俳句添削道場(投句と批評)

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「息白し星座の名前いえる人」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 息白し星座の名前いえる人

 
こんばんは。貴句、拝読いたしました。お体のお加減は如何でしょうか。

冬の夜空の静寂と清々しい空気、そして、星の知識を持つ人へのロマンティックな
憧憬が伝わる、美しい句でございますね。
満天の星の下で交わされる静かな交流を私めは想像いたしました。

さて、技術的な観点から、文体に関する1点の提案を申し上げます。

貴句の上五「息白し」は文語体であるのに対し、中七以降の「いえる人」は
口語表現ですので、句全体に文体の不統一が生じております。

また、「いへる人」の場合、ハ行四段活用の自動詞「言ふ」の
已然形「言へ」+完了・存続の助動詞「り」の連体形「る」となり、意味としては
「星座の名前を言った人」となります。動作主体は不明瞭でございますが、
星座の名前を同伴者が言った → 今の私は知っている(完了・存続)という
ニュアンスは読み取れます。

より直接的に作者の意図(憧れ・可能性)を表すなら、
可能の助動詞「る」(下二段活用、未然形接続)をお使いになりますと、
文語体を維持しつつ中七下五を跨がせて表現できます。
そこで私めからの添削案は以下でございます。

・息白し星座の名を言はるる人

この形にする事で、「息白し」の文語体の響きを損なう事無く、作者の意図した
「言う事が可能である」という意味を正確に伝えられるのではないかと、また、
句全体に静かな憧憬の空気が漂い、回想的かつ詩的な余韻も深まるのではないかと
私めは考えました。

俳句は文語文法(旧仮名遣い、旧仮名遣いの動詞活用)を基盤としている事も
ございますので、文体統一は意味の正確性と詩的完成度の両方に寄与いたします。

以上でございます。お目通しいただき、感謝を申し上げます。
夜の寒さが増しておりますので、どうぞご自愛ください。
 

点数: 1

「寒月や生身の骨の軋みをり」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 寒月や生身の骨の軋みをり

 
こんにちは。貴句、拝読いたしました。
お体のお加減は如何でしょうか。

極度の寒さの中で、病の身が感じる切実な痛みと緊張感が、「寒月」の
冷たい光の下で見事に描き出されている一句と、私めは感じました。
句全体から、身体の内側から来る張り詰めた冷たさが強く伝わって参ります。

しかしながら1点だけ、より詩的かつ言葉の正確性を高める為の提案を
申し上げます。

貴句の主題は、寒さに因る身体内部の痛みが「軋む」(擦れ合って音を発てる)との
動詞で表現されている点にあると推察いたします。

文語の動詞「軋む」は「擦れ合って音を発てる」という意味でございますが、
「骨そのもの」が音を発てるという表現は、詩的真実としては理解できるものの、
写生(客観描写)としては読者に「骨ではなく、関節ではないか?」との
疑問を生じさせる可能性がございます。

そこで、貴句の切実な痛みを損なう事無く、文語の動詞「軋む」の意味に
忠実な描写とする為、「軋みの原因」を関節に求める事を提案いたします。
私めからの添削提案は以下でございます。

・寒月や多々関節の軋みをり

「生身の骨」という象徴性を、「多々関節」の響きと客観性に置き換える事で、
句の緊張感はそのままに、より論理的で説得力のある一句に深まるのではないかと
私めは考えました。

寒さが一段と厳しさを増しております。どうぞご自愛ください。
以上でございます。お目通しいただき、感謝を申し上げます。
 

点数: 0

「縁側で干藷並べて一人笑む」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 縁側で干藷並べて一人笑む

 
こんにちは。貴句、拝読いたしました。

こちらも、日常の中の静かな幸福を丁寧に掬い上げた句と私めは思いました。
「縁側」、「干藷」、「一人笑む」という語が何れも柔らかく、余計な修飾が
無い分だけ、暮らしの手触りと自己完結した充足感がきれいに伝わってくると
私めは思いました。
ジョイさんの作品の多くに共通する「穏やかで、誰にも邪魔されない幸福」との
基調が、ここでも生きている様に思いました。

