「デパートの屋上閉づや矢車草」の批評
回答者 小西晴菜
添削した俳句: デパートの屋上閉づや矢車草
イサク様。拙句「桜桃忌」「ひとりじめ」等々に適切なアドバイスをありがとうございます。なかなか返信に至らず恐縮しております。さて、御句ですが、まず思い浮かべたのは芭蕉の「夏草や」です。目前の寂寥感を表すことで、かえって過去の戦の活況を想起させるような。····デパートの屋上、今は寂しいなあ、遊具も無くなって、ちょっと矢車草かなんか生えてるだけじゃん。子どもの頃、楽しかったなあ、と。
そして、88歳の母に御句を見せて、「昔よく行ったね。」と思い出話を向けると、その返事にびっくり。「矢車って、鯉のぼりのてっべんで回ってるもんね。子どもの日くらいに咲くからね、矢車草。」
ああ、季語とはそういうものか、と膝を打ちました。思い出の中のモノクロの遊園地
が一気にカラー化し、子どもの歓声や楽しげなBGM、亡き父の若い頃の笑顔まで目に浮かびました。やはり俳句は奥が深いですね。
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