僕がどんどん増えていく(第2稿、R-15)の批評の返信
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僕がどんどん増えていく(第2稿、R-15)の批評(元記事)
これ、かなりイイカゲンナ読みです。なにしろ冒頭で読むの止めてしまったんで。
参考にはならないと思うんだけど。
なんでそうなったのかを書いておきます。
最初の最初の、海のシーン、「何で」という謎かけや、作中に流れる水に濡れた時の冷たさ、闇の不安感、そういうののムードは良いと思います。
そして増殖という、視点が加わっていって、これならすっと読めるかなって思った。
ただ、その増殖の書き方が、余りに説明的で、そこでうん、閉じてしまう。
よく説明文だけで小説を描かないで、っていわれますが。
如何にそういう設定を、描写や物語で描いていくかっていうのが、一つのもがきだと思うんですけど。
本作がとった解決策は、地の文で説明文を描いちゃいけないなら、その説明を人物たちの会話文で済まそう、というのだと思います。
そういう意図まで見えてしまうような、あからさまな感じがして、会話がすでに生きた人の会話ではないし、ただ学校で学術のディベートをしているような、そういう固いものです。
警察だからしょうがない、お堅いというのはあると思うんですけど、その場合は一般人の主人公がしっかり驚いたり感情を入れたり、あるいはもう一人くらい一般人を紛れ込ませてそのやり取りをするとか。そうすると堅いものがギャップで波が立って生きると思うのですが。それもなんとなく上手く行ってない。
だから説明で済ます。
それは別に説明文じゃなくて、会話文で説明するってのも。
それは見た目はマシになるが、効果としてはあまり機能してないと思う。
たとえば、増殖したもう一人の自分と、警察の会話無しで、主人公が驚いて、何か不安になって、その人に聞いて、その人がどうこたえるか分からないけど。それを信じられないと言い。逃げ出そうとする。追いかけられる。うーん。
そういう風に、会話文の説明じゃなくて、描写や会話を含めた描写で魅せれるはずなんです。
そこがあーだったんで、期待が一気にしぼみ、読むのが止まってしまいました。
ただ増殖という話は面白いと思うんです。ネタバレになってしまうんですが、リングの続編の映画「らせん」では、ほんとうに増殖が絶望的に描かれていて、その先どうなってしまうのかという不安が漂っていて。
だから、本作で描かれる話の骨筋はつまらないわけがないと思うんです。
設定にはパワーがあると思うんです。
ただ、それは映画で言えば、どんないい映画でも、ネタバレ解説文を延々と読んでも楽しくないように、そうなってしまうかなって、これは自分の身勝手な予想なんですが、そう思わせてしまったのは、うーん。
面白い設定を思いついた後は、それをどうやって効果的なシチュエーションや状況、出来事、アクションで、描写するかというのが、自分の好きな文章なので。たぶん、ヘミングウェイの短編のような。
そういう意味で好みから逸れました、というのが素直な思いです。
もちろん、設定語りが好きな人っていると思うし、その人は楽しめれると思うんです。ただそこに自分はいないだけで。
ただ、これどちらかというとホラーかなって思って読んだんで、ホラーだと怖がらせるためにある色んなシチュエーションとかが説明で済まされていると思ったんですけど、ミステリの方向に行くなら理論的にこれはこうだとかいちいち設定や事件を解説しながら進むのもアリだと思いますよ。
うーん、ホラーなミステリを目指したんなら、なんのアドバイスにもなりません。
僕がどんどん増えていく(第2稿、R-15)の批評の返信
スレ主 エア 投稿日時: : 0
コメントありがとうございました。
読みづらくて申し訳なかったです。
以下に改稿を載せましたので、まだ不十分なところがありましたら、そちらで添削してください。
あと、よろしければ初稿と2稿の変更箇所だけでも見てほしいです。
改稿
「今朝、住民から通報がありまして、草むらで人体の断片が発見されました。調べたところ、大腿部の一部である事が分かりました」
「大腿部……太ももですか」
「そうです。最初は、DNA鑑定をして被害者を特定する予定だったのですが、その時に奇妙な事が起きたのですよ」
「奇妙な事?」
「その大腿部が再生したのです」
「再生?!」
佐渡さんの口から出た言葉に、僕は耳を疑った。
「さ、再生って……それはどういう事なのですか?!」
奇想天外の事態に慌てながらも尋ねる僕に対して、佐渡さんは淡々とした口調のまま説明を続ける。
「具体的に言うと、細胞が増えて肉の厚みが増していったと言った方が良いでしょうか? その肉片が目の前でどんどん再生していって、身体が出来上がっていきました」
「身体が……出来上がっていった?」
「まぁ、こうして実物を見ない限り、こんな話を信じろと言われても無理な話ですよね。それが一定の大きさまで成長すると、胸板が出来たり手足が生えて来たりして、顔も出来上がっていきました」
「顔まで?!」
顔が出来上がるとは、どういう事なのかが非常に気になった。目や口が出来たのか。
「あまりの不気味さに失神して倒れた者もいましたが、私が試しに『あなたの名前は、何ですか?』と尋ねたら、あなたと同じ名前を名乗ったのです」
「僕の名前を……ですか?」
あんな状況で、よく冷静に尋ねられたものだ。普通は現場が騒然となってもおかしくないのだが。
「そうです。最初は、私も人の身体が急速に再生していく様子にとても驚きましたが、彼が再生を終えた後にすぐさま事情聴取を行いました。その時、彼が『僕以外にも同じ人間がいるかもしれないからマスコミには一切知らせず、見つけたらすぐさま警察署まで連れて来る様、全国の警察官に伝えてほしい』と頼んできたのです」
なるほど、そんな背景があったのか。正しい判断だな。こんな奇怪な現象が起きた事が世間に知られたら、僕自身も無事では済まないだろう。そうなると、彼には感謝しないとな。