待ち望んでいたモテ期がきたんだがくるの遅くね?
作者 犬神 菱 得点 : 1 投稿日時:
俺は輝牙春希(きが はるき)普通の高校生だ。
だが今は違う、そう来たんだ。
やっと、この時が来た。待ち望んでいたんだ!俺の人生の中でおそらく大事なイベント10に入るくらいに。
その名は、モテ期。
だけど、気のせいだろうか?なんだか思っていたモテ期と違うんだが。
今の季節、少しずつ温かくなってきている。
5月の下旬、俺は中学校を卒業し今は高校生活を過ごしていた。
「よっ、おはよう。」
「うわっ、もう驚かさないでよー。」
高校に入ってからというもの、気のせいだろうかカップルがふえている気がする。
ふっ、カップルがなんだ。と思うけど実際は彼女が欲しくてしょうがないこの気持ちを分かってくれる奴は、居てくれないだろうか。1人くらい居てくれてもいいと思う。
そんなことを考えながら、毎日を過ごしていると何だか悲しくなってくる。
「・・・・・・わっ。おはよう、价。」
「うおっ。ビビったー、何だ綾花か驚かすなよ。」
綾花はふふっと怪しげに笑う。
風間綾花(かざま あやか)は、俺と同じ高校に通う小学校からの幼なじみだ。
「だっていっつも一緒に学校に行こうって言ってるのに、全然話聞いてくれないじゃん!」
綾花はぷぅと頬を膨らませてこっちを見ているが、全然こわくない。
幼なじみのひいきなどではないが、綾花はけっこう可愛い方だと思う。男子からの人気も高いらしい。
俺はしみじみそんな子と仲良くできて幸せだと思う。
学校ではいつも1人。
別に友達が欲しくないわけではない。ただ1人が好きなだけだ。
HRが終わりいつものように帰りの準備をしていると、騒がしかった教室が一気に静まり返った。
特に気にはしなかったが、前に人の影が写ったからとりあえず前を見てみる。
そこには入学以来試験でずっと1位でしかも可愛いと評判の優等生の、雪乃 千智(ゆきの ちさと)が立っていた。
「えっと、俺に何か用?」
すると雪乃は、
「今から屋上に来て。待ってるから。」
それだけ言って、教室を出ていってしまった。
「何だったんだ、一体。」
でも呼ばれたからには、屋上には行く。行かないといけない気がした。
屋上に出ると、
「遅いじゃない。」
おぉ、ちょっといきなり不機嫌ってどういうこと?!
「ごめん。で俺に何か用でもあるの?」
すると雪乃は急に顔をそむけたかと思うと、
「輝牙春希君よね。」
「そうだけど、どうしたの?」
雪乃の顔ははっきりとは見えないが、少し赤くなっている。
「やっぱり、春希なのね。」
そう言ったかと思った瞬間、いきなり抱き付いて来た。
「えっ、ちょっ雪乃さん?!」
「会いたかったー。春君に会いたかったよー!」
俺は戸惑いを隠せなかった。
まぁ、普通可愛い女の子に抱き付かれたら、健全な男子高校生なら当然のことだ。
「えっと、どういうこと?」
「もしかして私のこと忘れてるの?」
忘れたでは済まされない気がして、俺は脳をフルに使って考えた。
けど、結果は同じ。いくら考えても思い出せなかった。
「ごめん。わかんないや。」
すると雪乃は頬を膨らませ、上目ずかいで睨んできた。
うん、文句なしに可愛い。
「まぁ普通忘れちゃうよね。」
「?」
「私は春君と10年前に結婚の約束をした千ーちゃんです。」
そのとき、俺は思い出した。
確かにした。10年前、結婚の約束を。
「本当にあの千ーちゃん?」
すると雪乃は笑顔でこう言った、
「うん、10年間ずっと会いたかったんだよ。春君。」
この出来事を切っ掛けに、俺の高校生活は大きく変わっていくことになる。