小説のタイトル・プロローグ改善相談所『ノベル道場』

平凡サラリーマンの絶対帰還行動録〜異世界生活の始まりはサバイバルから〜

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スレ主 JIRO 投稿日時:

批評・感想相談の方でもお世話になっております。JIROと申します。
こちらはタイトル&プロローグ特化のようなので、こちらにも投稿させて頂きました。

本作は第一章は遭難(サバイバル)編から始まるのですが、第二章以降は街に入り、異世界での交流&元の世界への帰還を目指して行動することがメインとなります。

序盤以降サバイバルメインではなくなるため、今のあらすじ&タイトルではサバイバルメインの物語に見えてしまうかと不安です(一応"始まりは~"とタイトルにつけてますが)

その他、気になった箇所や改善点ありましたら、教えて頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

↓以下、あらすじです↓

社畜歴8年目の俺は残業帰りに階段から足を踏み外し、気付いたら異世界に転移していた。

チート能力? ありません!
道? 分かりません!
言葉? 通じません!

どうしろって言うんだよ……
夢なら覚めてくれ……
俺には家に帰りたい理由があるんだ。

「サバイバル……するしかないよな?」

これは平凡なサラリーマン、渡 永久が異世界からの帰還を目指す行動録である。

プロローグ

 ―― 何だ……?
 ―― 何だこれは?
 ―― 何が起こっているんだ?

 今の自分が置かれている状況が理解出来ない。

 もし俺と同じ状況に陥り、すぐさま現状を理解出来るとしたら俺はその人を心から尊敬する。

 何故なら俺の現状を端的に言い表すと "黒い熊らしきものと森で見つめ合っている" としか表現出来ないからだ。

 その生き物は俺の知る熊よりも倍近く大きい上、アメジストのような角が生えている。そんな品種の熊は生まれてこの方見たことも聞いたこともない。

 もし俺が登山やキャンプ、アウトドアの真っ最中だったならまだこの事態に納得も出来ただろう。

 いや、本当に納得出来るのか?と自身に問いかけてしまうが、まぁ今の状況よりは納得出来たはずだ。

 ―― 何故なら俺はついさっきまで会社にいたのだから。

 うちの会社がとてつもない山奥や森の中にあるわけではない。都心のオフィス街にある従業員数200名程度の中小企業だ。

 パッケージシステムを扱うIT企業で、高卒入社8年目の俺はフレッシュな新人でも経験豊富なベテランでもない、仕事に慣れて若さを失いつつある中堅といったところだ。

 俺の記憶が正しければ、熊らしきものに襲われる直前の俺は仕事を終え「終電に乗り遅れるかもしれない」と焦っていた。

 エレベーターを待っていたら間に合わないと判断し、階段を勢い良く駆け下りていたその時、残業三昧で慢性的に寝不足な俺のボロボロボディは、途中で勢いよく階段を踏み外した。

 嫌な浮遊感に体が包まれ、物凄い衝撃に思わず目を瞑った。

 そして、体の痛みに耐えながら恐る恐る目を開けたところ……今の状況に置かれていたというわけだ。

 ―― 意味が分からない。どう考えても意味が分からない。
 ―― 何故俺は今、緑に囲まれブラックなベアーと見つめ合っているんだ?

 俺の脳内は真っ白で、体は驚くほど小刻みに震えていた。尿意があったならば漏らしていた自信がある。

 自慢ではないが俺は平凡な人間だ。平均的な体躯に平均的な顔面、平均的な頭脳に平均的な身体能力、評価もいつだって中の中。

 熊に合えば怖いし、昔話題になったロシアの老人のような熊を倒せる技能なんて持ち合わせていない。

 自分でも嫌になるくらい、平凡なサラリーマンだ。

 ただの熊に出会ったとしても恐ろしいのに、熊よりも倍近く大きい上に角まで生えている。

 唯一の救いと言えば、先ほどから熊らしきものは、腰が抜けて一歩も動けない俺を見つめるだけで何もしてこないという点だ。

……

 どれほどその状態で時間が経ったのだろう。

 永遠にも思えたにらめっこの末、俺は山で熊に遭遇した時の対処法を、必死に記憶から引っ張り出そうとしていた。

 ―― 思い出せ、唸れ俺の海馬!

