「春愁のビスクドールの眼の碧し」の批評
好意的なコメントいただいておりありがとうございます。投句を楽しみにしておりました。たくさんの推敲素晴らしいですね。僕も恥ずかしながら、着想までは苦労するのですが発想が出たらほとんど推敲しないたちで(俳句の形式にするのに整えはしますが)その向き合い方に尊敬します。
ビスクドールが既に、どこかしら哀愁が漂うので私なら春愁との取り合わせは諦めるところで、さらに目の青さ(特に正気の碧は殊更)などとはとても無理と判断してしまいます。
なので、なかなか提案句も浮かばないので、推敲中の句だとしたら私ならどう読むかを僭越ながら置かせていただきます。
・春愁の瞳のビスクドールかな
ビスクドールが窓の外を眺めているそんな感じ。あー、このビスクドールも春の愁を感じているのだなぁ。雰囲気全体が春の愁を持っている。
・春愁の青き瞳やビスクドール
愁のある青き瞳が強調される。最後でビスドールのそれとわかる。でも作者の意識は愁を持った青い瞳にある。じっと目を見つめているような印象。
→どちらかというとビスクドールの句
・春愁の青き瞳や古人形
やはり和風をイメージするが、青き瞳だしな。。うーん。
・春愁の青き瞳や陶人形
同じく和風を。。せめて洋人形。
・春愁の巻き毛のビスクドールかな
ご本人の通り、春愁の巻き毛はピントこなかった。
・秋思の目したるビスクドールかな
うーん。さすがに。。
・春愁のビスクドールの眼の碧し
ビスクドールが春愁とは読まずに、(作者の)春の愁がこもったビスクドールと読みます。「眼の碧し」でなんとなく相当まいっているんじゃないかと感じました。碧しではさすがに正気がなさすぎる。
・春愁やビスクドールの眼の碧し(かぬまっこさん)
春の愁でなんとなく落ち込んでいます。ビスクドールの目は青くて、この人形も春の愁を感じているのだろうか。(やはり蒼しは気になる。)
この中から選ぶとしたら、
「春愁の瞳のビスクドールかな」か「春愁やビスクドールの眼の碧し」かなぁ。どちらも作者の春愁がしっかりわかるから。掲句も分かりますが、目の碧しのダメ押しがちょっとくどい気がする。
春愁やビスクドールの瞳は青く
くらいにすると思いました。最後切れなくしたのは、その後また作者の春の愁いにつなげるため。
添削のお礼として、卓鐘さんの俳句の感想を書いてください >>
≪推敲過程≫
春愁の瞳のビスクドールかな
(春愁の目や瞳ってよくあるな…)
↓
春愁の青き瞳やビスクドール
(下五が六音って座り悪い)
↓
春愁の青き瞳や古人形
(古人形って日本の人形も入る?市松人形?ちゃうやん)
↓
春愁の青き瞳や陶人形
(ちゃう…下五が六だ)
↓
春愁の巻き毛のビスクドールかな
(春愁の巻き毛って何?アフロ?って鳶色の目のビスクドールちゃんもおるやんか。春愁が悪いのか?)
↓
秋思の目したるビスクドールかな
(嗚呼、駄目だ…)
↓
春愁のビスクドールの眼の碧し
(愁いていないビスクドールちゃんもおるやん)
どなたか、助けて下さい。