小説のタイトル・プロローグ改善相談所『ノベル道場』

メタルギガース

スレ主 Savin 投稿日時:

なんだか書いてて行き詰ってきました。
創作相談板で最初に相談した時に「どんな文を書くか読ませてみろ」と言われたのを思い出したので投稿してみます
ヒロインのキャラ付け(正義感が強過ぎて少々めんどくさい性格にするか多少生き汚い小狡い性格にするか)で悩んでいます。
ほかにも何かあれば言ってほしいです

プロローグ

 遥か昔、人類がまだ別の宇宙にいた頃。
 この宇宙は邪悪なモンスター達に支配されていた。
 生き物達はモンスターの支配に苦しんでいて、それを打ち倒すために神々がこの宇宙に人間を遣わした。教会の教えではそうなっている。
 だからモンスターを倒すハンターは勇敢で強く、男の子なら皆一度は憧れる職業だった。勿論女の子にだって憧れる子はいて、エーリカもその一人だった。
 その憧れは周りの子達が現実を見据えるようになった歳になっても衰えず、ハンターギルドの年齢制限である15の誕生日になったその日にエーリカはハンターギルドの入会試験を受けた。
 入会試験は案外簡単で、読み書きができるかだとか、簡単な四則演算だとか、ちゃんとした受け答えができるかの確認をする面接だとか、ちょっと難しかったのが銃を一通り扱えるかの試験だった。だが、開拓中の辺境であるこの星では、そんな事も出来ないような人達が沢山いる。
 教会付属の養護施設で育ったエーリカだが、それだけのことを教えてもらえたのはこういった境遇の子供の中では恵まれていた方だと言える。神に感謝を。
「これがハンターの登録証です」
 そう言いながらギルドの受付嬢がギルドの証明証を渡してくる。エーリカはそれを手に取った。財布に入る程度の大きさのカードだ。表にはハンターギルドとエーリカの名前と登録番号が刻印されていた。
「無くしたら再入会となりますので、無くさないでくださいね。もし無くした場合は、すぐに最寄りのハンターギルドに連絡してください。このカードは――」
 受付嬢がカードの使い方について色々と説明してくる。どうやら色々と多機能なカードな様で、エーリカには一度で覚えることができなかった。受付嬢もそれは承知していた様で、
「これが説明書です。良かったらどうぞ」
 と言って冊子を渡してきた。最初からそれを渡してくれよ、とエーリカは思ったが、そういう事を言う奴に限って説明書を渡したところで読みはしないのだ。だから後でトラブルにならないように、ちゃんと説明をした、という事実がギルド側には必要なのだ。要は、渡す時にちゃんと一通り説明もしたし説明書も渡した。それでわからなかったらお前が悪い、という事である。
「あの、これで今すぐ仕事とか受けられるんですか?」
 一通りの説明を受けたエーリカが口を開いた。
「はい。今紹介できるのは――」
「あ、いえ、一応確認してみただけです。今日はもう帰ります。」
「あ、はい。でも、できるだけ早く受けといた方が色々と都合がいいですよ」
 ギルドの仕事など人材派遣の様な物で、ギルドが「この仕事はどうですか?」と聞いてきたらもうそれにははいと答えるしかない。いつまでもいやだいやだと言っていたら仕事を振ってもらえなくなる。
「わかりました。なるべく早く帰ってくるようにします」
 その受け答えで、受付嬢はエーリカに何かしらの用事があるのだろうと心得た。
 エーリカは別に今更命懸けの仕事に怖気づいたとか、誰かと組む事が怖いとか、そういうわけではない。エーリカは出口の方に向かい、ハンター達の間を突っ切る。