私めからの指摘点は1点。今回も助詞「で」と「に」の違いでございます。

口語においても、大まかに以下の様な使い分けでございます。
「で」:動作が行われる場所(例:子供達が公園のグラウンドで駆け回っている)
「に」:存在や状態の場所を示す(例:老夫婦が公園のベンチに座り続けている)

句中の主要な動作は「干藷並べて」であり、作者は確かに動いていますので、
「縁側で並べて」は文法的には成立いたします。
しかし、句末の「一人笑む」は静的な情景でございます。
つまり貴句は、「干す動作」そのものよりも、
「干し終えてふと微笑む」その余韻を描いた句と読み解けます。
その為、「に」とする事で視線が静止した風景に定まり、
季語「藷」の陽光に由る温もりもより引き立つのではないでしょうか。

私めからの添削提案は以下でございます。

・縁側に藷干し並べ一人笑む

助詞「に」の採用で情景が静止し、温もりの焦点が「縁側」に収束いたします。
また、接続助詞「て」を払う事で動作の連続が断たれ、「並べ」と「笑む」が
ほぼ同時の瞬間として響き合い、「静の中の動」、或いは「余韻」が生まれると、
更に「干藷並べて」では説明的な調子になりますが、「藷干し並べ」とすると
和語的な凝縮が効き、古風な趣が添えられるのではないかと
私めは判断いたしました。

なお、頓さんご指摘の通り、「甘藷(かんしょ)」や「干芋(ほしいも)」との
混同・誤読を避ける為、季語を「藷」とし、複合動詞「干し並べる」を
用いて語順を変えております。これは作者コメントを踏まえた措置でございます。

以上でございます。お目通しいただき、感謝を申し上げます。
 

点数: 1

「小春日や子犬すやすや助手席で」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 小春日や子犬すやすや助手席で

 
こんにちは。貴句、拝読いたしました。

柔らかな日差しと穏やかな時間の流れを、僅か十七音の中に清らかに
閉じ込められた句かと存じます。特に季語「小春日」と「子犬すやすや」の
取り合わせに、作者ご自身の愛情と追憶が自然に滲み出ており、
読む者の心まで温かく包み込む様な情景が立ち上がって参ります。

私めが惜しいなと思ったのは1点。句末の助詞「で」について申し上げます。
上五の間投助詞「や」がございますので、この句は文語体として読まれます。

文語における助詞「で」は未然形接続の接続助詞で、
上の語を打ち消す性質がございます。
例として、小倉百人一首の三条右大臣作の短歌を挙げますね。

名にし負はば逢坂山のさねがづら人に知られで来るよしもがな

この歌の下の句は、「人に知られないで来る方法があれば良いのにな」と訳します。

つまり原句は、「助手席ではない場所で」との意味合いになってしまう恐れが
ございます。

現代文法の観点からも、大まかには以下の様な使い分けでございます。
「で」:子供達が公園のグラウンドで走り回っている。
「 に」:老夫婦が公園のベンチに座り続けている。

「で」:は動作が行われる場所、「に」は静止・存在する場所を示します。
眠っている子犬の静かな姿を描く本句では、「助手席に」とする事で情景が
より自然に、穏やかに伝わるのではないでしょうか。

したがいまして、私めからの添削案は以下でございます。
たった1文字。接続助詞「で」→格助詞「に」に変更するだけでございます。

・小春日や子犬すやすや助手席に

上記ですと文法的にも意味的にも整い、句意の柔らかさが一層際立つ様に
思われます。

以上でございます。お目通しいただき、感謝を申し上げます。
 

点数: 0

「今朝の冬大気の胸に澄めりけり」の批評

回答者 みつかづ

添削した俳句: 今朝の冬大気の胸に澄めりけり

 
再来失礼いたします。

「今朝の冬」は「立冬」の傍題でございました。
大変失礼いたしました。
 

点数: 0

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