重度のシスコン兄の扱い方に困っていますの第3話 全10話で完結
重度のシスコン兄の扱い方に困っていますの第3話
作者 暁月ことり 得点 : 0 投稿日時:
兄と和解した後の話。
いつも私の事をなんとかかんとかって言っている子が近づいてきた。
「ねえねえ、あいつ堂々と廊下歩いてるよw」
「へぇ~、そんなに自信があるんだね!こっちくんな死ねww」
その日は、あまりにも、酷かった。
だから、
「…近づいてきたのはそっちじゃん」
そう言い返した。でも、
「はぁ?なんて??」
「くずの声はお耳に入らなーいww」
わざとなんだろうね。そう言い返された。
そしたら私、つい感情的になっちゃって。
「近づいてきたのはお前らだって言ってんの!!」
って言い返してしまった。
廊下を歩く人たちが一斉にこっちを向く。
無理もないよね。
あんなに大きな声で物騒なこと言ってたら…。
しびれを切らしたのか、リーダー格の女の子—姫塚さんが、
「ちっ、お前ちょっとこっち来いよ」
低い声でそう言いだした。
嫌だ、と言おうとしたときにはもう遅かった。
私は、二人に校舎裏まで連れていかれてしまった。
「今日はこのくらいで我慢してあげるww」
「後で写真グループli◌eに転送しておくねーwww」
そんな言葉を吐き捨てて、二人は行ってしまった。
いや、正確に言うと—、
逃げた。
そんなことを考えながら、私は立ち上がった。
体中が、痛い。
私はふらつきながら、屋上へと向かった。
ガチャリ
屋上のドアを開けると、そこにはもう杏ちゃんとお兄ちゃんがいた。
二人は私のほうを見るなり、
「どしたの!?」
「唯奈、大丈夫か…?」
と心配してくれた。とっても嬉しかったな。
しかし、そのかすかな嬉しみで私の痛みは消えなかった。
「…全身が痛いかな…」
そういった私を、二人は保健室まで送り届けてくれた。
手当てしてもらって、とっても嬉しかったのを今でも覚えている。
そこから、兄と仲が良くなった。
今となっては、重度のシスコンでキモいくらいだけど、心のどこかではお兄ちゃんに好いてもらってうれしいという感情を抱いている自分がいる。
ありがとう、お兄ちゃん、杏ちゃん—。
「かくかくしかじか」
話し終えた後、紗里奈ちゃんは騒然とした顔で私を見ていた。
「そんなことがあったんだ…。ってかそれ以前に唯斗と唯奈って兄妹だったの!?なぜ秘密にしていた!!」
そう問い詰められ、私は、
「さっきの話を聞いてわかったでしょ?昔は兄なんかいらないと思っていたから、話をしたくもなかった」
でも、今の私は違う。
心のどこかで、お兄ちゃんを慕って、好いて、つきしてあげたいと思っているはずだ。
それを本人に言えるようになったなら、しっかりと伝えてみよう。
しかしそうなれるのは、まだ少し先のお話。
「へぇ、あの唯奈がここの高校にね…。」
「マジでウケるww」
唯奈たちが通う高校の校舎を笑いながら見つめる女子二人組がいた。
次回予告
体育祭やるよ
楽しみにしといてね!!((どこから目線やボケナス