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柊木なおさんのランク: 初段 合計点: 0

柊木なおさんの返信一覧

元記事:明治二刀剣客蒸気奇譚《微笑う人斬りと電脳の少女》の批評

柊木なお様、コメントありがとうございます。

非常に良いコメントをいただけたと、嬉しく思っております。柊木様は謙遜されていますが、問題提起、その内容と改善案までがしっかりとまとめられており、非常に見やすかったです。

まず、キャラクターおよび構成に関してですが、要約すると『教科書的・テンプレートの域を出ていない』という事になるかと思います。
これは非常に耳の痛いお話ですね。
やはりデビューを目指す以上、何がしかの『ひねり』が必要だとは思っていたので、これに関しては真摯に受け止め、何か挟み込めないか考えてみます。

そして何よりも、文章・文体について。
実はコレが十二田の一番の悩みどころでして……(汗)
評価シートにも『地の文が最低限の情報しか書かれておらず、ト書きのような体裁になっている点も少々気になりす』って書かれてたんですよね。
しかし自分では良いと思って書いていたために、どこをどう直したものかと途方に暮れておりまして……。
こうして具体的な改善例を書いていただけるのは、とてもありがたいです。
より自然な文体になるように、柊木様の例を見ながら改稿したいと思います。

本当にありがとうございました。

PS.今作の改稿とは別に、六月のMFに応募予定の新作も執筆中です。今月中には、また投稿室にあげようと思いますので、よろしければまたのコメントをお待ちしております。

上記の回答(明治二刀剣客蒸気奇譚《微笑う人斬りと電脳の少女》の批評の返信)

投稿者 柊木なお : 0 投稿日時:

執筆お疲れ様です。
6月にも応募予定なのですね。お忙しい中、ご丁寧に返信いただき恐縮です。
先日の自分のコメントを読み返してみて、それっぽいことを書いているだけで具体性に乏しいような感じがしたので、少しだけ補足させていただきたいと思います。
文章・文体について。他人様にあれこれ言えるような技量ではないのですが、作中の文章をお借りして、私なりに検討させていただきました。参考になれば良いのですが。
(今回は長い前置きはなしにしようと思いますが、以下はあくまで私個人の見解・好みに基づくコメントであることは、再度付言いたします)

「地の文が最低限の情報しか書かれておらず、ト書きのような体裁になっている点も少々気になります」

評者ではないので、正確な意図は分かりませんが、私は単に「小説っぽくない」と解釈しました。砕いて言うなら、「物語を聞いているというより、報告書を読んでいるような気になる」でしょうか。
ですから、決して文章に悪いところがあるわけではなく、TPOに合っていないと受け取られてしまったのかもしれません(「これのどこが悪いんだ?」と戸惑う気持ちも、わかる気がします。別の分野ではありますが、私にも覚えがあります)。
そうだとすると、先日私から指摘させていただいた点と、重なるところがあるかもしれません。
提案するとすれば、「報告書として失格な文章を意識する」です。
一般的に、ビジネスないしアカデミックな文章のルールとして言われているのは、

 1 きちんとした文章で書く
 2 客観的な視点で書く
 3 扇情的な言葉を使わない
 4 余計なことは書かない

こんな感じでしょうか。これをひっくり返して、

 1 あえて不完全な文章にする
 2 主観的な視点で書く
 3 感覚的な表現を散りばめる
 4 まわり道をする

いろいろなやり方があると思いますが、簡単に具体例を上げます。

> 善弥は悲鳴の聞こえた方へ足を進めた。
> 下町の入り組んだ路地裏を少し進むと、異様な光景を善弥は見た。
 
とりあえず、上の3つを意識してみます。

> 悲鳴の聞こえた方へ。
> 迷路のような路地裏を抜け——目に飛び込んでくる、異様な光景。

ひとまず極端な例にしてみました。ビジネスシーンであれば、巧拙以前の問題でしょう。ただ、ルール無用の小説の世界だからこそ、こういうのもありかなと思っています。
1について、「悲鳴の聞こえた方へ」は日本語の文章として不完全ですが、「だれ」が「なに」をしたのかは前後の文脈で伝わると思います。
また、主語を欠落させたことで主観的な視点っぽくなっていますが、毎回「〜は〜した」と書かれるよりも、場面に入り込める感じがして個人的には好きです(あくまで個人的には、です)。