「そうだ……確か熊を興奮させないように、ゆっくり後ろに下がるんだ……」

 自分に言い聞かせるよう小声で呟く。
 死んだふりは良くないだとか、ニュースで専門家が言っていた気がする。

 熊と同じ対処法で良いのかどうかは分からない。
 しかし見た目が熊に似ているのだから、きっと対処法も似ているはずだ。

 はぁはぁと荒い息を吐きながら、必死に身体を動かす。

「ゆっくり、ゆっくりだ……」

 走って逃げだしたいという気持ちを抑え込み、スローモーションと言っても差し支えないほど時間をかけて後ろに下がる。

 正直体に力が入らず、その程度の速度でしか動けなかったという部分も大きい。

 少しずつ離れていく俺に興味を失ったのか、熊らしきものもそっぽを向き、俺と反対方向に歩きだしてくれた。

 熊らしきものの姿が完全に見えなくなり、俺はその場にへたり込む。

 目からは涙が絶え間なく溢れ、鼻水も止まらない。
 ここ数年、こんなに泣いたことはないのではないかというくらい泣いた。情けないほど泣いた。

 嗚咽を漏らしながら、俺は震える体を抱きしめ、泣き続けた。

 ……

 時間にして30分近くたっただろうか、涙でストレスも流れ出たのか、幾分頭が冴えてきた。

 冷静になってくると自分が何故森の中にいるのか、夜だったはずなのに何故外が明るいのか、そもそもここはどこなのか、様々な疑問が頭に浮かんでくる。

「夢でも……見てんのかな……?」

 階段から落ちた時に気を失い夢でも見てるのかと思ったが、夢にしてはリアルすぎる。頬をつねるまでもなく、全身が痛い。

 更に俺の格好は今まさに帰宅しようとしてましたと言わんばかりのスーツにコート、手には通勤鞄というスタイルだ。
 もしこれが夢なら流石にもうちょっと夢のある格好をしたい。夢だけに。

 平凡なサラリーマンである俺が、平凡から少し逸脱している部分が何処かと言えば、人より少しばかりアニメや漫画、二次元や異世界が大好きだと言う点くらいだ。
 そんな俺の少しだけ外れた常識で、現状を判断しようと試みる。

 会社にいたはずが突然森の中にいる。
 角の生えた熊らしきものが生息している。
 夜だったはずなのに何故か外が明るい。

 ―― ここから導き出される結論は一つだ。

「まさか……異世界転移ってやつ……?」

 思わずははは、と笑いながら呟く。
 まさか、いや、だが、しかし……。

 周りを見渡すと見たこともない大きな木々や、極彩色な実、鮮やかな花々が目に入る。そんなに植物に詳しい方というわけではないが、どれも見たことがない色や形をしている。

 いわゆる隠れオタクだった俺は、異世界転移小説もよく嗜なんでいた。
 物語の中の異世界は夢にあふれ、いつだって俺の心をハラハラドキ、そしてワクワクさせてくれた。

 ―― しかし現実は残酷だ。

 異世界に来たのかもしれないが、いきなり森の中だ。目の前に熊らしきもの……いや、ここはファンタジーよろしく魔物と呼ぼう。

 目の前に魔物だ。

 普通ここで女騎士が助けに来てくれたり、自分の中の秘めたる力が目覚めたりするものじゃないのか?

 実際には腰を抜かし、たまたま魔物が興味を失ってくれたから生き延びれたものの、転移直後5分で死んでいたかもしれない。

「どうしろって言うんだよ……」

 涙声で呟き、うずくまる。

 俺、渡 永久の異世界生活1日目は、絶望と共に幕を開けた。

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