キミに伝えたい「好き」の第2話 全10話で完結
キミに伝えたい「好き」の第2話
作者 暁月ことり 得点 : 1 投稿日時:
「お邪魔します」
そう言って、私こと来栖ことりは如月邸に入った。
私は、如月家の次男である憐くんの家庭教師をしている。
それもある人の紹介で雇われたのだけれど…。
そんなことを考えながら、私は一歩踏み出した。
いつもより足が重い気がするのは、気のせいか—。
憐side
ことり先生が来てくれるのが待ち遠しい。
そう感じる今日この頃を、僕はこれからあることり先生の授業の準備をしていた。
僕の名前は如月憐。如月家は、色々な事業を手掛けていて、自分でいうのもなんだが、お金はあるほうだ。でも、お金があっても家族の会話はほとんどない。
「家族の会話、か…。」
そんなことを考えていると、
「ピィンポォン」
とインターホンが鳴った。僕はその音に、毎回心を躍らせる。
僕は上機嫌で、ことり先生を迎えに行った。
ことりside
今日も、頑張る憐くんの横顔をちらちらと見ながら、勉強をしている。
でも、大好きなはずの勉強も、なぜだか今日は頭に入らなかった。
「……なんでだろう」
色々考えていると、憐くんがシャーペンを置いたので、私は赤ペンをもって、丸つけに向かった。
満点だったので、ぐるりと大きな花丸を付ける。
「よくできました…!」
精一杯の声でそう言うと、憐くんはにっこりと笑い返してくれた。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去った。もうそろそろ契約の2時間半が過ぎようとしている。私はブーツを履いて、
「お邪魔しました」
といって玄関を出ていこうとした。
その時だ。
なぜだかとてもふらふらする。
立っていられない—!!
そう考えをめぐらすのもつかの間、私は地面に倒れこんでしまった。
憐side
いつものように勉強を終えて、ことり先生を送り出そうとした時だった。
いきなり、ことり先生が倒れた。
よく見ると顔が赤い…。いつもより呼吸が荒かったのはそのせいだったんだな。
そんなことを思いつつも、僕は家の中に彼女を運ぶ。
ことり先生の体が、熱かった。
熱があるみたいだ。
「…とりあえず今日はここに泊まってもらおう」
そう思いながら、僕は氷枕を手に取った。