 受付のある広間ではハンター達の喧騒が聞こえる。ハンター達の体臭とそれを抑えるための消臭剤の匂いがケンカして、混じりあって何とも言えない匂いになっている。屋内は禁煙の筈なのに煙草の匂いがする。あまりガラのいいところとは言えなかった。
 年頃の少女を「見定める」ような視線を感じる。なにくそ、と睨みつけるようにハンターたちの方を見ると、やくざ者共の中に一人の子供がいるのを見つけた。見た感じ12、3といった所だろうか。薄汚れたミリタリーコートに目深にかぶった帽子というみすぼらしい格好で、布に包んだ曲がった棒を腋に抱えて、携帯ゲーム機でゲームをしていた。誰かの下働きかと思ったが、周りには保護者らしき大人はいない。そもそも、大体のハンターは下働きの少年少女をハンターギルド内に入れたがらない。
 こんな子供が一人でこんな所に居ては大変だ。良くて警察の「人狩り」にあって、親の有無にかかわらず養護施設にぶち込まれて強制労働させられる。悪けりゃ人攫いに捕まる。最悪殺されて身ぐるみを剥がれる。
 少年が座っている隣の椅子に腰を掛け、笑顔を作り、声をかける。
「ねえ君、一人?」
 子供がこちらを向いた。全身が服で隠れていて、唯一露出している顔は男か女かすらわからない程端正だった。その端正な顔は、誰だこいつは、とでも言いたげな怪訝そうな顔をしていた。
「ハンターの人がお仕事をくれて、その分け前を貰う所です」
 子供が言う。ややハスキーボイスで、辛うじて男であろうと推測できる。というか、女の子がこんな色気のない格好をしていたら嫌だと思ったので、男の子だとして接することにした。
 エーリカは笑顔を取り繕ったまま、もう一つ質問をしてみた。
「そのハンター達はどこ?どのくらい待ってるの?」
 少年はゲーム機を操作して、内蔵されている時計を確認した。
「2時間くらいです。仕事終わりで臭うからってシャワー室を貸してくれたんですけど、出たらいなくなってました」
「何の仕事を受けたの?」
「下水道に入って、あっちに行ったりこっちに行ったりしました。臭かったです」
「下水道の警備の仕事?それ持ってやれって言われたの?あれ結構危ないんだよ」
 少年が脇に抱えている、曲がった棒を指さしながら言う。
 下水道には時々排水口からモンスターが入り込んでくる事があり、そこから町中に出てきたり、下手をすれば下水道内で繁殖する可能性もある。その為に定期的にハンターが巡回している。モンスターに出会う事は滅多にないが、出会った場合は暗い下水道の中を回る為索敵装置が無いとモンスターの接近に気付けない、不衛生な環境な為に少しの傷で化膿する可能性がある、という事で実際の危険度の割に報酬が高く設定されている。余程運が悪くなければ廻るだけで結構な額の金が貰える為、ハンターが受注し、その辺の子供を雇ってやらせる事がある。この子はこの曲がった棒を一本持たせられてそこに放り込まれたのだろう。
 こんな棒一本でモンスターがどうにかなるわけがない。もしモンスターに会っていれば、間違いなく死んでいただろう。
「それに、臭い。下水の匂いがする」
 シャワー室を使わせてもらったと言うが、少年からはまだドブの様な、というかドブの匂いがしていた。これで報酬まで持ち逃げされているなんて、あんまりな話だとエーリカは思った。ハンター界隈では「騙される方がマヌケ」と言われる様な事案だが、それが許せない程度には彼女の義侠心は強かった。
 少年の手を取る。
「ちょっとこっち来て」
 そう言ってエーリカは少年を外に連れ出した。

