ぼた雪といへばほのめく香りかな
回答者 辻 基倫子
イサク様
御句、皆様もご指摘の、高浜虚子の句をふまえたおもしろい句ですね。「ドカ雪」の対義語としてどんな「春の雪」をイメージするかが読者にゆだねられているところが素敵なだ、と思いました。「ドカ雪」は「牡丹雪」を連想させるので、その点も「白牡丹と…」との対応関係があって面白いですね。私は、「ドカ雪」という少々野卑な感じの言葉と、和歌的な伝統を感じさせる「春の雪」の典雅さとが対比されているのかな、と思いました。もちろん、「春なのに、まだ、こんなに雪が降るよ!」という感じも出てますね。
虚子の句が名句なのは、「白牡丹」に「ほのかな紅」を感じたその感覚にあると思います。「ドカ雪」という言葉に「春の雪」を思う心に独自性があるかは、疑問を感じます。提案句は、御句とは全く違う句になってしまいましたが、私なら、あえて、「ぼたん雪」という語を全面に出して、そこに虚子のような「紅的存在」を感じる、そんな感覚の句にしたい、と思い、こうしました。
また、わたしの句に、いつもとても丁寧なコメントをありがとうございます。
ご指摘に「切れ」と「音」と「動作」の説明的な要素をすっきりさせたいと思い、次のように推敲しました。
「朧夜や茶こしを軽く弾く音」
「月」を入れず、「たたく」を「弾く」に、「かろく」を漢字にして、金属的で瞬間的な音に焦点をあててみました。
点数: 0
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