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この話の流れでハルヒを持ち出されたのは、分かっていてのことなら理解が深いでしょうし、なんとなく思い出されたのなら直感が優れてお出でなのかもしれません。
とりあえずハルヒの冒頭について。キョンがサンタクロースがあーだこーだと面倒くさい物思いをしていて、読んでいてだるくなってきそうなタイミングで、ハルヒの宇宙人その他の自己紹介が出てくるわけですね。
これはハルヒを冒頭でうまく打ち出す段取りになっています。もしいきなりハルヒが宇宙人云々と言い出したら、確かに奇矯ではありますが、引き続き読者の注意を引けるかどうか怪しいように思います。
そこで、冒頭からテンションを下げる方向で話を進めてあるわけですね。読者が飽きてきて、いい加減にしろよと思いそうなタイミングを計って、ハルヒの発言につなげれば、テンション下がっていた分、落差は大きくなるわけです。
御作でも冒頭に主人公とヒロインの曖昧なイメージしか湧かない場面を入れていますが、それをぶち破るような極めて具体的で目を引くシーンをつなげるならば、冒頭の盛り上がらない曖昧さも功を奏することが可能です。
一般人のキョンを一人称主人公にしたのも、読者に感情移入を起こさせるのを容易にしています。キョンは我々と特に変わらないキャラですから、キョンの思考や気持ちを読み取ることは容易です。キョンを通して見るハルヒや宇宙人その他なら、我々も理解できるわけですね。
超常能力を持つキャラの思考や気持ちだと、かなり想像力を働かせないといけません。地の文の語り手にすると、キョンの場合より読解が大変になりそうです。ハルヒは自分の能力を隠されている、ストーリーの核心部分で不完全な情報しか持たないキャラなので、地の文の語り手には向きません。だから地の文の語り手はキョン。
これは、例えばシャーロック・ホームズにおけるワトスンと同じです。ホームズを地の文の語り手にしてしまうと、推理の天才の内心を地の文で書かれてしまうと先が見えるという難点以外に、天才の思考に読者がついていかなくてはいけなくなります。だから、推理面では一般人のワトスンにして、ワトスンを通してホームズを描いて、分かりやすくしてあります。
御作でも主人公はゲーム内での異能は持たず、ゲーム内外で一般人です。ですから、主人公がどう見ているかによって、主人公以外のキャラをうまく理解することが可能です(この点から考えるなら、主人公以外への視点移動は要注意)。
キョンのキャラですが、ご明察されたように「非日常に巻き込まれたい、中心にはいたくないけど横にはいたい」という立ち位置をキープしています。個人的には「非日常を眺めたい、だけど巻き込まれたくない」になっているように思います。退屈を紛らわせたいけど、面倒は嫌ということですね。しかしキョン的には世の中は平和。キョンに冒頭で悩みがあるとすれば退屈。
そこへ無自覚の非日常を持つハルヒと、きちんと自覚のある非日常を持つ宇宙人その他が寄って来るわけです。そういうのが嫌なら避けたり逃げたりするでしょうけど、キョンとしては非日常が見たい。だからキョンの「退屈を紛らわせたい」が発動、彼らに寄って行ってしまう。すると、ハルヒの能力がキョンはもちろん、宇宙人その他にも手に負えないいものだけに、どうしても異常事態に巻き込まれる。
すると、キョンの「面倒は嫌」という観客であることを望む気持ちが発動して、事態を収拾したくなってしまう。もちろん、ハルヒに影響力を及ぼせるのが最終的にはキョンであるという枷もキョンにはありますが、語られていないキョンの内面に「巻き込まれはご免こうむりたい」があるはずなことは、留意すべきだと思います。
結果、キョンは揺れ動くわけです。そこにキョンの悩みが間接的に表現されています。彼は常に「あちらを立てれば、こちらが立たず」の状況であることに悩んで、出口を探しているわけです。
そしてキョンは一人称の語り手です。どの語り手が揺れ動いているわけですね。だから読者も揺れ動く。そのため(仮に同じような展開だなと思っても)興味を持ち続けることができるわけです。似たような事態でも、視点が揺れ動くわけですから、遭遇する事態のいろんな相が見えてくるわけですので。