ただ、ここは物語の冒頭なので、場面をひきでとらえて雰囲気を出すために、客観的な視点から書く選択肢も捨てがたいです。その場合は、

> (悲鳴に)引き寄せられるように、男は歩みを進めた。
> 無秩序な路地裏の迷路を抜け——異様な光景を目の当たりにする。

くらいでしょうか。語りのテンポとしても、こちらのほうが適切だと思います。

むしろ作中の場面であれば、4のまわり道をすることを、真っ先に考えるべきかもしれません。ここだけ具体例を上げないと前回の二の舞になってしまうので、恥を忍んで私自身の文体で書いてみます。

> どこかで悲鳴があがる。
> 男はふと足を止め——再び歩き出す。
> 暗い路地裏を淡々と進んでいく。
> 視界の隅を流れる、猥雑な落書き。多くは文章としての体すらなしていないが、中には情熱的な脅し文句と思しきものもある。誰も見ていないところでしか粋がれない、臆病者の痕跡だ。
> さらに迷路の奥深くへ。
> 下町の喧騒も彼方に遠ざかったころ、おかしな光景に遭遇する。

盛りすぎた気がしますが、あくまで分かりやすい参考例ということで、ご容赦願います(あと明らかに本作の作風にも、善弥のキャラクターにもあっていませんが、その点も申し訳ありません)。
一番長い4段落目は、場面を進めているわけでもなければ、重要な情報を伝えているわけでもありません。完全に雰囲気だけの文章です。が、むしろこの遊びの部分こそ、作家の個性が最も現れるところではないでしょうか。そこに費やす労力を惜しむと、それこそ誰が書いても同じというような、味気のない文体になってしまう気がします(誤解のないように付け加えておくと、何でもかんでも書けばいいとは思っていません。上記の例は、「場面の進みを遅らせて焦らすこと」「一波乱ありそうな予感を伝えること」を意図したものですが、上手くいっているかどうかはわかりません)。
もちろん、まわり道がどの程度まで許されるかは場面次第ですし、それ以上にジャンル(読者層)にもよると思います。新人賞に応募するのであれば、研究が必要なところでしょう。
一般的な話をするなら、たとえば「味方のピンチに駆けつける」というような緊迫した場面であれば、最初の例文に近いほうが良いのではないでしょうか。ただ、「謎に満ちた人物の初登場」のような思わせぶりな場面であれば、二番目、三番目のほうがまだふさわしく、一番目の書き方は場違いもいいところな気がします。そのあたりは感覚的な話になるので、思いどおりの場面を再現できるまで、自分で納得がいくまで、何度でも書き直すしかないのかと思います。

少し長くなりましたが、前回指摘させていただいた「動きのある描写のなかに伝えたい情報を織り込む」というのは、3の感覚的な表現を散りばめる方法のひとつになるのかと思います。いわゆる「語るな、見せろ」というやつですが、「伝えたい情報を動的に表現する」と書いたほうがわかりやすかったかもしれません。たとえば「下町」という単語を持ち出すのであれば、「下町(の喧騒)が彼方に遠ざかる」というふうに、それ自体に動きを与えてやるイメージです。文字よりも絵、絵よりも映像として頭に浮かぶほうが、印象に残ると思います。
より手軽で効果のありそうな方法は、比喩を使うことかもしれません。個人的には直喩(迷路のような路地裏)よりも、隠喩(路地裏の迷路)のほうがストレートに響く感じがして好きです。
あとは単純に、より刺激的な言葉選びではないでしょうか。「入り組んだ」ではなく「無秩序な」、「見る」ではなく「目に飛び込んでくる」「目の当たりにする」といった具合です。私の場合は手っ取り早く、「置き換えたい表現 + 類語」で検索しています。ただしどんな手法もそうですが、やりすぎるとうっとうしくなるので、そこは匙加減かと思います(特に「言う」は登場頻度が高いので、他の言葉を使うのはやめたほうが良いと思います)。

以上、重ねてにはなりますが、あくまで個人的な見解・好みに基づいたコメントになります。本来ならば、ストーリー・構成の部分に関しても突っ込んだ意見を書き直したかったのですが、今回は時間が足りなかったので割愛いたします。もし使えそうなところがあれば、拾っていただければ幸いです。
それでは。

小説投稿先URL(別タブが開きます)
https://ranove.sakura.ne.jp/1story_system/public_story/03046.shtml

目的:プロになりたい!

