類と翠 #神代類くん #夢の第3話 全10話で完結
類と翠 #神代類くん #夢の第3話
作者 祈矢暁月 得点 : 0 投稿日時:
翠side
私と類は無我夢中で走る。
なぜかというと…
ある事情に巻き込まれちゃって、最終下校時刻になっても学校にいたから、先生に怒られちゃったんだ。
で、今逃走中だというわけ。
細かい春の雨が私を濡らす。
無我夢中で走っていたけど。
自分が視線を落とした瞬間、はっとした。
私、私…!
類と手つないじゃってるー!
何々?なんで今日4年ぶりに会った幼馴染と私が手をつないでるんですかー!
誰か教えてええ(誰も教えてくれないよっ☆)
そんなこんなでしばらく走った後。
「ここまでくれば大丈夫だろう。」
と、類が走るのをやめて歩き出した。
私は、歩きながら、類とつないでいた右手をまじまじと見つめていた。
類の手。温かくて、優しかった。
昔はノリで手をつないでいたけど、しばらく繋がないうちに、こんなに大きい手になっちゃったんだね。
ふふ、なんだか不思議だなあ…。
にこにこしながら歩いていると、
「着いたよ?」
やっと類の声が耳に入ってきた。
一人で考え事をしながら歩いて類の声を無視していたのがとっても恥ずかしくて…。
「あ、わわわ、ま、また明日!!」
私は玄関ドアを勢いよく開け、素早く家の中に入った。
「ん?うん、また明日」
類が優しい笑顔でそう言ってくれてたのに、私ってばそれ無視してた~!!
わわわ私のバカ…!
そう考えると明日学校に行くのがとても気まずかった。
はあ
私、嫌われたかな…?
気まずいけど、類に会いたい気持ちはあって。
結局明日も、学校に行くことにしたんだよね。
ピピピピ
「うーん…。」
質素なアラームの音で、私は目を覚ました。
はぁ…。
頭痛いな。ちょっとめまいもするし…。
でも、学校は行かなきゃ…。
頭の痛みに耐えながら、私は制服にそでを通した。
「行ってきまーす…。」
30分後、私は家を出た。
はあ…。もう頭痛いな…。辛すぎる…。
多分昨日雨にあたって走ったからだ…。
でも、出てきちゃったもんは仕方ない。
早く学校行かなくちゃ…。
「おはようございまーす…」
全然声が出ない。多分風邪(?)のせいだ。
「おはよ…ってかどうした翠!?顔色めっちゃくちゃ悪いぞ!?」
この子はクラスメイトの今井谷未来ちゃんだ。
最近仲良くなったんだけどね…。
「あー、うん大丈夫。全然心配しないで」
と言って私は適当に受け流す。
「お―い席つけー」
先生が入ってきたのでみんなが席に着く。
何気なく類のほうを見ると、類は心配そうにこっちを見ていた。
―あいつ、話聞いてたな。
そう思いながらも、何だかちょっと気まずかったので、ぱっと目をそらした。
数時間後。
「はぁ…。やばい…。」
ねえ体調悪化したんだけど…。(当たり前なう)
「なんかさっきよりひどくなってない!?」
未来ちゃんは心配してくれたが、
「あー、多分問題ない。寝不足だと思う」
と適当にごまかした。
移動教室だったので、未来ちゃんと二人で歩いていると、何だか後ろに視線を感じた。
類だ…。
何だか今日はいつにもまして私の事を心配そうに見てくるな…。
はあ…。ってか…
頭いたーーーーーーい!!!
痛すぎてもう感覚もなくなってきて。
私は近くの手すりに寄りかかってしまった。
「…っ…はぁ…。」
「ええ!?翠ちゃん大丈夫!?ちょっ誰か…あ!神代くーん!!」
―うわ、最悪だ。こいつよりによって類呼びやがった…。
「大丈夫かい?未来くん、僕は彼女を保健室まで連れて行ってくるから、キミは先生に状況を報告しておいてくれ。
「まかセロリ!」
そう言って、未来ちゃんは、行ってしまった。
あー…やばいな…。
意識飛びそう…。
「翠?だいじょ…」
次の瞬間、意識が飛んだ。