キミに伝えたい「好き」
作者 祈矢暁月 得点 : 1 投稿日時:
ことりside
今日も私は、ある人の家にお邪魔して、考え事をしていた。
「...なんかしゃべれよ!ww」
「は?なにこいつ。日本語知らないのかなぁ?www」
「黙ってちゃわかんないでしょ!ドン」
私は昔の記憶をフラッシュバックさせながらぼんやりしていた。
「...先生?ことり先生??」
「あ…ごっごめんね…もうできた…?」
「いや、ちょっとここが分からなくて…」
「ああ、そこはね…。」
そう、私は来栖ことり。彼:如月憐くんの家庭教師をしている。
憐くんは、まだ16歳だというのに、緊張してしゃべれなかった私を受け入れてくれた。18歳の私を受け入れてくれるとは、年上ながらありがたいことだ。
私は極度のコミュ障で、小さい時から人と話すのが苦手だった。
そのせいで、いじめを受けて、中学三年間は引きこもっていた。
そんな私を無心にしてくれたのが、勉強だった。
勉強は、何か私に新しいものを教えてくれる。心の窓を開けて換気するような感じだ。
—勉強にかかわる仕事をやってみたい。
そう思って、私は高校に入ってからというもの必死で勉強し、18歳になった今、家庭教師をしているというわけだ。
「先生出来ました。ありがとうございました。」
「ううん...ま、またわからないところがあったら…呼んでね?」
「はい」
憐side
いつだってことり先生は僕の味方でいてくれる。
初めて僕の家に来た時、緊張してぷるぷる震えていたことり先生を。
どうしてかな。守りたいと思ってしまった。
僕の家には僕の味方が一人もいない。
父上は僕に勉強ばかりを押し付ける。母上は、外出先の管理も、友達の管理も全部して、僕を見張っている。兄上も兄上で、僕にはあまり話しかけてこない。
そんな家で疎外感を感じていた時。
ことり先生が来てくれたんだ。
天使のような白い肌。黒く長い髪を赤いリボンでハーフアップにまとめている。
でも、どこか自信がなさげで…。
その時、何となく感じてしまったんだ。
この人、僕に似ているなって—。
伝えたい、キミに—。
「好き」