不思議な雪
作者 ミチル 得点 : 1 投稿日時:
マミは学校から帰る途中に、不思議な景色に出会いました。
雲がないのに、雪が降っているのです。青空に舞う雪は、お日さまの光でキラキラ光っていました。少しずつ、アスファルトが白く彩られていきます。
マミにとって夢のようでした。
妖精さんがお誕生日をお祝いしに来たのかな?
そんな事を考えていました。
そう、今日はマミのお誕生日です。ちょうど十才になりました。大人からはおチビさんと言われますが、マミは立派に成長したつもりです。
手を伸ばせば、キラキラ光る雪がどんどん手のひらに乗ってきます。宝石のようにきれいでした。お母さんにプレゼントすればきっと喜んでもらえるでしょう。
雪を落とさないように、大切に運びます。でも、マミの足はどんどん速くなります。背中の赤いランドセルが弾みます。早くお母さんにプレゼントしたいのです。
今日はいつもより元気に、家に帰るのでした。
「ただいまー!」
声は自然と明るく、大きくなりました。
両手がふさがっているので、玄関のドアを開ける事ができません。
「お母さん、ただいまー!」
頑張って声を出していると、お母さんがドアを開けてくれました。
「おかえり。鍵は開いているのだから自分で入ってくればいいのに」
「これ見て!」
マミはキラキラ光る雪を、お母さんの顔にずいっと近づけました。
きっと喜んでくれると思いました。
でも……。
「ごめんね、雪は捨ててほしいの。本当にごめんね」
そう言って、お母さんは謝りました。
マミはがっかりしましたが、喜んでもらえないなら仕方ありません。雪を道路の脇にそっと置いて、すぐに家に入りました。
だからマミは、雪がむくむくと形を変えていったのを知りません。
小さな、本当に小さな男の子になったなんて知りませんでした。