「三日月や身を浄めたる刀鍛冶」の批評
回答者 ハオニー
添削した俳句: 三日月や身を浄めたる刀鍛冶
朝から悔しげなハオニーです
これは成功した「理系の句」ですね
「理系の句」と私が勝手に呼んでいるだけですから、公式用語ではありません
私なりの定義も後述します
まずはこの句を考察してみます
「刀鍛冶」という言葉で、鍛冶をする場所の職人さんだとすぐに分かります
「浄める」という字が「清める」じゃないこともプラスに働いています
「浄」という字に宗教的な匂いや神聖さが加わり、意図通りの効果を得られています
私、季語をあえて「満月や」にしたらどうなるかと試してみました
しかしこれから刀をつくる行程があるわけですから、ここで満ち足りた感じを出しては早すぎる気がしました
「三日月」は正解です
私なりに正解だと考えた理由は感想に置きます
完了の「たり」がきちんと連体形になっているのも、文法はきちんと押さえている方だと分かります
私の感想
身を清め終わった刀鍛冶師から、緊張感や決意を新たにした表情がきちんと見えてきました
三日月は朝に昇り夕方に沈みますから、朝の凛とした空気も鍛冶場の緊張感に作用しています
ここに「三日月」の必然性を確かに感じました
この句は、直さなければいけないところはございません
この言葉じゃないといけない理由が分かり、言葉の経済効率を理解して適切な位置に置いている
そして、感情ではなく別のデータ的な言葉で感情をも想像してもらう
これが理系の句なのだな、と勉強になりました
点数: 1