テンプレ異世界転生記
作者 日本海のピラニア 得点 : 1 投稿日時:
原 翔は成績優秀なエリート大学の4年生だ。しかし、就職活動に行き詰っていた。筆記の試験なら得意だが会話が苦手なのである。口下手でアドリブが利かず、受け答えがヘタでいつも面接で落とされていた。翔は努力家で勉強は怠けずに毎日していたが、面接では糞にも役に立たないのである。ようは勉強以外にセールスポイントが皆無なのである。有名企業200社以上を受けていたが全て面接で落とされてしまっているのだ。自分よりもはるかに成績が悪い人が受かっているにも関わらずである。
翔は卒業日になっても内定が決まらなかったことに絶望した。卒業までに内定が決まらなかったのは留年組と自分だけである。自分を恥じた。自分を呪った。
「なんだか生きる気力を失った。あれだけ必死に勉強したのが全く無駄だったのか。なんだか人生がバカバカしくなってきた。」
翔はやけになりその辺に生えているキノコを無造作に貪った。
「死んで転生すれば良いじゃないか!来世にかけよう!少なくとも今より悪くなることは無いはずだ!リセットだ!!!」
半分冗談交じりにそう豪語した。食べたキノコが毒キノコである事にかけたのである。それで死ねばそれまでの人生。生きられればそれもまた運命。しかし、その賭けは成功した。翔が食べたのは毒キノコだったのである。翔は激しい腹痛に襲われた。嘔吐と下痢を繰り返し脱水症状を引き起こした。助けを呼ぼうにも身体が痙攣して動かない。翔はそのまま気絶してしまった。その数日後翔は死体として発見された。
辺りは真っ白。一面真っ白だった。翔は謎の白い部屋に居たのである。
「ここはどこだ?ぼくは誰だ?」
「ここはあの世とこの世の狭間。あなたは原翔。」
「ぼくは死んだのか。」
「はい。」
天使は淡々と受け答えした。
「あなたには二つの選択肢がります。」
「はい?」
「一つはこのまま死んで地獄に落ちるか。もう一つは転生して人生をやり直すか。」
(当然転生だ……!しかし、一応念のため…。)
「質問しても良いですか?」
「はい。どうぞ。」
「地獄とはどのようなところですか?」
「完全週休一日制で金曜日以外は毎日強制労働です。三食風呂付ですが、月給から天引きされ、手取りは1万2千円。」
「地獄でも通貨があるのですか。」
「あります。貴方の行き先は日本の地獄なので通貨は円です。
お金を払うことで様々なオプションが受けられ、一日有給券や一日降霊拳などもあります。一日有給券は2千円、一日降霊権は5万円となっております。また地獄には売店などもございましてそこで様々な食品を買う事ができます。」
(意外と充実しているかも…。しかしほぼ毎日強制労働は嫌だな。)
「では転生は?何に転生できるんでしょうか?」
「それは私にもわかりかねます。何に転生するのかどこに転生するのか。それらは全て運しだいです。ただ言える事は人間は必ず知的生命体に転生します。転生場所は異世界になる事もあります。」
「知的生命体?異世界?人間以外に転生する事もあるという事ですか?転生する場所は地球以外の可能性もあるのですか。」
「ザッツライト!」
(まあ、前世よりも悪くなることはないだろう。)
「転生すると前世の記憶はどうなるんですか。」
「全て引き継がれる人、一部引き継がれる人、全て忘れる人が居ましてそこは個人差が激しく運しだいです。」
「そうですか…。」
「ところがどっこい!あなたがもし転生を選んだ場合転生者1000億人目記念で記憶を全て引き継ぐ事ができます。」
「なんですと!?なら話が早い!絶対に転生を選ぶ。」
「かしこまりました。記憶は引き継ぎでよろしいですね?」
「ザッツライト!」
「ただし、記憶が完全蘇るのは6歳頃からですのでご留意下さい。」
天使はそういうと翔を転送装置に入れスイッチを押した……。