御作での狙いの一つが主人公の悩みだとすると、その悩みを動かすこともキャラを動かすことになり、そのキャラ(主人公)を通してみる状況や他のキャラも揺れ動くはずです。視点を主人公に置いて、主人公の気持ちをうまく揺らがせれば、日常も新鮮に見せることは可能だと思います(具体策が思いつかないので、可能としか言えません、すみません)。ハルヒを読み込んでお出でなら、使われている手法に注意して分析してみれば、アイデアを得ることができるかもしれませんね。
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スレ主 朝樹 投稿日時: : 0
ブルース・クリーンさん、ご返信ありがとうございます。
ハルヒは昔友達から借りて読んだっきりですね。なんで出てきたんだろう…。しかも「うーんアニメは面白かったのになあ」とか思いながら読んでいた気が。
やっぱり売れる作品だけあって、当時「微妙だな」と思いつつも何かしら印象に残るものがあったんですかね。
あ、そうだ、「非日常に巻き込まれたい」ではなかったですね(汗)眺めたい、が正しかった。
ああ、ハルヒ含め異能者(?)たちに感情移入するのは難しいから、最初から異能者に興味を持ってる一般人を置いて呼び込む…というかハードルを下げた感じなんですかね。
言うなれば自己投影できる主人公? 読者が入りやすい一般人をあえて主人公にする、っていう手法はよく聞くんですけど、個人的にはキョンの「退屈を紛らわせたい」って部分になるほどって思わされました。
最初から非日常に興味を持ってるし、退屈を紛らわせたい意思も出てるから、その後ハルヒに接触しに行く(キョンからはちょっと話しかけただけだった気がするけど)流れがスムーズなんですね。
しかも「面倒事は嫌」っていう気持ちも出てるから、事態を収拾させようとするのにも違和感がないっていう。私も含めですけど、読む気の湧かない作品にはこういうのが足りないのかも…。主人公の行動理由の提示がなおざりというか。ないわけじゃないのに、ちゃんと示されていないというか。「退屈を紛らわせたい」「面倒事は嫌」程度であっても、ちゃんと示してるかどうかが違うというか。
そういう小さなことでも、あるだけで読者を引っ張れる…的な。いや、ないと問題なだけなんだろうけど(汗)
キョンの冒頭のうだうだ語りはあえてだったのか(汗)計算すご。
しかし、
>それをぶち破るような極めて具体的で目を引くシーン
ハルヒの登場で目を引いて落差を作ってる、っていうのはよくわかったんですけど、これが自分のこととなると急にわからなくなるわけでして…(涙)
いや、ただの泣き言なんですけどもorz
キョンが揺れ動いてる…あたりはどうだったかな。読みはしたけど、彼、揺れ動いてましたっけ…。
当時、面倒事は嫌とか気だるそうにしてる主人公なのに、猫の話の事態を収拾させたあととかだったかな。「何が来ようとも、守ってやるさ」みたいなこと言ってて、どっちやねんこいつハッキリしねえなあ、とイラついた記憶が。(よくおぼえてない状態で、申し訳ないですが…)
それを貸してくれた友達に言ったら、キレられた記憶が。
表では「あーダルい」みたいなこと言ってるくせに、彼は芯はかなりしっかりしてたような気がするんですよね。そのへんのギャップが自分はついていけなかったというか、やれやれ系が苦手で感情移入できなかった…。
個人的な感想だけ言っててすみません。しかしハルヒはもう一度読んでみたいと思います。好みか好みでないかはともかく、かなり計算されて作られてるんだろうなと納得がいきました。
自分に応用できるかはわからないですが(汗)
シャーロック・ホームズで思ったんですけど、いわゆる俺TUEE系は天才を主人公にしてウケてるんですよね。これでいうとワトスン(ワトソン、じゃないのか…!調べてしまった)じゃなくてホームズが主人公。
…って思ったんですけど、俺TUEE系はまたジャンルが違うのか。いろいろ考えてたんですけど、わかりやすさや感情移入においてはまた違った工夫がされてるのかなと。
俺TUEE系はちょっと関係なさそうでした。というか話がすごいあっちこっち飛んでてすみません(汗)
改めまして、ご返信ありがとうございました。