学校で上履きを履かない靴下生活への憧れの第4話 全10話で完結
学校で上履きを履かない靴下生活への憧れの第4話
作者 空亡海 得点 : 1 投稿日時:
それは唐突だった。まるで驟雨のように唐突に、私の頭の中にある疑問が浮かんだ。
「何故、私は踊るの?」
笛に合わせ踊る日々、その疑問が出たのは踊り続けてから約70年が経ったある日だった。
その日から私はその疑問を考え続けた。そして思い出したのは懐かしいあの頃だった。琴子さん、懐かしい名前―――私はなにをやっているのだろう。あの男に洗脳されていたのだろうか。
手を見ると、そこには皺くちゃの肌があった。私は人生をこの踊りに捧げ、こんなにも無駄な生活をしてしまった。琴子さん……琴子さん……琴子さんにまた会いたい。あの頃に戻りたい。
最初の三日間は泣き続けた。目が腫れ、赤くなった。でも涙はいつの間にか枯れていた。
そこから一ヶ月はなにもできなかった。まるで何かを失ったように、私はなにも出来なかった。
一年経った。その頃私は瞑想をしていた。一日中、ずっと――――
そして考えるのだ。人生とは何か――――運命とは何か―――
五年が経つと、もう私は人間という精神を超越し圧倒的な思考能力を手に入れていた。そしてこの世の真理を見つけ出していた。
ある日、私はいつものように瞑想をしていると、何故か不思議な感覚に襲われた。なにか、温かい光が私を包んだ。そしてその光の奥から、懐かしい光景が浮かんできた。
「圭子――――久しぶり」
「琴子……さん?」
「ええ、私は琴子よ」
それが私の本当の物語のはじまりだった。