「鰭酒を呷る戦禍の将士かな」の批評
回答者 腹井壮
添削した俳句: 鰭酒を呷る戦禍の将士かな
いつも御意見・添削を有り難うございます。学生時代は海藻をアルコールに浸していた腹井壮です。テトロドトキシンの研究をされていた先生もいらっしゃいましたが別の研究室でした。
先人の鰭酒の句というのはやはり大人の特別な飲み物やなんとも言えない味わい深さを表現している作品が多いようです。逆に作者が実際に飲んだ結果自分の口に合わなかった。それでは鰭酒を他の人が飲んだ時「苦い酒」と感じるならばどんなシュチュエーションなのかまで発想を飛ばしたのがこの句なのでしょう。当然オリジナリティが高まります。勉強になりますね。
原句から想像したのは戦友である将士達つまり階級に関係なく戦地からの元帰還兵が河豚屋に集まっているシーンです。戦禍という位ですから傷痍軍人になった者やようやく日本に帰ってみれば空襲や原爆で家や家族を失った人もいるという事でしょう。そんな人達が戦争で亡くなった戦友や家族を思い出し鰭酒を味わう事を出来ず一気に飲み干してしまった。
ハオニーさんが意図するところもこんな感じでしたら添削の必要はないのですが自分なら
鰭酒を呷る傷痍の士官かな
として鰭酒を飲み干す人間に生々しく迫りたいと思います。もしかしたらこういうのは俳句と川柳の二刀流の発想なのであまり参考にならないかもしれません。
点数: 1