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星降る夜の落星

スレ主 冬空星屑 投稿日時:

 冬空星屑です。
 主になろうとカクヨムをウロウロ。
 ハイファンタジー書いてます。

 竜神に守護された『星竜神国ステラウィタス』には、世界中に蔓延り人間を襲う魔物が一切近づかない。竜を除いては。
 竜神に従い人間と共存をしていた竜の中には稀に、理性を無くし人間に害をもたらす〈害竜〉が現れ、特に酷い竜による災害を〈竜災〉と呼ぶ。
 人間では決して叶わない身体能力と、人間に勝るとも劣らない知性を持つ竜に対抗するため、ステラウィタスでは竜に乗り空を駆ける竜騎士団が創設された。
 〈害竜〉に母を喰い殺され、〈竜災〉で父を亡くした少年ハオスは、〈竜災〉で父と同じように死にかけたところ、とある竜に救われ、その竜に一目惚れした。
 だが、〈竜災〉が起きた場所にいたためその竜は騎士団に討伐されてしまう。

 数年後、害竜と竜騎士を恨みながらも、日銭を稼ぐために冒険者になり害竜駆除で生計を立てていたハオス。あるとき、一目惚れした竜を倒したとされる竜騎士の少女と出会った。
 

 あらすじはこんな感じです。
 
 
 力を入れたのは、人間に対する〈七王竜〉という存在の理不尽さ。圧倒的な強さ。
主人公が〈害竜〉を嫌い、〈害竜〉を憎むわけ。
それでも命を救ってもらった竜に一目惚れしたというギャップ(ここはプロローグでは書いていません)

狙いは、なぜハオスが生き残ったのかという疑問を抱いてもらうという点。

改善に尽力していただければ幸いです。
 

プロローグ

序章 第一話

 遠くで轟く音を気にもせず、ハオスは淡々と口を動かしていた。固い黒パンを塩辛いスープに浸し、黙々と。
 昨夜から続く暴風は、雨を降らさないものの、古くなった家を軋ませる。
 家の玄関に近づく気配に気付き、ハオスはゆっくりと立ちあがり、歩き出した。

「お帰り、父さん」
「ああ。ただいま」

 村の門衛の仕事から帰ってきた父に軽く挨拶をした。

「俺、もう寝るから」
「ああ。すまんな、家に居てやれなくて。今度どこか行くか?」
「いいよ、別に。最近は害竜が多いだろ?
 家でゆっくりしてて」
「すまんな」

 ハオスの父は、不甲斐ない自分を呪うように一言、謝った。
 日は沈み、閑散とした村に、遠くで雷の落ちる音が響きわたる。
 最近、急激に増え始めた〈害竜〉が暴れれば、天候くらい悪くなるのは当然だ。
 あまりにも〈害竜〉が多いのか、いつも討伐にやってくる竜騎士たちが、未だ来ていない。

(まぁ、来たら来たでウザいだけだし……)

 知性ある竜と契約し、その背に乗って空を駆ける竜騎士。
 未来の竜騎士などを育成する騎士学園は、身分の貴賎に関係なく試験の結果で入学生を決める実力主義の学園だが、やはり幼少より教育できる貴族の家の子女が多い。
 中でも、成績上位かつ特別な試練を合格した者のみがなることが許される竜騎士には、プライドが高く、調子に乗った者が少なからずいることがある。
 偏狭の村へ派遣されるものは、特にその傾向が強い。
 調子に乗って努力を欠かすため、〈神都〉や大きな街を守るに足りないと判断されることが多いのだ。
 竜騎士なんて、騎乗されている竜が強いだけで、騎士は大したことがないと思っているハオスは、村でも特に竜騎士を嫌っていた。
 村にいることが少なく、居たとしても門衛の仕事で家にいないことが多い父の方が、まだ何百倍もましだった。
 少なくとも父は、村と自分のために頑張っているのだと知っているからだ。
 宿屋で飯をたかり、酒屋で暴れまわり、いざというときは、母を見捨て〈害竜〉ごと黒い煤に変えてしまうようなやつらより、何百倍も。
 だからと言って、父を好きなわけではない。
 かつてはそれなりに高位の冒険者だったらしく、その剣の腕と、冒険者としての知恵は尊敬に値するが、よく家を空け、母の死に目にも居合わせなかった役立たずの父を恨まずにはいられない。
 だが、父が居なければ生きていけないのも事実。最低限の炊事洗濯はハオスの仕事だった。
 同じ村の子供たちが遊んでいる中、一人、黙々と家を手伝うハオスを近所の女どもは褒めていたが、お前のせいで母さんが遊ばずに手伝えって言ってくる、と子供たちにはいじめられていた。
 ハオスは、この村が嫌いだった。
 親しい友人も、愛しい家族もいはしない。
 ハオスは成人したら、村を出て、冒険者になろうと思っていた。
 父に剣を、母に魔法を教わっていた。
 魔法に関しては小さな火と少しの水を出すだけだが、無いよりはましだ。
 父に教わった剣も、そろそろ初級を卒業し、下級を学べるだろう。成人までには、一般的に一人前と称される中級剣術を修められるはずだ。
 父が夕食を終え、食器を片付ける音を耳にすると、ハオスは眠りについた。
 

