「うつかりと笑ふ君の歯烏賊の墨」の批評
自分自身の句を理論的に説明するという域まで達していないハオニーです
中学校の頃の国語の先生は、私の俳句をきちんと理論的に説明してくれました
それならば、私も人様の俳句を理論的に説明できないだろうか?と、その姿勢、論理的思考、説明する力などを追いかけ続けています
今回の一句は時系列を追ってみます
・「うつかりと」
うっかりと、どういう状況なのか?
説明的になりやすい言葉を選びましたね…
うっかりと忘れた、なんて最悪の選択は勘弁してほしいです
・うつかりと「笑ふ」
笑うなら、人物の存在と表情が出ています
説明的になりやすいところを、うまくかわしましたね
・うつかりと笑ふ「君」
どうしてこの意中の人はうっかりと笑ったのだろうか?
まだ全体像は見えませんね
・うつかりと笑ふ君「の歯」
ここでやっと歯に焦点を当てましたね
軽い切れが入りましたし、この十二音にどの季語を取り合わせるかですね
・うつかりと笑ふ君の歯「烏賊の墨」
なるほど、安心する着地ですね
情景がユーモラスに描けています
「烏賊の墨」というネタバラシ、これはこれでよかったと思います
と、これが今の私にできる理論の読み方です
ひねくれものだからといって、基本を軽んじているということは絶対にございません
お上手な句はこのようにして詠むのだ、という王道を走っているいい句ですね
ここから下は、役に立つか立たないか私にも分からない領域です
この一句についての説明、一つだけ気になるところがあります
前提条件として、この「うつかりと笑ふ君の歯烏賊の墨」の句の字面を全部信じます
イカスミのついた前歯を晒し笑ってしまった
→(彼女が)思わず笑ってしまったときに、イカスミのついた前歯が見えた
俳句は上から下、左から右へ読んでいくので、時系列的にはこちらの説明のほうが正しいかと思います
説明と句をしっかりと寄り添わせるのは、かなり難儀です
某番組でもしっかりと説明できていない人が多いですし、添削依頼をなさらない方にとっては練習する機会の無い部分です
練習すれば強みになる分野かもしれません
言葉と自分の伝えたいことの差をなくす練習ですから
添削のお礼として、ハオニーさんの俳句の感想を書いてください >>
騒音防止条例で絵馬に鈴を付けちゃいけない地方があるかもしれない。「風に鳴る」俳句だけに許された慣用表現かもしれない。それじゃ国語の俳句の時間に教師はどう説明すんの?作句力もひねくれ度もハオニーさんに勝てず優れずの腹井壮です。
句意は恋人同士で食事中、彼女がイカスミ料理を食べていて気をつけていたが何時の間にかイカスミのついた前歯を晒し笑ってしまったというものです。
文法上
うつかりと笑ふ君が歯烏賊の墨
でも間違いはなさそうです。
多少句意からはずれても構わないのでアイディアや添削案または御意見をお願いいたします。是非秋津洲はじめさんにも。