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真飛幽利は一人で暮らしたかった。第2話 全4話で完結

真飛幽利は一人で暮らしたかった。の第2話

作者 桜田パエリア 得点 : 0 投稿日時:


 座敷童子。それは俺が引っ越した日には既に部屋にいた、10歳に満たないほどの幼い少女。
「ユーリ、今日のおやつはマカロンにしよう」
「いや、おやつって何だよ?! 俺は今日、友達と野球見るんで、出かけるんだ」
「なんだ。折角の休日だというのだから、この部屋での昼間の時間というものを満喫したらどうだ。例えば、マカロンをお皿に盛りつけて、写真に撮るとか」
 言いながら、座敷童子は俺のスマホを勝手に操作して、朝食を撮影する。
 部屋の住人以外、彼女の存在を認識することはできない。そこは俺も可哀そうに思ったので、女子向けSNSのアカウントを作ってやったのだが、そこで毎日の生活をこと細かに報告しているせいで、日々の食事も何だか手を抜けない。
「まあ、用があるならそれは仕方ない。マカロンで我慢してやらなくもない」
「……とにかくマカロンにこだわる気だな」
 おそらく、SNS上の友人がアップした写真に感化されたのだろう。
「じゃあ、ここの片付けをしてくれ。そしたら、今買ってくるマカロンをやる」
 言いながら、先に朝食を済ませた俺は立ち上がり、出かける前にマカロンを買うことにする。
「む、そうなるか。仕方ないね」
 仕方ないのはこっちの方だ。
 隣のマンションの1階にコンビニがあるので、そこでマカロンは買えるだろう。電車で気軽にプロ野球の試合が見られることといい、東京はあらゆるものが密集していて、驚くほど便利で快適。その点では、やっぱりこっちの高校に進んで良かった、とは、思うんだが。

「……え?!」
 赤と緑のマカロンを買った帰り道。アパートの前に、大家さんとスーツ姿の男性が立っていた。
「想像以上の立地ですね。コンビニ至近、小学校もすぐ、最寄り駅では再開発計画も始まっていますので」
「そうなんですか。なにぶん住んでいない東京にある資産、空室が多くて知人の息子さんに貸し出すほどだったので、全く気づきませんでしたよ」
 そう、大家さんは父親の知り合いで、俺の故郷の人間だ。部屋を借りるにあたって実家に招き、俺も挨拶をしたのだが、アパート自体にそうそう来るとは思えない。
「空室が多かったのは、築年数と日当たりのせいですね。建て替えれば、収益は3倍になりますよ」
「そうですね、ぜひ進めて行きたい。検討をお願いします」
 建て替え。その言葉に、話し込む2人を避けて部屋に戻ろうとしていた、俺の足が止まった。
「お、幽利くんじゃないか!」
 大家さんに、自分の存在を気付かれてしまった。
「もしかして、今の話を聞いていたのかい? 心配はいらないよ。君のお父さんとの約束があるからね。建て替えの間は、この業者さんに近くの良い物件を紹介してもらうよ」
 業者も俺の方に頭を下げ、愛想を振りまいてきた。
 しかし、そういう問題じゃない。
 このアパートがなくなるということは、座敷童子は?
 俺はただ首を縦に振って、動揺を押さえきれず、部屋に駆け戻った。

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