序章 第二話

 どのくらい眠っただろうか。
 雨足が強くなり、雷は幾度も轟いた。
 耳障りな音のせいで、あまり深く眠ることはなかったが、寝なければ明日が辛い。
 そんなことを思いながらうつらうつらしていたハオスは、父が戸を蹴破る音で、目を覚ました。

「ハオス! 起きろ! 逃げるぞ!」

 脈絡もなくいきなり逃げるという父を訝しげに見るも、その必死の形相から現在の状況の悪さを悟る。
 村一の剣士。小さな〈害竜〉なら剣の一振りで両断する父が、恐怖で顔を歪ませていた。
 出来うる限る最速で、上着を羽織り、杖を腰に差して、家から飛び出た。
 上着の下は寝間着だが、着替える暇はない。

「ハオス! 剣なら置いていけ! お前には邪魔なだけだ!」

 父は、ハオスが腰に帯びているものを剣だと思ったのだろう。
 普通、魔法士は杖を腰に帯びたりはしない。

「母さんの杖だ! 剣なら置いてきた!」
「よし! 森まで走るぞ!」
「――っ!? 迷い霧の森に入るの!?」

 迷い霧の森。
 この辺りでは、奥深く入れば、迷って出てこられないことで有名な、常に霧で覆われた森だ。霧を吸いすぎると倒れることから毒霧の森とも呼ばれる。
 だが、父はそんなことは大したことがないとでも言うように言い切った。

「平地よりはましだ!!」

 右手を、やけにでかい左手で捕まれた。
 ゴツゴツとして、自分の手とは比べものにならないほどの固さだった。
 一体どれほど剣を振るったら、こんなに固くなるのだろうか。
 大粒の雨が体を打つ。雷鳴が耳を打つ。
 大して走ってもいないのに、体は芯まで冷えきり、ぬかるみに足をとられ、息はひどく荒い。
 だが、それでも走る。
 父に引かれているからではない。
 後方から響く竜の咆哮に恐怖したからだ。

 二匹……だろうか。

 こんなにもでかい背で前を走り、こんなにも固い手で己を引く父が、振り返ることすらできずに逃げるほどの化け物が二匹。
 あれは人の身で勝てる相手ではない。
 あれは並の竜が勝てる相手ではない。
 あれはまるで、御伽噺に出てくる竜の王様のような……。

 ハオスと父は、時々飛んでくる巨岩や稲妻を避けながら、森へとひた走る。

 だが、次に飛んできたものを避けることはできなかった。
 父は何も言わずにハオスを体当たりで吹っ飛ばした。
 咄嗟のことで、受け身もとれずに地面に落ちる。
 呆然としたハオスの目に入ってきたのは閃光だ。
 その巨体のおかげか。かろうじてハオスに見えたのは、この暴雨の中、白銀に輝く鱗だった。
 閃光はその鱗の持ち主だ。
 細長く研ぎ澄まされた体躯。
 覆う鱗は雷光を反射し、周囲を照らす。
 伸びる角はまるで避雷針のようで、天から落ちる雷を束ね、一直線に放っている。
 地面を踏みしめる四足と、飛空するための双翼。
 そこにあるのは機能美だ。
 世界を統べる〈七王竜〉が一柱。天空を統べる風竜の王族――――〈天王竜〉。
 その尾には、赤い赤い、とても赤いシミが付いていた。
 まるでツスイ(動物から血を吸う羽虫)を叩き潰したかのような。

(あれ……? 父さんは……?)

