書き込みありがとうございました。参考にさせて頂きます。
先日朝日新聞で紹介されてた城山三郎「部長の大晩年」が
面白かったです。永田耕衣の話です。
木枯やいのちもくそと思へども/室生犀星
季語は「木枯」で冬。67歳(1956)の日記に「ふと一句」として、この句が書かれている。知人にも手紙で書き送っているが、もとより発表を意図したものではない。それだけに、かえって犀星の心境が赤裸々に伝わってくる。ヤケのやんぱち。どうにでもなりやがれ。とは思うものの……。と、心が揺れているのは、体調がすこぶる悪く、医者通いの日々がつづいていたからだ。何種類かの薬を常飲し、注射を打ち、血圧は午前と午後に二度計っている。このころの犀星は創作意欲にみなぎっていたと思われるが、如何せん、身体がついてきてくれない。そのことからくる焦りが、「ふと」掲句を吐かせたのだった。しかし、そうした肉体的な衰微と闘いつつ、この年に『舌を噛み切った女』、翌年には『杏っ子』、そのまた翌年には『わが愛する詩人の伝記』と、矢継ぎ早に秀作を発表しつづけた。当時リアルタイムでこれらを読んでいた私には、彼が人生的幸福の絶頂にあると感じていたけれど、しかし人のありようとはわからないものだ。いかに世俗的な成功をおさめようとも、そんなものが何になる。肉体の衰えを抱いていた犀星は、きっと孤独のうちに悶々としていたにちがいない。元気がなにより。これは凡人の気休めなどではなく、永遠の真実だと、最近の私はつくづく思う。(清水哲男)
増殖する俳句歳時記より転載。
凩の果はありけり海の音
言水 「新撰都曲」
木がらしの吹き行くうしろ姿かな
嵐雪 「続虚栗」
木枯や錦をさらす京の店
大須賀乙字 「乙字句集」
木がらしや目刺にのこる海の色
芥川龍之介 「澄江堂句集」
今日の一句
凩に吹寄せられて此処にゐる
カテゴリー : 雑談。最近の出来事 スレッド: 俳句の話できる人と
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添削道場
秀句の44
◎我が池は狭し静かに蓮開く
作者名 田中喜美子
投稿日時: 2019年07月13日
寸評
しずかにひらくきよらかな蓮の花が目にうかぶ見事な境涯句ですね。
特に中七の狭し/によって句が立ち上りました。
季語
蓮/はす
晩夏
はちす/蓮の花/蓮華
蓮池/紅蓮/白蓮
インドの原産とい
い、池、沼、水田
などに栽培される。
盛夏のころ紅色、
淡紅色または白色
の多弁の美しい花
を開き、芳香があ
る。また、黄、青
の稀種もある。水
底の泥中の地下茎
から長柄を伸ばし、
水面に丸く大きな
広葉を広げ、夏の
朝露を玉のように
転がす。蓮華、は
ちすともいい、実
と地下茎は食用と
する。
さはさはとはちすをゆする池の亀
鬼貫「大悟物狂」
鯉鮒のこの世の池や蓮の花
許六「正風彦根躰」
蓮の香や水をはなるる茎二寸
蕪村「蕪村句集」
白蓮に人影さはる夜明かな
蓼太「蓼太句集初編」
白蓮に夕雲蔭るあらしかな
白雄「白雄句集」
蓮の花咲くや淋しき停車場
正岡子規「子規句集」
ほのぼのと舟押し出すや蓮の中
夏目漱石「漱石全集」
蒲の穂はなびきそめつつ蓮の花
芥川龍之介「澄江堂句集」
~きごさい。
◆添削道場には、他にもこんな秀句があります! という方はこちらへ推薦してください。
・注意
推薦句と寸評を伴わない書込みは固く御断りいたします。
埋もれた秀句が沢山あると思います。 よろしくお願い申し上げます。
陽炎 記
添削道場
秀句の45
◎峰雲や義足にもある土踏まず
作者 竹内 投稿日 2019年07月08日
◆寸評
義足に土踏まずがあるという、かなしくも可笑しな気付き。
ならば義手にも、運命線や生命線があるのだろうか?
人間の営為のアイロニーを衝いた秀句です。雲の峰/の季語が遥かな希望となり、救いとなっておりますね。
◆季語
雲の峰/くものみね
三夏
積乱雲/入道雲/峰雲
盛夏、聳え立つ山
並みのようにわき
立つ雲。積乱雲。
夏といえば入道
雲であり、夏の
代名詞である。
強い日差しを受
けて発生する激
しい上昇気流に
より、巨大な積
雲に成長して行
く。地方により
坂東太郎・丹波
太郎・信濃太郎・
石見太郎・安達
太郎・比古太郎
などとよばれる。
雲の峰幾つ崩れて月の山
芭蕉「奥の細道」
雲の峰きのふに似たるけふもあり
白雄「白雄句集」
しづかさや湖水の底に雲のみね
一茶「寛政句帖」
雲の峰白帆南風にむらがれり
正岡子規「子規句集」
雲の峰雷を封じて聳えけり
夏目漱石「漱石俳句集」
雲の峰石伐る斧の光かな
泉鏡花「鏡花句集」
空をはさむ蟹死にをるや雲の峰
河東碧梧桐「碧梧桐句集」
雲の峯夜は夜で湧いてをりにけり
篠原鳳作「篠原鳳作句文集」
~きごさいより。
◆添削道場には、他にもこんな秀句があります! という方はこちらへ推薦してください。
・注意
推薦句と寸評を伴わない書込みは固く御断りいたします。
埋もれた秀句が沢山あると思います。 よろしくお願い申し上げます。
陽炎 記
今日の一句
雲の峰崩れてのこる過疎の村
カテゴリー : その他 スレッド: 添削道場秀句集《 一》
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いつもお世話になります!何だかお久しぶりな気もします。塩豆です。
おしぼりの袋鳴らして麦酒かな
この俳句は個人的には「袋を鳴らす」という行為に含む抽象性に面白味があるように思いました。
おしぼりを添えて瓶ビールを継ぐ者、継いでもらう者、袋開けてしっかり手を拭いてから生ビールを飲む者、袋を鳴らすだけして別にやっぱいいやと手を拭かずに飲む者――。
鳴らし方は人それぞれかもしれませんが、「鳴らす」という共通の行為を発見したことが一つ大きな価値なのではないでしょうか。以前紹介してくださった斎藤朝比古さんのような、飄々とした作風のようにも感じしました。
腹胃壮さんの狙いとはひょっとすれば違うかもしれませんが、私はこのように思いました。
例によって私も一つ
家系図のような柿の木盆休
俳句生活地選
塩豆さん、かぬまっこさん、道場では陽炎さん誠にありがとうございます。
皆様の御活躍を拝見して大変刺激になっています。
やはり我が身の成長にはお三方のような良きライバルが必要です。
今後とも宜しくお願い致します。
カテゴリー : その他 スレッド: 選を受けた俳句、既発表の俳句などを出し合いませんか?
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