「岳父笑む門前小路の柿羊羹」の批評
回答者 小西晴菜
卯筒さま。拙句「今夜シチュー」にコメント、感想句くださりありがとうございます。日々料理を担う者として、家族の「ちょうど今日はそれが食べたかった」という反応が何より嬉しく、卯筒さまの句で「今日も頑張ろう」と意欲がわきました。
さて御句ですが、私は無教養なことに「岳父」は「義父」と同義だと思っていて、初読では空気感がつかめませんでした。でも、これは妻の父親と1対1で向き合う男性の句と解って、ストンと心に響きました。
「サザエさん」の波平さんとマスオさんみたいな関係も世間にはあるのでしょうが、
数年前に亡くなった私の父は、夫に対して何となく態度がぎこちないというか、なかなか素直な笑顔を見せませんでした。孫には、1年中笑顔のバーゲンセールなのに。
だから、父親が娘の夫に見せる笑顔って、かなりの稀少価値。それはあたかも、特定の寺社の参道の小さな老舗の和菓子店の羊羹みたい。特別な品種の柿で手作り、数量限定、期間限定、そこへ参詣した時しか買えない。御参りより羊羹目当てで訪ねたけど売り切れだった、みたいな····。
男性にありがちな、「酒を酌み交わす」ではなく、和菓子をはさんで笑顔の父と夫。
娘の立場から見ても感動的な、他でなかなか見ることのない、素敵な句です。
点数: 2
添削のお礼として、小西晴菜さんの俳句の感想を書いてください >>
この季節の岳父の好物を詠んだ句です。