「垂直に仰ぐ一点ゴム風船」の批評
添削した俳句: 垂直に仰ぐ一点ゴム風船
こんにちは。
まず、俳句には「一物」と「二物」という分類はありますが、句の解釈の際の後付けみたいなもので、一物に近い二物、取り合わせに近い一物、みたいな句もあります。という点を大前提に
◆この句は人間(作者?)が風船を仰いでいますよね?風船が空を仰いでいるわけではないですよね?
ならば、「吾」等の文字が省略されているだけで「仰ぐ」と人間が描写されていますので、【一物】とは言い難いです。
(どなたかが「掲句は一物である」と断定するなら、ケンカしてまでそれを否定するつもりはないです)
◆で、作者が目指す最終形によりますが、
①一物にこだわらず「仰いでいるなあ」という感慨が詠みたければ「仰ぐ」感慨として作句
②風船の一物であることが絶対条件なら、他のモノの描写を入れないようにする
③どちらもこだわらないなら、どうとでも推敲可能
・風船の点となりけり仰ぎけり
(仰いでいる人物(作者?)が登場しますので一物とは言えない)
・風船の飛んで行きけり消えにけり
(風船以外何も登場しない「一物」句)
・垂直な空に風船ありにけり
(「空」を風景とした一物寄りですが、「空」との二物という解釈も可能)
◆「句の感慨(感動ポイント)」を考えたとき、「季語以外の要素」はやはり重要ですし、「作者が狙っていないのに入り込んでいる要素」はノイズになりがちです。これは一物二物関係なく同様だと思います。
掲句では動詞「仰ぐ」による「人間の存在」がノイズの可能性があります。作者のこだわりは「垂直に仰ぐ」にありそうなので、そもそも一物として作るのは難しい句材かもしれませんね。
最初に書いた通り、一物と二物に境界にはあいまいなところがあります。
ただ、句を見た際に「一物で解釈する」か「二物のとりあわせで解釈するか」というのは読み手にとって大切な点です。そこを作者側がきちんと読者に届けることができれば、句の解像度はより上がるかもしれませんね。
点数: 1