要望 : たのもー!(ボコボコにしてください) スレッド: 明治二刀剣客蒸気奇譚《微笑う人斬りと電脳の少女》

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元記事:明治二刀剣客蒸気奇譚《微笑う人斬りと電脳の少女》

ラ研の長編投稿室に上げてたんですが、中々読んでもらえないのでこちらに批評依頼をさせていただきます。
先日のGA文庫大賞三次選考で落選してしまいまして、この作品でリベンジをしたいと考えております。
公募に送ることを前提に、忌憚のない意見を募集します。

上記の回答(明治二刀剣客蒸気奇譚《微笑う人斬りと電脳の少女》の批評)

投稿者 柊木なお : 0 投稿日時:

執筆お疲れ様です。

第一章を読ませていただきました。
(自分の執筆もあるので、最後まで読む時間が取れず、申し訳ありません)

冒頭を読んだだけでも私より上手いのは分かるので恐縮なのですが、公募に送る予定とのことで少しでもお力になれればと思い、率直な意見を述べさせていただきます。

(以下、「〜だと個人的には思います」「〜ではないでしょうか」と毎回書くのもクドイので、基本的に断定口調で書かせていただきますが、あくまで私個人の見解・好みに基づくコメントになります。不快に思われましたら、申し訳ありません)

キャラクターストーリー)について

 主人公、ヒロインともキャラが立っていて良かったです。が、テンプレート感は正直否めないです。それが悪いとは言わないですし、少なくとも自分は、善弥もリゼも好きになりました。
 問題は、ふたりのキャラクターを把握した時点で、先の展開が、もっと言えば物語の結末まで見えてしまったことです。先に本文を読んでから、あらすじ(プロット)を読んだのですが、正直、「まあそんな感じだろうな」と思いました。
「闘争にしか生きがいを感じられない主人公が、困難に巻き込まれているヒロインを助けることを通じて、人生の本当の意味を見出していく」
 このような筋書きのストーリー作品は世の中に溢れています。失礼を承知で言えば、本作より技術的に優れた作品も、たくさんあると思います。それらの作品と真っ向から勝負してやる!という考えもありだと思いますが(私は趣味で書いているので、どちらかというとそっちです)、十二田様の場合はプロを目指されているとのことですので、デビューの可能性を狭めてしまうと思います。
 私が考える解決はふたつで、ひとつは物語自体を予想外の方向に捻ってしまうこと。上の例で言えば、主人公が途中で死んでしまって、ヒロインが主人公の座を引き継ぐとか(大して良い例ではありませんが)。
 もうひとつは、キャラクターを小出しにすること。
 本作の冒頭でなぜ先が読めてしまうかと言えば、善弥やリゼと似たようなキャラクターが出てくる作品がすぐに頭に思い浮かんで、先の展開や結末を予想してしまうからです。十二田様の場合は、伝えようと思ったことをきちんと伝えられる技量を持っていらっしゃるので、なおさらです。
 第一章のラスト、

> まるで喜怒哀楽の楽しか持ち合わせていないかのように。
> 彼の言っていることは本当なのだろう。
> 善弥はきっと、人を斬り殺すその時さえも笑みを浮かべたままだろう。
> だが、窮地に陥ったリゼを助けたのは、間違いなく善弥だ。
> 「…………そうね」
> リゼは苦悩の末に、自分を助けてくれた善弥を信じることにした。
> 「お言葉に甘えて、負い目には思わない。巻き込んですまないとも思わない」
> リゼは手を差し出した。善弥は首を傾げる。
> 「? 何ですか?」
> 「貴方は知らない? 握手って言って、西洋では友好の証に互いの手を握るの」
> 「西洋式の挨拶ですか」
> 慣れない様子で善弥はリゼの手を取った。
> リゼは善弥の手を力強く握り返す。
> 「改めて言うわ。私はリーゼリット・アークライト。私の目的を果たすために、あなたの力を貸して」
> 「士族、鷹山善弥。あなたが闘争の中にある限り、死力を尽くしましょう」

 このタイミングで主人公の本質を明かすのは早すぎると思います。とくに公募の審査員ともなれば、プロアマ問わず無数の作品に接しているでしょうから、この時点で「あーはいはい。そういう話ね」と思われてしまう気がします(あくまで想像ですが)。
 もちろん、キャラクターの目的や動機が見えないまま進めると、読者が混乱して集中できないというのも、わかります。ですからそこは、具体的な小目標を提示するなり、本質とは異なる仮の動機をつくるなり、なんらかの工夫が必要なところなのかと思います。

