もしも今日世界が滅亡するとしたらの第4話 全5話で完結
もしも今日世界が滅亡するとしたらの第4話
作者 空亡海 得点 : 0 投稿日時:
あれから何年経ったのだろうか――――加奈を救うために杖を使い、隕石を止めた。でも俺はこの虚無空間という場所に閉じ込められてしまった。
加奈、加奈、加奈、もう誰だかは分からない。でもなぜだかその名前を思うと、胸が温かくなって、救われる。実際、ここまで心が壊れなかったのも加奈のおかげだ。
加奈って誰なんだろう。その思いはずっと心の中にある。
ふと、好きってなんだろうな、と思った。人は何故か、異性を好きになる。
まず、好きってなんだ? 好きっているのは……一緒にいた気持ち、触れた気持ち、独占した気持ち――――言葉では表せられない気持ち。
人は遺伝子の中にこんな人を好きになるって全部決められているらしい―――だから俺が誕生した瞬間から、この加奈っていう子が隙になるって決まっていたのか――――ロマンチックだ。ずっとむかしから決まっていただなんて―――
加奈、加奈、加奈、加奈、加奈、誰だっけ。か―――な? あれなんだっけ。だんだんと寒くなってきた。加奈、加奈、加奈―――なんだか眠い――――加奈、加奈―――ああ、もう駄目だ。
加奈―――
そして、心は空となった。なにもない空。加奈という女を思い続け、それでも出会えず、顔も声も、仕草も忘れてしまった男。
天空から銀髪の男がそれをみていた。地球を救うには仕方がなかった……けど、こんなの悲しすぎる。銀髪の男はふと、何かに気がつく。
それは空の心に集まる光―――
「まさか!?」
宇宙という生命体からの願い――――この男を救おうとする奇跡。
ドクン――――
そして、動き出した。