大野です。多分酷評しますが、何よりもまず完結おめでとうございます。
まず、如月さんが気にされていた三点から。
・続きは読みたいです。個人的に『これ伏線かな?』と思うものが回収されていなかったり、微妙に釈然としない部分があるため。及び、『もう少しキャラが増えて、それらと絡んでくれたら面白いなぁ』と思うからです。
例えばフィーアの師匠とか。
個人的にはミレーヌの独特な情緒の激しさも嫌いではないのですが、彼女の人格形成の過程に何があったかとか、少し見てみたい。少々ヤンデレっぽい感じするし。
・悪役組・及びゴーレムちゃんについては描写自体は上手いと思う。ただ、超長編の一章目であるならともかく、ただの長編として書くならこのタイミングでドゥーエちゃんが登場するのは普通にナンセンスじゃないかな。
最初から登場して、『マスコットっぽいけど、実は最終兵器』みたいなのがテンプレだけども、それでよかった気ももする。
・後半から文字数が減ってる件については、俺みたいに完結後に読む人にとってはどうでもいいことなのですが、追っかけて読んでる人には難しいかもしれない。『前回どうなったんだっけ?』ってなると思う。
で、こっからが酷評。自分のこと棚上げにして書きます。『長所』コーナーに良かったと思う部分はまとめて書くし、それがあるから読んでるんだけど、正直『何が面白いの』レベル。
一つ目。いらない設定が多い。『世界の背景を理解する』のに必要な程度の設定紹介なら良いけど、『五行くらい使って説明した内容』が特に作品の内容にかかわってこないってのはやめてほしい。特にゴーレムがらみ。『死体を材料にする』あたりは魔術とかにそこそこ興味ある人以外にはワケがわからないし、客観的に見るとエミリーとかの方が共感しやすい人も多いと思う。中世ヨーロッパの街の表現もそう。フィーアの視点で考えて、『食料も豊富にあり、水もタダで飲める』などの描写・設定を語る必要性が理解できない。
二つ目。単語のチョイスが冗長。他の人も会話シーンや戦闘シーンの構成については触れられていましたが、それ以前の問題として『もっと短くなる』文章が多い。描写の自由とかでもなければ、詩的表現でもなく。シンプルにもっと短い代替表現があるのに使ってない部分が多い。特に地の文。素直に読みにくいです。一話冒頭の『一般人から観たらそれが共通の見解でしょう。』とか、『それが常識。』ではダメなんだろうか。情緒も大事ですが、読みやすさも気にして欲しいところです。
三つ目。あらゆることが『フィーア視点』過ぎる。これは会話シーンなどで散見されることなのですが、『フィーアに理解できる』部分の会話・他キャラクターへの説明が明らかに短すぎます。これは例示が難しいのですが、『フィーアが納得したことにはとりあえず他のキャラクターも納得する』みたいになっている部分がいくらか発生しているように見えるぐらいに、他キャラの『理性』部分の描写が乏しく感じました。
四つ目。同じ単語の重複利用。及び主語問題。前も指摘したことですが、正確性を求めすぎないでください。『多少意味が違うけど、良いかな?』ぐらいの感覚でいいので、同じ単語を前後三行以内に出さない気概を持ってほしいです。
そして、キャラクター名をそのまま主語にする文章が多すぎます。例えばティファレトは『剣士』、ミレーヌは『精霊術師』と職業で呼んでもいいですし、ゾンビを『屍人』と言ってもいいでしょう。とかく、カタカナの主語を連打しないで。『俺、RPGのログ読んでるんだっけ?』って気分になります。
五つ目。濃いキャラが多すぎる。文章全体の長さの割に、登場人物の性格設定が作りこまれすぎていて、正直混乱します。読んでいて疲れると言ってもいい。主人公組四人の内面描写が丁寧と言えば聞こえがいいですが、もう少しお話が続いてから出したほうがいいんじゃないかって設定がチラホラ。特に男組二人の過去とか、性格の細かい描写は『ホントに要る?』と思うものがあります。たとえで言うと、テオドールは『口調は軽いけど、めっちゃ冷めてる』キャラな訳ですが、『冷めてる』部分を見せるのが早すぎて『こいつこう言う奴だったんだ!?』という感慨もなければ、冷徹キャラ独特の『ぞわっ』とさせられる感じが全くなく、面白くないです。また、冷たい性格を早く出しすぎたせいで彼の軍時代の話がアレコレ書かれており、話の中心事物であるはずエミリーのキャラを食ってしまっており、結果として彼女がただの小物に見える仕様になってしまっています。
六つ目。『黄金の魔女』の二つ名の無意味さ。正直、ネーミングとしては『最高かよ』レベルでお気に入りな二つ名ですが、しょっぱなから町の人たちが用いている割に名前の由来が作中で出てこず、しかも軽蔑の意図がある名前であるかと言うとそうでもない、って言う。正直、終盤で『私はこれでも『黄金の魔女』なのよ!』とかいう使い方をするわけでもなければ、いっそ作中では出てこなくてもよかったんじゃないかレベルの二つ名です。というか、人の悪口を言う(ひがみ以外)時にその人を『黄金の』なんて言うむやみにカッコ良い名前で呼ぶ必要ないでしょ。『墓場漁りの魔女』みたいな、軽蔑要素のある仇名で呼ばれている方が違和感がないと考えます。
以上が俺からの酷評です。ミレーヌの情緒不安定とか、ラストバトルでの不整合はいくつか感じなくもないですが、そこらへんは正直そこまで気にすることではないです。
どうも大野さん。鬼の王無惨こと、如月千怜です。
出ていく前にけじめをつけたいと思ったので、二年越しに返信を書かせてもらいます。
というのも、最近この作品を別サイトで読んでもらい、また厳しい意見を貰ったので、この感想をそろそろ見つめ直す必要があると思っていたのですよね。
感想の内容としては(細部の言葉遣いを含めて)今でも異論を唱えたくなる部分がないと言い切れないですが、今読み返すと正当な指摘だったと思います。
個人的に1.2.4.6の指摘は重たくて、現在はこれらの部分は他の方にも指摘されたことがあるので、現在はこれらを中心に第1章から作り直しを検討しています。
やっぱり時間を置いてから気づくことができることってあるんですね、と思いました。
(アンチの人々も誹謗中傷の厳罰化が進む前に自分の間違いに気が付いてくれたらいいのですけど……)
ただ5に関しては既存のファンの方から評判のいい部分なので、残念ながら直すのは難しいです。
特にテオドール周りの批評に関しては、テオドールが私自身すら想定していなかったほどに人気になってしまったため、彼が好きで喜んでいる人達を裏切るような作り直しはあまりしたくありません。
もちろん大野さんの好みには当てはまりにくいキャラクターだったという結果としては、受け取っておきますが。
エミリーがないがしろにされている、というのはもちろんあったと思いますが、別サイトではアレックスの扱いに対する苦情も一緒になっていることが多かったです。
実際に大野さんが言う「フィーアが無意味に怪しまれることをするのが悪い」「それを疑うアレックス達の行動は正当である」というような感想が他の方からも多く来ました。
中には「アレックスの懺悔に対してフィーアの態度が恩着せがましい(意訳)」という人もいました。
他の方の意見も照らし合わせて考えると、アレックス達をないがしろにしてまでテオドールを濃くする必要はなかった、という面では大野さんの苦情にも一理があるのでしょうね。
冷静になった今では大野さんの感想がすごく役に立っています。
読み返すたびに良くも悪くも「お互い青かったなあ……」という気持ちになれます。(勝手に俺を巻き込むな、と思われたらゴメンナサイ)