「荒海に一人はぐれた冬鴎」の批評
おはようございます。
句はお二人から、他の部分の解説も卓鐘様から出ていますので、切れ字「や」を他の考え方で語ります。
荒海といえばこんな有名句があります。
・荒海や佐渡に横とう天の川 / 芭蕉
この「や」がどんな力を持っているか、意味の通じる他の助詞に変えてみます。
●荒海の佐渡に横とう天の川
⇒「荒海」が引っ込んで、「佐渡(島)」が風景のメインに来ました。「荒海」も見えていますが「佐渡(島)の陸地」に天の川がかかっている感じです。そして「荒海の佐渡」と、佐渡を説明していますので、「荒海」は完全に脇役ですね。
●荒海で佐渡に横とう天の川
⇒「荒海」を主張しようとして、なんだかこどもの幼い発言みたいになってしまいました。句の台無し感がすごいです。
●荒海は(が、と、も)佐渡に横とう天の川
⇒無理やり意味をとれないこともないですが、いろいろ台無しです。
●荒海を(に、へ)(佐渡に)横とう天の川
⇒いずれも場所を表現する助詞で、「荒海を(に、へ)横とう天の川」で意味は通じます。「荒海」が天の川の引き立て役になりました。「佐渡」を入れて意味を通じさせるには、語順変更ですかね。「佐渡の荒海を(に、へ)横とう天の川」 五七五の調べは置いておきます。
●荒海や佐渡に横とう天の川
⇒最初に風景として「荒海」がきます。その後は「佐渡に横とう天の川」と「佐渡島に天の川がかかっている」と言っているにかかわらず、受け手の頭の中には「荒海の上に横たわる天の川、向こうには佐渡島」という風景が出ます。季語「天の川」に対して、「荒海」が弱まることなく激しくぶつかってきます。
●荒海よ佐渡に横とう天の川
⇒俳句としては「や」と似ていますが、「荒海」への呼びかけの意味が強く出てきます。とすると何を呼び掛けているのか?という納得が欲しいですが、中七下五に納得できる内容があまり見当たらないため、句がちぐはぐです。
●荒海か佐渡に横とう天の川
⇒「荒海」に疑問の意味が出てきます。これも中七下五と合わずちぐはぐ。
ということで、
芭蕉の句は、主な助詞の中では「や」がいいらしい、ということがわかります。
という風にご自身の句でも助詞を入れ替えて、試してみることをお勧めします。
くりもなか様の選んだ助詞は「に」(「荒海」という場所にいる、あるいは「荒海のせいではぐれたよ」というような句意)でした。間違いではありません。
「を」(「荒海」を場所・風景とするイメージ)「へ」(荒海へ向かっていくイメージ)「より」(荒海から出てきたイメージ)などにも変更可能です。
そしてお二人から出ている「や」はどうでしょう?
ご自身で検討してみてください。
添削のお礼として、イサクさんの俳句の感想を書いてください >>
写真 ↓
https://twitter.com/kurimonaka1/status/1436457683175886848
カモメは数羽から数十羽の群れを作りますが、この時は1羽しか見当たらず荒れた海の上をたくましく飛んでいました。そんな光景を目にして詠んでみました。
イサク様
季重なりの件、アドバイスをありがとうございました。先の句は個人的にはお盆を入れたかったので季重なりは無視しました。鳥を入れると季重なりが出てしまい難しいですが鳥が好きなので・・・。
なおじい様
魔女の宅急便はばっちりでした。私は句にはできませんでしたが「魔女のごと鷺が舞ふなり盆の空」は最高でした。
げばげば様
勝手な年齢の想像でした。どうしてもげばげば90分が頭をよぎります(^^;)
ところで、俳句は思ったよりも難しい。今回もまる2日ほど頭を悩ましました。よろしければご意見などお聞かせください。
追伸:写真&俳句をツイッターにあげている方を少しフォローしてみました。