた時に恋人や好きな人が看病に来てくれる。看病にきて貰うほうも嬉しいが相手に風邪を移してしまう気遣い。こういうシーンは王道ですが陳腐にもなりがちでもあり共感も得やすい両刃の剣でもあります。
さて、原句においてまず評価すべきは語順の巧さでしょう。「しんしんと」で読者に雪をイメージさせて「君に会いたし」。とくれば次はもう「雪」だろうと思わせておいて「風邪の夜」に着地。読者に対する裏切りの連続が陳腐さを排除して共感だけを得る事に成功しています。もちろんこれは「しんしんと」という言葉選びから始まっているからこそでもありますね。通常は雪に対してしか使わないオノマトペを自分の心象に重ねました。色々な要素がうまく回転して成功した句だと思います。
句切れに関しては中七の切れが裏切りの効果を高めていると思いますし、御自身で判断がつかない場合「発句切るべし」に従うのが無難だと思います。また「会い」「会ひ」「逢い」「逢ひ」の選択を後々迫られると思いますがその時は御自身の好みで構わないのではないしょうか。
かねまっこさんだけでなくハオニーさんのこの句も是非恋の俳句大賞に応募して欲しい句ですね。既発表句も応募できる貴重なコンペですし過去の大賞作と比較しても見劣りしないと思います。
独り暮らしが長かった自分にはしんしんと伝わるいい句です。
点数: 4