「日差し待つ春雨ごとに呼吸する」の批評
回答者 独楽爺
はじめまして。
さっそくですが俳句の基礎、入門としてとても大切な点を学習して頂きたく、その要点に沿って添削
させていただきます。
◆俳句の形式を決める
俳句の形式には主に次のようなものがあります。
(1)対象を一気に詠み句の途中に切れを入れない形
内容的には一つのテーマ、多くは季語を主役にしそれにまつわる表現を重ねます。
「道のべの木槿は馬にくはれけり」(芭蕉)
「五月雨を集めて早し最上川」(芭蕉)
(2)一つの作品の中に二つの内容を表現
①二つの内容は相互に関連 がない
『荒海や佐渡によこたふ天河」(芭蕉)
「花冷えや剥落しるき襖の絵 』(水原秋櫻子)
② 二つの内容はそれぞれ主題と副題あるいは主役と脇役という関係性を持つ
「五月雨や大河を前に家二軒」 (蕪村)
◆俳句らしい表現を整える
①平名すなわち意味が良く分かること
②重複した無駄な言い回しは極力けづる
➂韻律すなわちリズムが良く読んで調子がなめらか
④余韻すなわち言葉に表されていない趣、余情があること。余韻や余情により読者の想像の余地を残し句の意味に広がりを生みます。
さて、御句ですが
「日差し待つ春雨ごとに呼吸する」は形式的に上記の(1)に該当します。しかし主題はさて何でしょうか。「日差し待つ」、「春雨」、「呼吸」のいずれもが文脈上のつながりが曖昧で主体がぼやけています。
「春雨」と「日差し待つ」は重複ではありませんがかなり近い気がします。「日差し待つ」の代わりに「草木」を加え呼吸の主体が「草木」であることを明確にし、その前に「春雨の」と被せることですべてが「呼吸」にかかる形になります。
ただ、その「呼吸」は一体どうなるのとの答えは一切言わないでおきます。それが余韻になり後は読者の想像に託すことになります。
「春雨の草木の呼吸のありにけり」
お役に立てれば幸いです。
点数: 1
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初めて作りました。呼吸は生命の息吹きをイメージしました。