■構成について
 
 最後まで読んだわけではないので、第一章を単独で見たコメントになります。
 物語の導入としては完璧だと思いました。起承転結もしっかりしていて、この作者なら納得のいく結末まで導いてくれるだろうなという信頼が置けます。
 ただ、裏を返すと、きっちりしすぎている感も否めません。教科書的というか。なにか驚くような展開や、物語にのめり込ませる要素があったかと問われると、自分としては正直ありませんでした。
 前述のとおり、主人公たちのキャラは立っていますし、世界観の作り込みも興味深いです。なので、一読者として、続きを読みたいという気持ちはあります。作者の実力は十分に伝わるので、最後まで読めば、それなりに満足のゆく読後感が得られるだろうという期待があるからです。
 ただそれとは別に、場面の構成そのものに独自性があれば、第一章だけで「面白いっ! 早く続きを読みたい!」という気持ちにさせることもできると思います。
 思わせぶりな伏線、キャラクターの意外な反応、読者にだけ明かされる秘密(第一章のラストのような)、 etc. お気に入りの技は作者によって大いに異なると思います。ですから、そうした要素を注意深く配置することをより意識すれば、自ずと場面の展開にも個性が出て、教科書的な印象もなくなると思います。

■文章について

 小説が文字だけの媒体である以上、文体は作家の個性そのものだと考えています。ですから、上記二項目はもちろん、この項目に関してはそれ以上に、私自身の独断と偏見に基づくコメントになりますことを、まずはあらかじめ申し添えます。
 こと小説の書き方に正解などないことは、重々承知しております。ですので、決して元の文章を添削しようなどという趣旨ではありません。あくまで選択肢のひとつとして、検討に値すると感じたポイントを指摘させていただきます。そして重ねてにはなりますが、もし不快に思われましたら、申し訳ありません。

 前置きが長くなりました。

 全体的に読みやすい文章で良かったと思います。
 ただ、私がひとつ気になったのは、文体が整いすぎていて(悪く言うと説明的で)、場面のスピード感や没入感が損なわれているようにも見受けられたことです。
 たとえば冒頭、

> 若者らしく頭は散切り。着物袴にワイシャツという、書生風の恰好をしている。だが、腰には大小二本の刀を差している。
> 顔立ちは細めた目が猫のようで、柔和な印象を与える。
> どうにもちぐはぐな男だった。

 「主人公の外見や印象を伝える」ことだけが目的になっていて、それ以外に機能していません。小説を読む以上は、読者が期待しているのは「説明」ではなく「場面」だと思うのです。
 作者が考えた設定を教えてもらいたいわけではなく、具体的に何が起きていて、登場人物が何を考えてるのかを知りたいということです。陳腐な表現にはなりますが、「主人公と共に物語を体験したい」と言い換えても良いかもしれません。

 というわけで、上記のような場面での常套手段は、動きのある描写の中に、伝えたい情報を織り込んでしまうことだと思います。
「着物袴にワイシャツという格好をしている」ではなく、
「路地裏を吹き抜ける風に袴の裾が揺れる」
「腰には大小二本の刀を差している」ではなく、
「歩を進める度に脇差が音を立てる」
といった具合です。

 他の描写についても同様です。

> 筋者の男たちは、いよいよもって寒気を感じた。
> 善弥は心底不思議そうな顔をして、微笑んでいる。
> 穏やかな、聞き分けのない幼子に話しかけるような、そんな笑顔で。
> 不気味だった。
> あまりにも無垢な笑みと、何の迷いも逡巡もなく、白刃を振るって人の腕を切り落とせる冷酷さ。
> それらが渾然一体となっている鷹山善弥という存在に、男たちは恐怖した。
> 「に、逃げろ!」
> 「うあああぁぁ!」
> 「ば、バケモンだ!」
> 蜘蛛の子を散らすように、男たちは逃げて行った。 

 やはり読者に場面を見せているというよりは、何が起きているのかを作者が説明していると感じます。
 たとえば、この一文。
「それらが渾然一体となっている鷹山善弥という存在に、男たちは恐怖した」
 私なら、
「化け物を見る目」
 の一言で済ませます。それだけで男たちが感じている恐怖は十分に伝わるし、作者が手取り足取り説明するよりも、場面の臨場感を損なわないと考えるからです。

■所感

 繰り返しにはなりますが、実力のある作者様だと感じましたし、技術的な面を抜きにしても良い作品だと思います。プロを目指しているとのことで、微力ながらお力になれればと思い、筆を取らせていただいた次第です。自分を棚に上げての無礼をお許しください。いろいろ的外れな指摘も多いと思いますが(全部がそうではないことを祈ります)、少しでも参考になるものがあったなら幸いです。
 良い結果をお祈りしております。
 それでは。

良かった要素

ストーリー キャラクター 設定 文章 オリジナリティ

小説投稿先URL(別タブが開きます)
https://ranove.sakura.ne.jp/1story_system/public_story/03046.shtml

目的:プロになりたい!

要望 : たのもー!(ボコボコにしてください) スレッド: 明治二刀剣客蒸気奇譚《微笑う人斬りと電脳の少女》

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