 ハオスは辺りを見渡すと、ある一点に目を釘付けにされた。
 赤い、赤いシミ。
 それは、ツスイを潰した跡ではなくて……

「ゥォェ――――!?」

 ハオスはとっさに口を手で覆った。
 
 虚ろな目で見つめ、手を伸ばし――――コプッ。
 血を吐きながら、それでも手を伸ばす。

「あっ……。か、回復の奇跡……」

 怪我をしたら治す。
 それはあまりに単純で、ハオスにとって分かりやすい行動指針だった。
 やることは単純。
 母に教わった通りに、力を行使するだけだ。

 生きとし生けるもの全てが持つ〈気〉。
 それを練って〈力〉となし、〈技〉を引き起こす。
 これらを体系化したものを〈術〉と呼び、それは選ばれた存在しか行使できない。
 〈剣術〉しかり、〈魔術〉しかり、〈竜術〉しかり。

 だが、〈奇跡〉は誰でも使うことができる。

 必要なのは、信仰と願望と想像。
 〈神〉を信仰し、願いを思い、その実現を想像する。

「……神様。父さんを癒して、お願いします――」

 深く信仰するほど、強く願うほど、確かに想像するほど、〈奇跡〉は起こる。
 だから、ハオスの願いはほとんど聞き届けられなかった。

 嵐の夜の森の中、目映い白き光が父を覆い、引きちぎれた肉の断面が盛り上がり、出血が止まる。
 父の傷は|わずかに《・・・・》癒された。
 だが、全身をグシャグシャに潰された人間が、止血程度で生きられるべくもなく……。

 そして、その光は、暴れる〈天王竜〉の注意を引くのに十分な眩しさだった。

序章 第三話

 ギロリと、不気味なほどに血走った目がハオスを捉えた。
 目が血走り、牙を剥き出し、周囲全てに見境なく敵意を振り撒くそれは、理性を失い暴れ続ける〈害竜〉の特徴だ。
 その鋭い眼光は見るもの全てを萎縮させる。
 必然。ハオスは震える体に力を入れることもできない。
 もはやハオスの体は、恐怖で震えているのか、嵐を受けて凍えているのか、それすらも分からない。

 風竜の王族たる〈天王竜〉にとって人間など容易に叩き潰せる羽虫に等しい。
 そして、怒り狂った〈害竜〉にあるのは破壊衝動と殺傷衝動。
 視界に生物が入れば、殺そうとするのが〈害竜〉だ。

「グゥルルゥゥ……」

 〈天王竜〉はその鎌首をもたげ、胸を大きく膨らませた。
 それは全ての竜に共通するとある攻撃の予備動作だ。

 ――――竜の息吹

 それは全ての竜が生まれながらに身に付けている〈竜術〉の中で最も容易に行使できる攻撃。
 御伽噺の中で、あらゆる英雄を屠ってきた単純明快にして最強の〈技〉。

 ハオスは避けられぬ死を目の前に見ていた。
 生きたいと叫ぶ暇も、死にたくないと逃げ出す時間さえもありはしない。

 避雷針の如し長い角に纏っていた雷が消失した。
 空から嵐が散り始め、豪雨の勢いが収まる。
 それに反比例するように〈天王竜〉の口内には溢れんばかりの濁流と雷光が渦巻く。

 ――――ガアァァァ…………

「ひっ……」

 後方から轟くもう一柱の〈王竜〉の叫びを勘違いしたのか。ハオスは頭を抱えて、〈天王竜〉の〈竜の息吹〉に備えた。
 いや、恐れをなしてうずくまった。
 なにも、できなかった。

 〈竜の息吹〉が放たれる直前、よりいっそう光が増し、ハオスをきつく目を瞑った。

 ――竜さえいなければ……

 ――――〈害竜〉さえいなければ…………

 放たれた閃光は、愚直なまでに真っ直ぐに突き進んだ。
 躓きながら霧を抜けた森は濁流に押し流され、生まれてから住んできた村は暴風で吹き飛ばされ、その先にある父と母が冒険者をしていたという街ですら稲妻に焼き焦がされた。

 後に〈星天の王災〉と呼ばれるこの〈竜災〉の被害を受けた街や村に生存者は居なかった。

 ――ハオスを除いて。

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