絶対内緒のオタク生活!の第3話 全10話で完結
絶対内緒のオタク生活!の第3話
作者 労働会議 得点 : 0 投稿日時:
それでも、私は今日も登校する。正直、気が重い。なんでこうなってしまったんだろう?それでも、登校する理由は単純。家族に心配かけたくないから。
登校の中、あゆとかなと顔を合わせる。二人は屈託のない笑顔を見せる。
「みはちゃん。おはよ」
私は顔を引きつらせながら、おずおずと返す。
「お、お早う御座います」
「もう元気ないな~~。ぐりぐり」
頭をぐりぐりさせられる。二人のこの対応は外面だけ。一見仲良し三人組であるが、教室に入れば豹変する。
「あんたさあ、貢物。最近、減っているんじゃないの?」
あゆが高圧的に腕を組む。
「そ、そんなことないよ」
すでに、あゆの手には私から奪い取った五百円玉が握られている。
「私、言ったよね?足りないなら、親の財布から抜き取れって」
「そんなこと言われても……」
かながあゆを落ち着かせる。
「まあまあ。あゆちゃん。ここは生かせず殺さずにしたらどうかな?無理に高額な金額を言っても、結局この豚じゃあ、ぼろが出てしまうんじゃないかな?それよりかは毎月少しずつ貰ったほうがいいよ」
あゆが舌打ちをする。
「ちっ。かながいうなら、そうね。この豚糞。かなに感謝しなよ。ほら、ご褒美だ」
あゆが思いっきり私に唾を吐きかける。すごく惨めだ。
クラスのものは誰も止めない。私はトイレに行き、髪の毛に付着した唾をふき取る。
「私、いつまでこんな生活を続けるんだろう」
私がオタクに出会ったのはまさにそんな生活のただなかだった。
いつものように、通行人に泣き落としをしておひねりを求める。無論、明日の貢物のためだ。その通行人は言う。
「一万円上げてもいいけど、その代わり、ちょっと付き合ってくれないかな」
嫌な予感がするが、通行人はさらに札束を取り出す。
「じゃあ、十万円」
いつかはこういう予感がしていた。いつかはこうなるのだ。なに、その時期が早まっただけだ。
頷き、案内されたのはオタク同盟本部の立て看板が掲げられたビルである。
「さあ、我らの同盟本部へようこそ」
えっ?何ここ?
足を踏み入れるが、周囲の通行人からの白い目が痛い。
そう。これは私がオタクと出会い、のちにレジェンドオタクと呼ばれるまでの活躍を描いた話