「巴旦杏すももをそう呼ぶ祖母ありき」の批評
回答者 小西晴菜
添削した俳句: 巴旦杏すももをそう呼ぶ祖母ありき
お七さん、はじめまして。小西と申します。私も俳句を始めて日が浅く、添削、批評などおこがましいのですが、「巴旦杏」を一目見て、ぜひコメントさせていただこうと思いました。
いきなり失礼ですが、お祖母様は昭和初期のお生まれですか? ·····というのは、私の母は現在88歳ですが、すももを見るたびに(年に一回くらいですけど)「子どもの頃に食べた巴旦杏が食べたい。ソルダムや大石早生の品種も美味しいけど、形も味も巴旦杏とは違う」と言います。
巴旦杏は日本古来の品種のすももで、明治時代半ばまでは多く栽培されていたけど、だんだん廃れて、消滅しかけていたそうです。
でも、明治初期に来日したケルシーというアメリカ人が巴旦杏を気に入って、種苗を持ち帰り、アメリカで栽培していたので、それを逆輸入する形で大正時代に復活したとのこと。だから、母が子どもだった昭和初期にはかなり広く出回っていたようです。
その後、戦争で、再び消滅の危機を迎える
けれど、山梨県の生産者が再度アメリカから輸入して、少ない生産量ながら存続。
現在は、日本古来の品種を守ってくれた人への敬意で、「巴旦杏」の名は使わず、品種名「ケルシー」として栽培されているそうです。
業者さんによっては、「ケルシー」を仕入れて、売る時には「幻のすもも巴旦杏」とする場合もあるようです。
と、俳句がどっか行っちゃいましたが、季語についていろいろ知るのは楽しいし、作句の基盤になると思います。
せっかくなので、拙句を。
「巴旦杏昭和の記憶たどる母」
「すもも手に母は少女へ還りをり」
点数: 5