 ハンターギルドの前は閑散としていた。ちょっと離れた所で宿無しで寝ているのか酔っぱらって寝ているのかそれとも野垂れ死んでいるのかわからないおっさんが何人か倒れていた。
 ハンターギルドは市街地とスラム街の合間に建っている、というかハンターギルドを境に市街地とスラム街が別れているようなものだ。どうして市街地の端に建っているのかと言えば、武装したならず者一歩手前の連中が出入りする様な建物を市街地に入れるのに対して街の人間がいい顔をしないからで、どうしてスラム街の端に建っているかと言えば、スラム街の連中でさえハンターとかいう強くて物騒な連中にはあまり関わりたくない為、ここから先に来ようとしないからだ。
 その市街地側の物陰、つまり比較的安全で人目につかない所に少年を連れ込んだ。
「あの……?」
 少年が不安そうに上目遣いでこちらを見る。少年からしてみれば「いきなり知らないお姉さんが話しかけてきて、人気のない所に連れ込まれた」という事になる。一歩間違えれば変質者だ。
「あー、いきなり連れ出して、ごめんね。君、名前は?」
 落ち着かせるように、少年の目を見てゆっくり言う。これはこれで何か口説いているようで怪しい。
「ほりい、です」
 不審なものを見る目で少年が名乗る。
「Holy?いい名前だね。私はエーリカ。これで私たち知り合いだよ、ね?」
 丸っきり変質者の言い分である。
「いい?ホーリー。落ち着いて聞いて。君は騙されたんだよ。報酬を持ち逃げされたの」
「まあなんとなくそうじゃないかとは思っていましたけど」
 ホーリー(と言う様にエーリカには聞こえた)は、怪訝そうな目で、しかしじっとこちらを見ながらが言う。目を逸らすと喰われるとでも思っているのかもしれない。
「うん。ごめんね」
「なんで謝るんですか?」
「なんでって……私もハンターだから?今日からのペーペーだけどね。憧れてハンターになったから、そんな人がいるのが許せなくて」
 エーリカがそういうと、うつむき気味に目を合わせようとしなかったホーリーがすうっと真っ直ぐにこちらを見据えた。青い、澄んだ瞳だ。
 綺麗だ、と思った。
「綺麗ですね」
 ホーリーは思わず口を突いて出てきた、と言わんばかりに呟いた。
 いきなりの言葉に面食らう。
「何いきなり。そんな真顔でナンパのつもり?ませた子だね。私、自分で言うのもなんだけど可愛いって自覚はあるからそんなのお世辞にもならないよ」
 そう言いながらも悪い気はしなかった。
「いや、そういう事じゃ」
「家はある?ていうか両親とか、兄弟とか、いないの?」
 二人同時に口を開いた。ホーリーはエーリカの質問に答えることを優先したようで、
「え、あ、一人です。寝る所なら一応あります」
 と、自分の言葉を中断して答えた。
「その寝る所って、ちゃんとした、雨風や侵入者なんかを防げる奴?ダンボールや廃材で出来てたりしない?」
「絶対に安全な場所だと思います。狭いしいい加減に出て行けって言われますけど」
「そう……安全ならいいけど。宿代にも困ってるんだ。じゃあ、これ。持ち逃げされた報酬の代わり」
 そう言ってホーリーにくっついて、10ワーダ紙幣を1枚、誰にも見られない様にこっそりと渡す。
 ホーリーがびっくりした様に大きく目を見開く。
「いいんですか?」
「……」
 少し間が開いた。エーリカだって別に裕福ではない。貰えるならこっちが金を貰いたい。
 ホーリーが上目遣いでこちらを見つめてくる。
「無理なら――」
 断りの言葉を出そうとするホーリーを遮り、誰かに聞かれない様に耳元でこっそりと囁く。
「これ渡すためにこんな、人気のない所にに連れてきたんだから貰っておいて。あと、お金を持ってるなんて事、誰にも言っちゃダメだよ。盗られない様にどっかに隠しちゃいなさい」
 臭い。そういやコイツ下水帰りだったな、と思いながら顔を離すと、ホーリーは驚いたように口をパクパクさせて、真っ赤になっていた。
(チョロイ子だなあ)
 そう思いながらホーリーの頭を撫でる。
「そうだね、じゃあ、いつか君が強くなったら、私を守ってちょうだい。これは、その為の契約金みたいな物だよ。そう思って」
 エーリカがそう言うと、ホーリーはエーリカの顔ををじろじろと見つめ始めた。コイツの特徴を覚えて忘れないぞ、という様に。少年の瞳は透き通るように澄んでいて、その目にじぃっと見られるのは何だかこそばゆい。
「じゃあ、私、ちょっと用があるから、これで」
 その視線から逃れる様に別れを告げる。そういえば自分は急ぎの用があるんだった、と思い出す。
「どこかに行くんですか?」
 怪訝そうな表情を浮かべるホーリーに、へへ、と子供の様な笑みを返して、エーリカは言った。
「宝探し」

 食料や薬を買い込み、リュックサックの中に詰め込んで、街から出るホバートラックのバスに乗る。街の外は広大な農業地帯で、作業機械や救貧院の労働者が農作業をしていた。そこから更に外に出ると、森林地帯に出る。植林用の成長が早い木々が鬱蒼と生い茂っていた。森林地帯を抜けると段々と木々の数が少なくなり、殆ど草だけになって、そのさらに先を進むと不毛の大地が広がっていた。
 ここがバスの終点だ。
 ここからはモンスターの領域であり、ここから先に乗り物で行きたければ自分の物を用意するか、街に戻って輸送機に乗るしかない。その輸送機は次の街までノンストップである。
 エーリカには車を用意する金なんか無いし、目的地は次の街との間なので、ここからは徒歩である。
 ここで降りるのは哨戒の仕事を引き受けたハンター達か、そいつら相手に現地価格で物資を売る商人達だ。恐らくエーリカは後者と思われているだろう。
 ここから先は危ない、命を大切にしろみたいなことが書かれている看板の脇を通り抜けて、荒野に足を踏み入れる。
 ホルスターからレーザーガンを抜く。これは道端に倒れていた、生きてるんだか死んでるんだかわからないようなおっさんから剥ぎ取った奴で、カートリッジには30発分のエネルギーが入っていて、出力2,2kwの豆鉄砲みたいな奴だ。
 周囲を見渡しながら、注意深く進む。少なくとも本人は注意深くしているつもりだった。足音をたてないように歩いているつもりだったが、足元の砂礫を踏む、ザリザリという音は殺せていなかった。
 しばらく歩いてもモンスターなんかには出会わない。
(暑い……疲れた……)
 日がジッと照りつけてくる。モンスターとの戦闘なんかがなくとも、何時間も歩くだけでエーリカはヘトヘトだった。
 休憩して食事をとる。妙に味付けの濃い、チーズ味のクラッカーを頬張る。それを水筒に入れた薬臭いジュースで流し込む。歩き続けて足が痛むので、痛み止めを飲んだ。
 モンスターになんて会わなかったからと、注意を怠って先を急いだ。もっともエーリカが多少注意したところでどうにもならないので、早く進める分こっちの方がマシかもしれない。
 ザッザッと歩いていると、遠くに影を見つけた。そいつはこちらを見つけたらしく、段々と寄ってきた。どう見ても人間には見えない。
(ヤバッ)
 慌てて逃げる。岩陰に隠れると、ゴソゴソと足音が聞こえてきた。そいつはこちらを見失ったようで、通り過ぎていく。巨大な手を組み合わせて蜘蛛の様な形にしたらこんな感じになるだろうか。何やらゴソゴソと作業をしている。何をしているのかは知らないが、それに気を取られている内に先へ進もうと思い動こうとした瞬間に足元を何かに掴まれた。見てみると、影に紛れて黒い何かがズルリと這い出ていた。
「……!」
 声も出なかった。急いで走り出す。後ろを見てみると、手の形のモンスターが迫って来ていた。追いつかれる。
 銃を取り出して撃ちこむ。モンスターは怯む様子もなくこちらに近づいてきていた。
「全然効いてない!」
 モンスターが迫る。逃げようと後ろを向くと、何かがものすごい勢いで迫ってきた。速すぎて何かわからなかった。新手のモンスターかと思った。すぐに目の前に迫ってきた。
 終わった。思わず目を瞑る。
 が、迫ってきた「ソイツ」は脇を通り、びゅう、と突風が吹いた。後ろの方で爆音のような音が響く。
「!?」
 後ろを向くと、モンスターが真っ二つになっていた。そのモンスターの目の前に「ソイツ」がいる。
 ミリタリーコートに、目深に被った帽子。手には光り輝く曲がった棒を持っていた。いや違う。棒なんかじゃない。あれは剣だ。ギラリと鋭く輝く刀身の、モンスターを真っ二つに切り裂いた剣だ。
 剣を収めながら「ソイツ」がこちらを向く。
「何でこんな所に……」
 エーリカがそういうと、「ソイツ」は懐に手を入れ、10ワーダ紙幣を1枚取り出した。
「だって、守ってねって言ったじゃないですか」
 何を言っているのだお前は、とでも言いたげな怪訝そうな表情で、ホーリーはそう言った。

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